ニコニコ超会議で、ミュージシャン向谷実氏のプロデュースによるブルートレイン『ニコニコ超会議号』が運行したのは先日お伝えしたとおり(関連サイト)。さらに4月28日には、品川駅を出発し、超会議最寄りの京葉線の海浜幕張駅までミステリートレイン『ニコニコ超会議号』が運行した。また、超鉄道ブースでは、JR九州で運行していた特急型車輌485系の部品を購入できる、『世界初! 485系公開解体買付ショー』が行なわれた。その様子をレポートする。
■ミステリートレイン『ニコニコ超会議号』はこんな列車
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ミステリートレイン『ニコニコ超会議号』は、出発駅が品川駅、到着駅が海浜幕張駅と決まっているだけで、その運行ルートは参加者に知らされない“ミステリートレイン”だ。ミステリートレインの楽しみ方は、まさにその隠された運行ルートを当てること。そのため、ふだん時刻表に載っていない臨時列車のダイヤが掲載されている『鉄道ダイヤ情報』(交通新聞社刊)にすらそのルート時刻は掲載されない。
ミステリートレイン自体の歴史は古く、1930年代からあったとされる。過去には、松本零士氏の漫画『銀河鉄道999』にちなんだ列車が運行するなど、鉄道ファンにとってはお馴染みの“遊び”といえる。
ミステリートレイン『ニコニコ超会議号』に関しては、事前に以下の情報だけが明かされた。ちなみに、使用された車輌は485系お座敷電車『宴』。車輌によっては入線できる路線が限られているため、使用車輌からルートを予想することもできるのだが、『宴』の場合は交直両用の電車であり、ATSなどの保安装置も基本的に首都圏の路線にはすべて対応できるものを搭載しているため、使用車輌がヒントにならないのがネックだ。
【ミステリートレインに関する事前情報】
・8時30分~9時ごろに東海道線 品川駅8番線発
・13時~14時ごろに京葉線 海浜幕張駅着
・乗車時間は4時間前後
・方向転換:3回 (方向転換が行なわれるのは“総武線 津田沼駅、外房線 誉田駅と、あとひとつは秘密”)
■鉄道好きの著名人が参加!
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ツアーは100名強の参加者のほか、この列車を企画したミュージシャン向谷実氏、テクノユニット『SUPER BELL"Z』の車掌DJ 野月貴弘氏、鉄道好きで知られるホリプロのマネージャー南田裕介氏、『CS鉄道チャンネル』に出演しているホリプロ所属のアナウンサー久野知美さんが参加した。ちなみに、向谷氏と野月氏は、前日にブルートレインニコニコ超会議号に大阪から乗車しており、高崎駅で途中下車し、そのまま新幹線を乗り継いで駆けつけた。
向谷氏は今回のミステリートレインのルートについて「JRの人すら“見てみたい”と言ってくれるほど意外な場所で曲がります」と、本職や鉄道ファンすら予想できないルートであると、ルート選定の意外性に自信を見せていた。
■お座敷電車でドンチャン騒ぎ!?
