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【私のハマった3冊】IT企業の栄枯盛衰 創業者とその行方を比較する

2013年04月12日 13時00分更新

wambook

ぼくとビル・ゲイツとマイクロソフト
アイデア・マンの軌跡と夢

著 ポール・アレン
講談社
2520円

アップル、グーグル、マイクロソフト
仁義なきIT興亡史

著 チャールズ・アーサー
成甲書房
1890円

ソニーとアップル
2大ブランドの次なるステージ

著 西田宗千佳
朝日新聞出版
1365円

 アップルのジョブズとウォズニアックであれば、押しの強いセールスマンとおたくエンジニアのコンビ。グーグルのペイジとブリンは、自信家と恥ずかしがり屋のコンビ。では、マイクロソフトのビル・ゲイツとポール・アレンは、どんなコンビなのか。

『ぼくとビル・ゲイツとマイクロソフト』は、マイクロソフト創業者のひとり、アレンの自伝。彼とゲイツはともにエンジニア。シアトルのレイクサイド校の初等部で2人は出会う。ゲイツが2つ下。この私立学校は、メインフレームを生徒に使わせており、2人はその常連だった。その後、彼らは起業し、IBMのパソコン市場への参入時('81年)にOSを売り込み、大成功する。

 ゲイツとアレンの関係は、現実主義者とアイデアマンというもの。ただ、アレンが辞める'83年以前の業界と、それ以後では、複雑さ、市場の規模、どれをとっても違う世界。アイデアマンのアレンが、ビジョンを示し、会社を前に進めた時代の話はおもしろいが、昔の出来事でもある。後半は、主に投資家としてのアレンの人生がつづられ、それはそれでおもしろい。

『アップル、グーグル、マイクロソフト』は、'98年に注目し、IT系企業3社の栄枯を描いたもの。'98年はグーグルが創業。ジョブズが復帰したアップルは、iMacを発売して経営を立て直す。だが、マイクロソフトにとっては、独禁法訴訟が始まった年だ。この転機の年以降、3社はまったく違った方向に向かう。

『ソニーとアップル』は、クリエイティブな製品で定評のある日米のメーカーの比較分析本。絶大な支持者を持つソニーとアップルだが、両社は似て非なる存在。著者は、その差を、戦略、市場、流通などの分野ごとに見いだしていく。

 '90年代後半の時点では、ソニーはアップルの買収すら視野に入れていたという。だが、関係性は逆転した。両社の歴史の比較はおもしろいが、まだ決着はついていないはず。

速水健朗
フリー編集者・ライター。主著『ラーメンと愛国』(講談社現代新書)。NHK『NEWS WEB24』出演。

※本記事は週刊アスキー4月23日号(4月9日発売)の記事を転載したものです。

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