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【私のハマった3冊】スローフードかチェーン店か すでに来ている未来の食を考える

2014年08月23日 14時00分更新

992BOOK

未来の食卓
2035年 グルメの旅

著 ジョシュ・シェーンヴァルド
講談社
2376円

気がつけばチェーン店ばかりでメシを食べている
著 村瀬秀信
交通新聞社
1296円

食べること考えること
藤原辰史
共和国
2592円
 

 大人になったら宇宙食みたいな形のものを食べているのが“食べ物の未来”だと思っていたし、そんな世界は決して豊かではないとも考えていた。

『未来の食卓』では現在、白身魚はただ身が白い深海魚かもしれず、サラダミックスに入っているレタスが私たちが認識しているレタスという形をしていない別の野菜を食べている、というくらいには未来が来ていて、体に良いスローフードだけを食べるという過激な“フード左翼”にはいかず、“持続可能な完璧な食事”、例えば遺伝子組み換え作物がアフリカやアジア地域の栄養不良者たちにとっていかに役に立つかという他者視点から食について考える必要があると言っている。日本現代社会の範囲で考えれば、加工されていないスローフード食品のみを選んで食べるという偏った思想はとても生きづらい考えであり、もっと手軽で低価格の食事でも楽しめるのではないのか。

 チェーン店が無個性無感動無教養だと考えている人は『気がつけばチェーン店ばかりでメシを食べている』を読めば、安くて便利で気楽という利点とは別の利点、実はチェーン店にも個性は存在するんだと発見できる。

「食べものって単なる死骸のかたまりなんですか?」という帯文が目につく『食べること考えること』では、食べる時間を削ってまで仕事に充てているサラリーマンは効率的に栄養を身体に浸透させるには栄養機能食品を数秒チャージする必要があるが、結果こういった台所を介さない効率化を求めた食事、行為が"食べる"ということを衰退させたのではないかと述べている。

 しかし、効率的な食の中でも豊かな感情が、食事の時間を楽しくすることもある。それは昔は考えもしなかったが、ケータイ電話で好きな情報を見ながら瞬間栄養チャージをしているという行為は、"食べる"という行為から離れていると思う人もいるかもしれないが、現実に起きている食の未来なのかもしれない。
 

あんろ
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※本記事は週刊アスキー9/2合併号(8月18日発売)の記事を転載したものです。

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