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列車は8時52分に品川駅8番線を発車。ここで東海道線で横浜方面に向かうか、山手貨物線で埼京線方面に入るかで、最初のルートの分かれ道。結果は、列車は山手貨物線に入り埼京線方面へ。大崎駅の脇を通過し、埼京線や湘南新宿ラインが走る山手貨物線へ。
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お座敷電車のため、車内は畳敷きにテーブルという、普通の列車とは違って足を伸ばしてくつろげるのが特徴。ツアー客はアルコールを持ち込んだり、配られたニコニコ動菓を食べたりと、それぞれ楽しんでいた。途中、新宿駅で運転停車したが、ホームからはふだん見かけない列車の車内で盛り上がっている集団に興味津々の眼差しが注がれた。
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向谷氏と著名人一行は車内を1卓ずつまわって、ツアー客と交流を深めた。やはり、鉄道好きが多く、ツアー客の中には生主もいて、向谷氏と自身のトークを生放送する場面も見られた。
■予想を裏切るまさかの側線方向転換
列車は池袋を過ぎ、湘南新宿ラインで使われている路線に入った。ルート当てクイズは最初にどこで方向転換するか見極めることが正解を握る鍵となってくる。ヒントでは、外房線誉田駅と総武線津田沼駅で方向転換するとなっており、これからルートを逆にたどると、列車は千葉駅方面から入ってくることになる。湘南新宿ラインから千葉へ向かう場合、何らかのかたちで常磐線に入り、我孫子から成田線を経由して総武本線に入り千葉を目指すことになる。この津田沼から常磐線に入るルートは大半のツアー客が予想できたのではないだろうか。
ただし、どんなかたちで常磐線に入るかが予想の分かれるところだ。筆者は、山手貨物線に入った時点で、大宮駅で方向転換して、南浦和付近で武蔵野線に入り、そこから南流山付近で常磐線に入ると予想したが、この予想は見事に外れた。
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列車は上中里駅を過ぎるところで、側線に入りいきなり停車。「運転停車か?」と思ったところ、なんと、ここでまさかの方向転換。通常では貨物列車だけが走る田端の操車場に入っていく。これにはさすがに筆者も驚いた。確かに田端の操車場は、常磐線の三河島駅付近でつながっており、このルートであれば常磐線に抜けることができる。
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大宮など、どこか駅で方向転換するかと思いきや、乗員の乗降タラップだけがある側線で方向転換。意外な展開にルート当てクイズの正解者もかなり絞られた。とはいえ、ルート当てクイズの正解者はなんと8人も出た。
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このあと列車は常磐線に入り、我孫子駅の3番線で運転停車。そして、成田線に入り成田駅、佐倉駅と通り、総武本線へ。そのまま千葉駅を通過し、津田沼駅に滑り込んだ。ここで2度目の方向転換。再度千葉駅を通り3度目の方向転換となる外房線の誉田駅に到着。この時点で参加者には、ルートクイズの正解ともいえるダイヤが印刷された着席券シートが配られ、事実上の正解発表となった。
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ルート当てクイズの正解者には、激レアのブルートレインニコニコ超会議号のNゲージ模型や超会議号のヘッドマークがモチーフとなった時計などが贈呈された。
また、ツアー参加者全員に、向谷氏オリジナルの車内チャイムの入ったCDと宴のキーホルダーなどが参加特典としてプレゼントされた。
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そして、13時41分。定刻どおりに京葉線の海浜幕張駅に到着。ミステリートレインのルートをまとめると、写真のように首都圏をぐるっと1周するルートとなった。そして、向谷氏一行は14時からの485系公開買付SHOWのリハーサルのため、足早に超会議場に向かった。
■世界初!『485系公開買付SHOW』開催!
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ミステリートレインからニコニコ超会議の鉄道ブース『超鉄道』にやってきた向谷氏一行。次は、世界でも初の試み、廃車になったJR九州の485系特急型車輌の部品をライブ中継で買い付けようという試み『485系公開買付SHOW』が行なわれた。ちなみに、車輌はJR九州の小倉工場内にあるため、ライブ中継は小倉工場と結ばれた。
鉄道車輌の部品は、工場公開の際にファンサービスとして売られることが多い。この車輌部品を専門に集めている鉄道ファンもおり、人気の高い部品はオークションなどで100万円単位で取り引きされることもある。高額になりやすい部品としては、ヘッドマークや方向幕(行き先表示)など列車名やその列車のシンボルマークが絵入りで入るもの。また、車番と呼ばれる車輌固有の番号を示す部品だ。
