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【私のハマった3冊】カラダの中や生活スペース 自分の今いる状態を整理する

2014年03月22日 18時00分更新

972BOOK

斜陽
著 太宰治
新潮文庫
357円

カラダ・プロファイリング
著 おのころ心平
集英社
1260円

老前整理
著 坂岡洋子
徳間書店
1260円
 

 気分が塞ぎだす直前に、いつも読んでいた本がある。ただ好きだから、何度も読み返すのだが、気がつけば不思議と“落ち”のスパイラルの入り口に立っているのだ。太宰の『斜陽』である。没落貴族の家庭を舞台に、 “恋と革命のため"生きようとする主人公に感情移入し過ぎてしまったからだろうか? そんなことに気がついてから、意識して読み時を選ぶようになったせいか、今はこれを読んでも嫌なスパイラルにはならない。

 自分の状態を何かのきっかけで知り、後に起こるであろう問題を回避することってある。

「手を組むとき、右と左の親指、どっちが上になる?」そんな簡単な質問から始まる『カラダ・プロファイリング』は、普段、なんの気なしにしている私たちのクセをきっかけに、それに紐づく臓器の特性を読み解き、私たちのカラダへの理解を深めて、未知なる自分の才能への気づきを促す。東洋医学の経絡バイオリズムの考えから紹介される“臓器時計”を意識して過ごすことで、カラダのバランスを健やかに保ち、ビジネスの場においてのパフォーマンス向上にもつなげるという一冊だ。

『カラダ・プロファイリング』はソフトの部分への気づきを促すビジネス実用書だが、『老前整理』はハードの部分を入り口にした生活実用本である。整理術指南本は数多くあるし、本書でも方法としての整理術が紹介されるが、それよりもむしろ、生活の場を整理し、何が必要で何が不必要かを考え、選んでいくことを通して「どういう自分になりたいか」、「どのように生きていきたいか」を見つめ直すというテーマの一冊である。

 普通に生活していれば、さして意識もしないカラダの中やモノに溢れた生活スペース。それらへ思いを馳せ、自分の今いる状態を意識し、整理することで、次の10年、20年をどんな風に自分が過ごしていきたいかが見えてくる。そんな次なる一歩を踏み出す読書体験であった。

 

奥村知花
成城大学卒。“本しゃべりすと”として、新刊書籍のパブリシティに携わりつつ、書評エッセイなど執筆。

※本記事は週刊アスキー4/1-8合併号(3月18日発売)の記事を転載したものです。

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