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網越しでも横顔でも動いていてもしっかり猫にピントが合うソニー「α9 III」はやっぱり欲しくなる1台

2024年01月31日 12時00分更新

ハチワレ港猫を、船を係留するための係船柱とともに。ちょっとまぶしそう。2024年1月 ソニー α9 III

 さて今回は、鞆の浦へ行って、ソニーの「α9 III」で猫を撮ってきたシリーズの最終回。実はたくさん猫に出会って、たくさん写真を撮ってきたのだ。

 なにしろ、α9 IIIったら猫を見つけると瞬時にピントが合うし、連写してもずっと合い続けてくれるし、レスポンスがいいので撮ってて気持ちがいいからどんどん撮影枚数が増えちゃうのだ。おそろしいカメラである。

「24-70mm F2.8」レンズを装着したα9 IIIとクロネコ(後ろにちょっとだけ黒いもふもふが写ってる)。高性能のハイエンド機でもボディサイズは大きくしない、ってのがいい。

 今回の舞台は港。冒頭写真は、鞆の浦近くの小さな漁港で撮影したハチワレ。きれいに目を開いてくれなかったのだけど、古い係船柱があり、奥に海や船が見えているという港っぽい背景で撮れたので最初に持ってきた。

 やっぱ、その土地ならではの背景があると、写真の味わいが違ってくるよね。この猫でもう1枚。小舟の前を通り過ぎる瞬間で、背景には斜面に建ち並ぶ家々という地形まで収められた。

誰もいない小さな港を我が物顔で闊歩していくハチワレ。無造作に置かれた小舟が、海辺の町ならではだ。2024年1月 ソニー α9 III

 この小さな港は、漁で獲れた海産物をその場で下処理するための小屋が並んでおり、普段はそこで余り物をもらって食べているようである。このときは正月で漁も休みだったのだけど、近所の人が世話をしているようで、餌も用意してあった。

 そんな港の猫なので、人に慣れてるってほどじゃないけど、ある程度の距離を保てば写真くらいは撮らせてくれる。いい位置に猫がいたら、しゃがんで、モニタを開き、AFを動かして猫の目を捉えたのを確認して撮る。

こんなふうにモニタを開き、親指でシャッターを押すと低い位置で撮りやすい。この写真だと、どんなセッティングで撮ったか、見る人が見れば一発でわかりますな。

 先ほどと同じ猫だが、こちらは翌日の午前8時。もう1匹も顔を出してくれた。

白黒のハチワレを撮ってたら、後ろからそっとキジトラのハチワレもやってきたのだった。2024年1月 ソニー α9 III

 後ろにいるキジトラのハチワレはまだ若くて警戒心が強く、何人かが港へやってきたら狭い所に隠れてしまった。でも、チルト式モニタなら大丈夫。モニタを開いて地面すれすれから探せば発見。ちょっと顔が不安そう。

歩いてる人からは見えない場所へ隠れたキジトラハチワレだが、カメラからは逃れられないのだった。2024年1月 ソニー α9 III

 では、ちょっと別の場所へ移動。

 猫AF機能を持っているカメラはいっぱいあるけれども、真価が問われるのはこういうシーン。網の向こうに猫がいるのだけど、手前の網じゃなくて猫にちゃんとピントが来てるのだ。こういうの大事。

 ちなみに、猫が閉じ込められているのではなくて、猫を保護しているのだ。かなり大きな小屋で、ちゃんと屋根のある建物とつながってる。

なんか気持ちよさそうな顔をしてる。フォーカスはカメラの猫AF任せ。ちゃんと手前の網に引っ張られず、猫の顔にピントがきてる。2024年1月 ソニー α9 III

 レンズを網に近づけ、網から離れた猫を撮ると手前の網もほぼ消える。

奥にはちょこんと行儀よく座ってる美猫もいたのだった。2024年1月 ソニー α9 III

 行儀よく座ってる姿を見ると、いい里親さんが見つかるといいですな、と思いつつ、この小屋のすぐ近くには募金箱が置いてあるので、通りがかるたびに少し寄付する。

 もう1枚、α9 IIIの猫AFは優秀だなあという写真を1枚。横顔でもきちんと瞳にフォーカスを合わせてくれたのだ。

何を見下ろしているのかわからないけれども、いい横顔です。2024年1月 ソニー α9 III

 さて、α9 IIIで猫を撮るシリーズ最後の1枚は、東京へ戻って出会ったミケ。

 寒い日、日差しを浴びてごろごろと転がっていたのだ。すごいスピードで地面に体をこすりつけていたので、いい瞬間を撮るべく、シャッタースピードをぐんと上げて連写し、顔がちょうどこっちを向いて、しかも、ごろごろしてる様子がよくわかる1枚を選んでみた。

この両手(じゃなくて、両前足)がラブリーですな。高速で転がっていたので、試しに1/80000秒で撮ってみた。2024年1月 ソニー α9 III

 

 カメラに何を求めるかって人それぞれだし、どんな写真を撮りたいかでも変わってくるので一概には言えないけど、正月に撮った猫写真を見返していると、あらためてα9 IIIが欲しくなる(もちろん予算的な問題は抜きにして、だ)のであった。

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筆者紹介─荻窪 圭

 
著者近影 荻窪圭

老舗のデジタル系フリーライター兼猫カメラマン。今はカメラやスマホ関連が中心で毎月何かしらのデジカメをレビューするかたわら、趣味が高じて自転車の記事や古地図を使った街歩きのガイド、歴史散歩本の執筆も手がける。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『古地図と地形図で楽しむ東京の神社』(光文社 知恵の森文庫)、『東京「多叉路」散歩』(淡交社)、『古地図と地形図で発見! 鎌倉街道伝承を歩く』(山川出版社)など多数。Instagramのアカウントは ogikubokeiで、主にiPhoneで撮った猫写真を上げている。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/

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