小さなサプライズから始めよう
著 リー・コッカレル
新潮社
1620円
靴を読む
著 山田純貴
世界文化社
1512円
大人のジョーク
著 馬場実
文春新書
799円
『アナ雪』ブルーレイの売り上げが一週間で200万枚という。このブームの分析のため読んだのが、ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート元副社長が著したサービス業の極意『小さなサプライズから始めよう』。39のシンプルルールは説得力抜群でいいビジネス書だが、同時にレリゴーにハマる女性たちを口説く極意そのものでもあった。
いわく「仕事に対して理想の台本を書き、アドリブ混じりで演じろ」。彼は理想のテーマパークで最高の休日を過ごす一家の物語を実際に書き、それを部下に配ってディズニー・ワールドを改善したらしい。これなどデートにも日常生活にも応用可能だ。「ライバル企業のいいアイデアを真似するのも大切」など、いち映画評論家としては思わず突っ込みたくなる項目もあるが、そこはあえてスルーし「服装にこだわれ」との助言に従い『靴を読む』を読んでみた。
クラークスのデザートブーツが元々砂漠行軍用という話はデマだとか、コールハーンのペニーローファーに若者がコインを挟んだ理由とか、名靴のストーリーの裏話を網羅。雑誌ビギンの靴担当だった著者だけあって、デートの身だしなみ用程度には有り余る珠玉の知識を得られる。あまりにマニアックすぎて、靴に関心ない女子との会話ネタに使うと、ただの履物に異常な執着をしめすキモオタ扱いされる恐れすらあるほどだ。
粋な小話満載の『大人のジョーク』はその手の用途に最適だが、結婚ジョークだけは禁物だ。例えば──自慢気なアラフォー女子が言った。「今まで何千回も結婚してくれと言われたわ」、「知ってる。君の両親に言われたんだろ?」
女性に話したら血の雨が降りそうだが、そんな失敗をしたら再びディズニー副社長の言葉を思い出そう。「決してNOというな、口論もするな、ひたすら謝れ」
ありのままで、が許されるのは女王さまだけなのだと、くれぐれも忘れてはならない。
前田有一
亀有出身の映画批評家。100パーセント消費者側に立った"批評エンタテイメント"をテレビ等で展開中。
※本記事は週刊アスキー8/19-26合併号(8月5日発売)の記事を転載したものです。
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