12月12日、ニコニコ動画がサービス開始から5周年を迎えた。節目を迎えて新たなるスタートを切るために、東京・六本木にあるニコファーレでイベント“『原点回帰』ニコニコ動画5周年記念新サービス発表会(仮)”を開催した。
名前のとおり原点回帰がテーマで、ウェブサイトの構成や機能を再編・復活すると発表した。さらにニコ動に動画を投稿しているクリエイターにドワンゴが奨励金を支払う新企画もスタートした。発表内容をダイジェストで見ていこう!
■もう一度“動画”に立ち戻る
ニコニコ動画は'06年12月12日、“(仮)”というバージョン名でひっそりとスタート。当時はYouTubeの動画を引用して、そこにコメントをかぶせる仕組みだった。冒頭、ドワンゴの川上会長は「もともとニコ動が始まった時期はエイベックスの人などいろいろな人種がアクセスしていた」と振り返る。
さらに「それがYouTubeにアクセスを遮断されたり、MADを削除することになっていろいろ立ち行かなくなりそうだったから、生放送とかいろいろやってごまかしてきた。でも最初のころのみんながいっしょに楽しめていたあのところにいつか戻りたいと想ってる。まぁ(今回は)そこまでは戻りませんが」とぶっちゃけトークを展開していた。
テーマは“原点回帰”。ニコ動運営陣が約1時間30分に渡ってひたすら新機能をプレゼンする内容だったが、ユーザーは思い思いに楽しんでいた。まるで初期のニコニコ大会議な雰囲気だ。オープニングビデオでは、次期バージョンの“ニコニコ動画(ZERO)”を'12年4月29日に開始することを予告。ちなみに4月28、29日は幕張メッセをほぼ借り切るという大規模な関連イベント“ニコニコ超会議”の開催日だ。
ドワンゴの川上会長。ニワンゴ取締役の西村博之(ひろゆき)氏が遅刻したため、急きょ、最初から出演することとなった。
ドワンゴの小林社長が「登録者数は2505万人、有料会員は147万人」(12日現在)と報告。原点回帰については「5年でちょうど1週。スタート地点に戻るのではなく、2週目に入るもの」とコメントしていた。
メインの発表は、ニコニコ動画の新要素。投稿者にとっては、カテゴリーの再編が大きい。“ニコニコインディーズ”、“車載動画”、“旅行”、“ニコニコ手芸部”、“作ってみた”という5つを追加。
ランキングは、今まで碁盤の目のようなカテゴリー別ランキングが最初に表示していたが、全ジャンルをまとめたカテゴリー合算ランキングが復活した。
削除動画が復活。といっても消された動画ではなく、消されたことを告げる動画に144倍出会いやすくなった。古参の“ニコ厨”なら常識であろう“Fooさん”のヘタウマなリコーダー曲で新作が投入される。
そのほか、カテゴリーのトップページに“人気のタグ”のランキングが現われた。
過去の視聴情報から興味をもちそうなタグと動画を紹介してくれる“オススメ”ページが追加された。
■人気クリエイターがお金やポイントがもらえる!
ニコ動の作品などに使える素材を共有するためのサービス“ニコニコモンズ”がリニューアルしたことも大きい。作品の関係性を表わす機能を“コモンズツリー”から“コンテンツツリー”と改名。作品に元ネタがある場合、投稿者がニコニコモンズ上で“親”を指定しておくことで、作品の親子関係がツリー表示する。コンテンツツリーは二次創作が盛んなニコ動では、元ネタ、派生動画を探すのに役立ちそうだ。
さらにクリエイターへの奨励プログラムもスタート。投稿者がプレミアム会員、かつ動画が3ヵ月公開されててコモンズツリーに登録してあるという条件をクリアーすれば、現金かニコニコポイントで奨励金を受け取れる。さらに派生動画が人気になった場合、元ネタに“子ども手当”が還元される。すでにYouTubeではパートナープログラムを展開しており、再生数の多い動画に広告を表示してユーザーに収益を分配している。これからはニコ動でもおもしろい動画を投稿する人は、金銭的に利益を受けられるだろう。
奨励金について川上会長は、「基本は自己申告した人で、ある一定の金額を山分け」と説明。金額については、ドワンゴ取締役の夏野氏は「今年のアクセス状況を分析するとだいたい4億円ぐらいが払われる見込み。基本はニコニコポイントで、ある一定の金額以上になると現金でも受け取れる」と語る。ひろゆき氏は「再生数工作への対策も考えてる」と付け足していた。今回の目玉とも言えるクリエイター報奨プログラム。申し込まないともらえないので、投稿側はがんがん登録していくべし。
ニコニコ生放送では、ユーザー生放送でも16対9の画面比に対応。本日よりプレミアム会員限定で先行公開する。
動画や生放送の下にamazonなどの商品を貼れる“ニコニコ市場”でもポイント還元キャンペーンを実施。貼られた商品を購入した人や、その動画や生放送のユーザーが40円ごとにニコニコポイントで1ポイントもらえる。
後半で盛り上がったのは、川上会長をモチーフにしたアニメ『キュッキュの大冒険』。作画は、もののけ姫の戦闘シーンなどを担当したスタジオジブリの大塚伸治氏がつとめた。
イベントでは、'12年1月15日に発表会を設けて今回に間に合わなかった新機能をお披露目すると告知していた。4月29日の新バージョン“(ZERO)”に向けて、どんな原点回帰を果たして行くのか。やっぱりニコ動から目が離せないぞ!
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1,500円
●発表会の動画はこちら(関連リンク)
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