週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Xアイコン
  • RSSフィード

【私のハマった3冊】よくわからない強豪 中日ドラゴンズの秘密

2013年04月05日 12時30分更新

私のハマった3冊

落合語録
著 加古大二
トランスワールドジャパン
1050円

継続する心
著 山本昌
青志社
1365円

中日ドラゴンズあるある
著 大山くまお
TOブックス
1050円

惜しくも準決勝で負けてしまったWBC日本代表だが、もっとも鮮烈な活躍をしたのが井端弘和選手だ。渋くて地味な存在ながら、キワキワのところで力を発揮する。これぞ井端を育んだ中日ドラゴンズのチームカラーそのもの。ローカル球団の悲しさか、ドラゴンズ関連書は近年ほとんど存在しなかったが、今年1月には3冊がほぼ同時に刊行された。これらを読めば“井端を生んだよくわからない強豪”ドラゴンズの秘密がわかるはず。

まずは、8年連続Aクラスという黄金時代を築いた落合博満前監督の名言集、加古大二『落合語録』(トランスワールドジャパン)から。「最後は練習した者が勝つんだ」という言葉に代表されるように、落合監督の考え方は極めてシンプル。ひたすら練習しろ、そして結果を出せ。「井端のサードゴロ併殺打が一番の収穫」という不思議な言葉は、ランナーがいるときに右打ち(ライトを狙った進塁打)ばかりしていた井端が、左方向に強い打球を放ったことを“収穫”だとしたもの。井端がWBC台湾戦で放った起死回生の一打は左中間へのヒットだったが、実はこの言葉が伏線だったといえる。

練習の虫といえば、プロ30年目という未曽有の領域に突入した“球界のシーラカンス”山本昌。彼の著書『継続する心』(青志社)には、地道な努力を積み重ねてきた様子がみっちりと描かれている。「ダイヤでなく“いぶし銀”をめざす」という言葉は、いぶし銀だらけのドラゴンズをよく表している。

最後に拙著『中日ドラゴンズあるある』(TOブックス)を。「攻撃より守備を見ていたほうが楽しい」、「一度に3点以上入るとびっくりする」など、ロースコアの渋い試合を見過ぎたドラゴンズファンの心理が並ぶ。井端の活躍をきっかけにドラゴンズに興味が湧いた人にぜひ読んでもらいたい。そして筆者と一緒にドラゴンズを応援しよう!(血走った目で)

大山くまお
フリーライター&編集。著書に『名言力』、共著『バンド臨終図巻』、『アニメーション監督 出崎統の世界』。

※本記事は週刊アスキー4月16日号(4月2日発売)の記事を転載したものです。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります