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【私のハマった3冊】簡単なようで難しい、会話やスピーチの秘訣を達人が明かす

2015年05月18日 19時00分更新

1030BOOK

なぜ、この人と話をすると楽になるのか
著 吉田尚記
太田出版
1200円

聞き出す力
著 吉田豪
日本文芸社
864円

心を揺さぶる語り方
著 一龍斎貞水
NHK出版
756円
 

 会話は難しい。とくによく知らない人との雑談は難しい。年を経るに従いそう感じる。若いころは自分がしゃべりたいことをまくし立てていた。学校や会社の気の知れた仲間が相手なら共通の話題もあって、会話が詰まることもない。しかし、交友範囲が広がるにつれ、初対面の人、よく知らない人と一緒になる機会が増える。沈黙が気まずい。何か話さなきゃ。何を話せばいいのか? 天気の話題? 昨日のテレビの話? プライベートなことは聞いたらまずいよね。雑談って、難しいなあ。

 そんな雑談を誰でもこなせる方法を、自称“コミュ障”の吉田尚記アナウンサーが、コミュ障ゆえに研究を重ねてきたテクニックと実例をあげて教えてくれるのが『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』。会話は“ゲーム”だとして、サッカーのように相手の言葉をトラップし、質問をパスし、自分の話をしてドリブルする、という基本テクニックを説明している。会話の目的は会話そのものにあり、自己表現とかじゃないと喝破しているところが素晴らしい。

 相手からおもしろい話を聞き出すという視点で語られているのがプロインタビュアー吉田豪の『聞き出す力』。一応テクニック集の体裁をとっているが、実態は吉田豪の過去のインタビュー仕事の裏話を開陳したもの。とはいえ読者にとっておもしろいインタビュー記事を作るために配慮すべき点もわかる。ライターやブロガーなら読んで損はないし、一般の人にも、有名人の裏エピソードは楽しめるだろう。

 『心を揺さぶる語り方』は、人間国宝の講談師・一龍斎貞水が大勢の聴衆に向けて話をする際の方法論を述べたもの。単に決まったストーリーを語るのではなく、観客の構成や反応によってアレンジしたり、話に起伏をつけて飽きさせない方法などが書かれているが、一番大事なのは語り手の真剣な心だという。プレゼンや結婚式の挨拶など、人前で話す際に役立つだろう。

 

根岸智幸
元インターネットアスキー編集長。著書に『Twitter 使いこなし術』など。ツイッターは@zubapita

※本記事は週刊アスキー5/26合併号(5月12日発売)の記事を転載したものです。

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