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【私のハマった3冊】電気代ひと月500円の節電生活 ノンフィクションコミック3冊

2014年02月22日 10時00分更新

969BOOK

乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ 1
著 大西巷一
双葉社
651円

節電母さん
原作 アズマカナコ、漫画 もりたしずく
集英社
998円

病むほどに恋した文豪たち
著 齋藤なずな
双葉社
860円
 

 ノンフィクション系のコミックを3つ紹介したい。

 まず大西巷一『乙女戦争』。ヨーロッパ中世の宗教戦争であるフス戦争を描いたマンガだ。

 フス戦争は、民衆軍が強さを誇ったという点、特に、新しい火器を本格的に使い始めたという点など、歴史上画期的ともいえるポイントがいくつもあるが、日本ではほとんど知られていない。この素材をどう描くのかが大変見ものである。

 次に、『節電母さん』。節電が趣味ともいうべきお母さんの実話コミックである。「我が家は電気代ひと月500円」とオビにあるのに惹かれて読んだ。

 どのくらいのレベルの節電なのかな……と思って開くと、エアコンはもちろん、電子レンジ、そうじ機、冷蔵庫もない。極めつきは洗濯を手洗いでやっていることだった。タライと洗濯板。家事の電化による最大の省力化はおそらく洗濯機だっただろうに、それを“節約”しているのである。「けっこう大変」と書くのもうなずける。ぼくの家の電気代はこの家より月4500円余計な出費をしてるが、ぼくのつれあいはこれを読んで「わずか4500円でこの快適さが入手できるわけだな」としみじみ言っていた。

 ただ、本書の子どもたちは、楽しく洗濯し、そうじをし、氷を食べている。生活の便利さをある程度捨てることで、逆に快適さを感じるレベルがぐっと低くなり、日常のどこにでも快楽を感じられるようになる。それはうらやましいと思った。

 最後は『病むほどに恋した文豪たち』。与謝野晶子、夏目漱石、芥川龍之介、太宰治らの異性関係を描いたコミックである。

 昔はこんなもんだよと言ってしまえばそれまでだが、近代の男って、ホント身勝手だな。文豪ともなると、その身勝手さが堂に入っている。特に極悪なのが島崎藤村。姪を強姦して捨てている、と要約できる。ひどすぎ。齋藤なずなの辛辣なコラムも読み応え抜群だ。
 

紙屋高雪
漫画評・書評サイト『紙屋研究所』管理人。著書に『オタクコミュニスト超絶マンガ評論』(築地書館)。

※本記事は週刊アスキー3/4号(2月18日発売)の記事を転載したものです。

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