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【私のハマった3冊】暑い夏こそホットなスポーツ小説で心の汗を流してみよう

2013年07月20日 15時00分更新

939BOOK

一瞬の風になれ 第一部
著 佐藤多佳子
講談社文庫
520円

武士道シックスティーン
著 誉田哲也
文春文庫
672円

大延長
著 堂場瞬一
実業之日本社文庫
720円

 また夏がやってくる。今回は、心も体も熱くなれる、ホットなスポーツ小説を紹介したい。

『一瞬の風になれ』は、陸上の短距離走に青春をかける高校生の物語。2007年の本屋大賞に輝き、漫画化、ドラマ化もされたのでご存じの方も多いだろう。

 短距離走というエンターテインメント要素が少ない競技を取り上げながら、サッカーを辞め、陸上にめざめた主人公と、天才スプリンターだけど体育会系に向いてない親友を中心に、選手たちの心理的な駆け引き、勝利と敗戦、怪我との戦い、そして恋と友情を絡めながら少年達の熱くて爽やかな3年間を軽快な文章で描いている。単行本3冊で862ページの長編だが、読み出したら止まらなくなる。

『武士道シックスティーン』は女子剣道の話。こちらも漫画化、映画化されている。宮本武蔵を信奉する時代錯誤で剣道オタクな女子と、日本舞踊から剣道に転じたマイペースな女子という正反対の2人が、図らずも剣道有力校で同じ剣道部に所属することになり、共に悩みながら成長していく物語。続編の『武士道セブンティーン』、『武士道エイティーン』と合わせてやはり高校3年間を描き、スピード感のある文章と起伏のある物語で一気に読み手を引っ張っていく。

『大延長』は高校野球の頂点である甲子園の決勝戦が舞台。甲子園5回連続出場の常連強豪校と初出場の公立高校の対決なのだが、それぞれチームの監督は大学時代にバッテリーを組んだ仲で、主力選手どうしもリトルリーグ時代のチームメイト。因縁の両者が0対0で延長15回までやっても勝負がつかず、翌日の再試合の朝から物語が始まる。ともに必勝を誓うが、さまざまなトラブルが両者に襲いかかる。

 3作品とも、性格と方法論が異なるライバルの勝負を軸に、彼らの苦難と悩みを描き、そこからの成長ドラマを醍醐味としている。ある意味テンプレート的だが、描かれる物語はどれも読者の予測を超える。

根岸智幸
電子書籍『ミニッツブック』(外部サイト)やってます。

※本記事は週刊アスキー7/30号(7月16日発売)の記事を転載したものです。

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