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【私のハマった3冊】変な環境にこそ昆虫が存在し、明るすぎる町 東京人が考える東京

2014年06月07日 20時00分更新

982book

「光の家具」照明
著 坂川栄治
TOTO出版
1620円

ときめき昆虫学
著 メレ山メレ子
イースト・プレス
1728円

東京バラード、それから
著 谷川俊太郎
幻戯書房
2376円
 

 東京人による東京感はサバけている印象を持たれることがある。白熱球よりも、明るいことが豊かさの象徴と認識しているのか、“明るくて白く光る棒”こと蛍光灯の光が燦々と東京では輝く。深夜まで遊ぶには適しているかもしれないが飛行機から見たら白く地上が見えるだろう。高級店、高級志向のお店から光の陰影こそが雰囲気と生活、高級感を感じさせてくれるのだと学んではいないのか。なぜどこらかしこも100ワットの蛍光灯が光っているのかと『「光の家具」照明』を読むと東京を憂いでしまう。

 東京の中でも特に明るい場所であろう繁華街・渋谷では近年、"最強生物"というコピーとともにかわいいキャラクターグッズで絶賛売り出し中の虫“クマムシ”が採取できるらしい。それもモヤイ像に付着している様な清潔なコケではなく、髪の毛が絡んだ特に汚いコケに寄生していて、渋谷でゴキブリ以外にもそんな生物の自然観察会が可能ということに驚く。東京には他にもホタルやタマムシの名所があり、キャミソール姿の若い女の子がキャッキャしながらも楽しめる都会でカオスな虫の自然観察場があると『ときめき昆虫学』は教えてくれた。

 明るすぎと感じ、変な環境にこそ生物が存在している不思議な東京に住んでいるが、実はこういった日々接しているものすごい情報の洪水は東京人によるものではなく、東京以外の出身者による巨大な夢の集合体が日々切磋琢磨して形成しているんだな、ということに気づく。

 それでも、ラッシュ時の電車が好きだったり環境音がないとかえって寝にくい等、東京ではない場所にいるといかに自分が東京人なのかということを『東京バラード、それから』は実感させてくれる。「東京を離れてみると東京を思い出さない日はないし東京ではない都市の物語は東京の物語の遠い親戚でしかなかった。」東京人も意外と熱く日々東京のことを考えている。
 

あんろ
日々かわいい女の子おっかけ対象が変化するのだが、最近は広瀬すずちゃんで安定している。めずらしい。

※本記事は週刊アスキー6/17号(6月3日発売)の記事を転載したものです。

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