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【私のハマった3冊】コンピュータに超えられつつある人間の脳が生き残る方法

2014年12月14日 10時00分更新

wambook

ファスト&スロー
あなたの意思はどのように決まるか? 上・下

著 ダニエル・カーネマン
ハヤカワ・ノンフィクション文庫
各907円

ネット・バカ
インターネットがわたしたちの脳にしていること

著 ニコラス・G・カー
青土社
2376円

アルゴリズムが世界を支配する
著 クリストファー・スタイナー
角川EPUB選書
1728円
 

 人間の脳は複雑で、コンピュータにできない高度で知的な判断ができる。そんな常識が覆されつつあるのご存じだろうか?

 脳の働きには、2つの思考システムがあり、ひとつめ(システム1)は経験と記憶を高速に検索して一瞬で判断を下すが数字に弱く、わかりやすいストーリーにすぐ騙される。ふたつめ(システム2)は、複雑な問題をじっくり考えられるが、怠け者でシステム1の愚かな判断を容認しがちだ。そして自分の判断に対して甘く、記憶を改ざんして間違いを繰り返す。

 この仕組みを心理学と統計学の実験結果を元に、ノーベル経済学受賞の著者が丁寧に解説したのが『ファスト&スロー』だ。

 消防士や医者の直感は当たるが、政治評論家や経済アナリストの予測はほとんど意味が無いとか、複雑な文脈や背景を調べるより単純な統計結果に頼ったほうが確実に将来を予測できるなど衝撃的な話が書かれている。

 この過ちを犯しやすい私たちの脳が、ネットやスマホによって刺激に晒され続けた結果、じっくり考えたり長い文章を読み書きする力を失いつつあると指摘したのが『ネット・バカ』だ。

 最新の脳科学とメディアの発達史を交えながら、脳は死ぬまで変化し続けるから、どう使うかが問題なのだとしている。

 一方、『アルゴリズムが世界を支配する』では、ウォールストリートの金融界を皮切りに、ヒット曲の予測やポーカーの心理戦、人間関係の改善や言葉の裏にある真意の判断など、人間が得意だとされる分野において、すでにコンピュータ予測が人間を凌駕しているのだとしている。

 今後は多くの知的職業がコンピュータ・アルゴリズムにとって変わられるが、アルゴリズムを作り出せる人間は重宝され、生き残れるとも予言している。

 このアルゴリズムを支える重要な要素が統計学と心理学だ。

 あなたが今後生き残っていくには、この3つを学ぶことが大切になっていくだろう。
 

根岸智幸
元編集者。現ウェブ屋。『東京グルメ』とか『本が好き!』とか企画運営。Twitter:@zubapita

※本記事は週刊アスキー12/23号(12月9日発売)の記事を転載したものです。

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