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【私のハマった3冊】連合赤軍事件をそろそろ“総括”してみよう

2012年05月06日 19時00分更新

私のハマった3冊

アフター・ザ・レッド
連合赤軍 兵士たちの40年

著 朝山実
角川書店
1680円

萌えて学べる!! 思想コレクション
監修 吉岡友治、編 カンゼン編集部
カンゼン
1470円

世界軍歌全集
著 辻田真佐憲
社会評論社
2940円

 連合赤軍事件から40年。そろそろ事件の再検証が、いやいやその“総括”がリンチの元凶なわけで……。『アフター・ザ・レッド』は、元連赤メンバーへのインタビュー集だが、事件そのものではなく、ひとまず少し脇を照らそうという意図のもの。

 彼らは出所後どう生きているの? 事件への反省って? 無宗教の共産主義者の葬式って? といった疑問に答えてくれる。

 塀の中で夢見たジャズ喫茶で味わうコーヒーとタバコ。だが、20年経って出所してみたら、もう世間にジャズ喫茶などなくなっていた。また、出所祝いを開いてもらったら、かつての仲間が内ゲバで分裂。宴会は2ヵ所で同時に行なわれ、本人は会場をはしごした。どれも喜劇である。

 気のいい連中だが、実は左翼運動への反省はなかったりする。出所後も市民運動や環境保護の活動をしているのだ。デモに参加したら、活動家たちに本物が来たと恐れられたとか(笑)。

 本当はおもしろかった連赤事件。というと不謹慎だが、喪に服して陰惨さを語るより、真に事件を検証するってこういう作業なのかも、と考えさせられる。

「生産したものを、国家・社会が管理することによって平等な社会を実現しようとする考え方」。
『萌えて学べる!! 思想コレクション』の“社会主義”の項目である。これを暴力で実現しようとしたのが連合赤軍らの共産主義革命だった。本書は、民主主義から悪魔主義まで、○○主義をイラストと共に教えてくれる便利な図鑑。一家に一冊。

「♪立て飢えざる者よ 今ぞ日は近し」は、あの時代のテーマソング“インターナショナル”の歌詞。旧ソ連の国歌で、第1インターナショナル結成や『資本論』と同時期に生まれている。

『世界軍歌全集』は軍歌、労働歌の歌詞&解説集。軍歌は、19、20世紀の国家のイデオロギーを反映する。著者は、「趣味の対象として軍歌を消費しよう」とうそぶくが、ナショナリズム論の名著誕生の瞬間である。

速水健朗
ライター、編集者。著書『自分探しが止まらない』ほか、新刊『ラーメンと愛国』(講談社現代新書)発売中。

※本記事は週刊アスキー3月20日号(3月6日発売)の記事を転載したものです。

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