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【私のハマった3冊】今年のアイドルブームを視点を変えて考えてみる

2013年11月09日 14時00分更新

954BOOK

AKB商法とは何だったのか
著 さやわか
大洋図書
1050円

ももクロ活字録
著 小島和宏
白夜書房
1200円

夢を与える
著 綿矢りさ
河出文庫
620円

 2013年は女性アイドルの年だった。『AKB48』はミリオンセラーを連発し、選抜総選挙の瞬間最高視聴率は32・7%に達した。『ももいろクローバーZ』はAKBとは対照的な方法でファン層を広げ、大物芸人やアーティスト、球界一のエースまでがファン宣言をする“モノノフ”現象を巻き起こした。

 アイドルを題材にしたNHKの朝の連続テレビドラマ『あまちゃん』の人気は社会現象化し、秋葉原でライブ活動を続ける“地下アイドル”や、地方の“ご当地アイドル”が続々と生まれ、夏の東京アイドルフェスティバルには、なんと111組ものアイドルが参加したという。

『AKB商法とは何だったのか』は、昭和から現在に至るアイドル音楽ビジネスの発展を検証しながら、アイドル文化全体を考察している。「CDを握手券の付属品にした」と批判されるAKBのビジネスについて、そもそもアイドルは昔から抱き合わせ商法だったこと、アイドルとは音楽だけでなく、パフォーマンスやキャラクターも含めた商品であり、ファンを取り込んだコミュニティービジネスとして発展してきたとしている。

『ももクロ活字録』は、かつて週刊プロレスで活躍したスポーツ&芸能ライターの著者が、40代にしてハマってしまった“ももクロ”のライブのおっかけレポートをまとめたもの。「青春は終わらないのだ」という言葉に世間の裏表を知り尽くしたはずの中年男性が続々とももクロにハマる理由がありそうだ。

 小説『夢を与える』のヒロインは子役からスタートしてブレイクを果たすが、芸能界の波に乗りきれない。恋愛に出会って初めて主体的に生き始めるが、その結果、すべてを失なう。

 一方現実では、ももクロが「大人は敵」、「騙され続けてきた」と言い放ち、AKBの峯岸みなみはネットで坊主になることでスキャンダルを乗り切った。

 現代のアイドルたちはフィクションすら追い越しつつある。
 

根岸智幸
電子書籍シリーズ『ミニッツブック』(外部サイト)やってます。

※本記事は週刊アスキー11/19号(11月5日発売)の記事を転載したものです。

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