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【私のハマった3冊】親御さんを感心させる 入学祝いに贈りたい絵本3冊

2014年03月14日 14時30分更新

971book

はじめてであう すうがくの絵本1
著・絵 安野光雅
福音館書店
1680円

タンク・タンクロー
著 阪本牙城
小学館クリエイティブ
3780円

サーカスぞうのライリー
著 WAKAKO
読書館
2940円

 

 縁あって小学校入学祝い用の本選びをすることになったのだが、これが意外と難航した。平積みベストセラーでは芸がないし、ほかと被る恐れもある。仮にも評論家を名乗るからには、なにか親御さんを感心させる"ひねり"がなければならぬ。

 そんな見栄っ張りな動機で書店を徘徊してみつけたのが『はじめてであう すうがくの絵本』。数学などと言いながらいきなり“なかまはずれ”探しから始まる。そこにはあらゆる自動車の絵がかいてあるだけ。大人でも一瞬戸惑うが、これはつまり「正解は一つではなく、どんな理由でその解を選んだかが大事」と言っているわけだ。

 意外にも数字をいじくる問題は多くなく、推理クイズを楽しんでいるうちに数学的思考が身につく点が、味気ない他の知育系絵本とは一線を画している。大人向け解説の量も多く、読んでいるうちに自分がハマってしまった。

『タンク・タンクロー』は、漫画デビューに最適だと思う一冊。豪傑のタンクローが、鉄製の身体のあちこちから都合のいい道具を取り出し敵と戦うナンセンス系のアクションだ。

 戦前の人気漫画だが、復刻版は箱入りの装丁で所有する喜びがあるし、吹き出しはすべてカタカナなので未就学児でもなんとか読める。漫画でも古典なら教養のひとつになると思うし、のちに『ドラえもん』や映画『スター・ウォーズ』に出会った時、ここに元ネタ、原点があったことに気づく楽しみもある。

『サーカスぞうのライリー』は、親、友人、仲間など縦横の関係によって生かされる“人生の本質”を伝える感動もの。サーカスの子象ライリーの頑張りには、読み聞かせるコチラが思わずホロリ。ジュエリー絵本と銘打ち、特製アクセサリー付きの豪華版はなんと75万円! 子供よりお母さんを喜ばせたい人にもピッタリのギフトといえるだろう。 私は廉価な書籍版しか買えなかったけどね……。

 

前田有一
亀有出身の映画批評家。100パーセント消費者側に立った"批評エンタテイメント"をテレビ等で展開中。

※本記事は週刊アスキー3/25号(3月11日発売)の記事を転載したものです。

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