鉄道好きでなければ、単なる鉄くずかもしれない。しかし、自分が旅したときに乗った思い出深い車輌や、自分が好きな車輌のシンボルを手に入れられると思えば、少しは理解していただけるのではないだろうか。それが廃車になり、永遠に失われると考えれば、買いたい気持ちがわくのはなおさらだ。
向谷氏は「車輌の解体は仕方ない。解体された部品が鉄道ファンの皆様に残るのがいいこと」と語っていた。
今回、買付される485系は'11年3月まで日豊本線・鹿児島本線を走る特急『きりしま』などで使われ、鹿児島車両センターに所属していた車輌『クロハ481-203』だ。クロハ481-203は、“半室グリーン車”と呼ばれる、車内が2つに仕切られている車輌で、運転台側に2列と1列のグリーンシート、妻板側に普通車の2列シートがある。クロハ481-203は、クハ481 200番台からの改造車のため、改造前には前面に貫通扉、つまり通路があった。そのため、シンボルマークは今でも中心から2つに割れるタイプが取り付けられている。また、ヘッドマークも小型で手回し式のものが付いており、部品としては珍しい部類だ。
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この公開買付SHOWには200名前後が参加。超鉄道ブースが人で埋まるほど。
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今回の部品販売では「少しでも欲しい人が平等に買いやすくしたい」という向谷氏のポリシーから、オークションにはせずに、抽選で購入者を決める方式となった。さらに驚いたことに、購入価格は小倉から送料込み。確かに鉄道車輌の部品は10キログラム単位の重いものも多いため、部品本体が安くても送料のほうに費用がかかるというケースが多く、それを配慮したものとなった。ファンが買いやすいようにという向谷氏の心遣いが伺える。向谷氏もステージで語っていたが、北海道の稚内の参加者がもし重量のある部品を購入すれば、下手をすると送料だけで赤字になる可能性もある。
参加者はあらかじめ10枚の番号札を持っており、自分が欲しい部品の順番が回ってきたら、抽選箱に番号札を入れる。どうしても欲しい部品があれば、複数枚の札を入れられるので、ほかの部品を買えなくなるがそれだけ当選確率が高くなるという仕組みだ。
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ステージの進行はミステリートレインに乗ってきたメンバーがそのまま行ない、向谷実氏、野月貴弘氏、南田裕介氏、久野知美さんの4人が勤めた。
販売された部品は40種類。価格は2000円~20万円までと部品によって価格に開きがあった。最高金額の20万円は列車のヘッドマーク。なんと女性が購入していた。また、ひとりで複数の部品を購入するケースも多く、パンタグラフを下げる装置と上げる装置の購入者が偶然同一になったときなどは、向谷氏をはじめ会場全体が騒然となった。
入札が多かった人気部品としては、“日本車輌 昭和48年”などの銘板やJNRのロゴ入り寒暖計(温度計) などだった。全体的に販売価格が安く設定されていたため、ニコニコ生中継では、「安すぎる」というコメントが続出。また、『ホームライナー』のヘッドマークが好きという南田氏は部品が映像に写ったときに大興奮。向谷氏は「南田さん壊れた!」と突っ込まれるなどハプニングも見られた。筆者も個人的にカートレインを思わせる『ホームライナー』のヘッドマークは良いデザインだと思う。
小倉工場の銘板だけ落札者が購入手続きに現われなかったため売れなかったが、ほかはすべての部品が完売し、イベントは大盛況のうちに幕を閉じた。
■販売された部品の全リスト
【運転台部品】
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1.主幹制御器 マスコン デッドマン付き 15kg 7000円
2.ブレーキ弁基部込み (ブレーキハンドルなし) 昭和50年4月製造 ロッド番号入り 30kg 5000円
3.日立製 速度計 車軸の発電機付き 1万円
4.圧力計 3つセット 1万円
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5.電圧計 ユニット外板付き2つセット 3000円
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6.時刻表置き 電灯付き 3000円
7.遮光板 2個 各2000円
8.非常パン下げスイッチ 2000円
9.NFB板 ATSのスイッチ棒付き 3000円
※ATSやパンタを上げるなどの制御スイッチ。
10.NFB板 背面 3000円
※貫通路灯などの制御スイッチ。
11.出力増幅器・制御増幅器のセット 八幡電気産業製 5000円
※放送ボタン・ボリューム付き。
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12.乗務員用腰掛け 2個 20kg 各1万5000円
13.連絡押しボタン・ブザー 2個セット 2個 各3000円
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14.ATS警報機 3000円
15.手歯止使用中、ATS-SKほか札4枚 2000円
16.車掌用非常ブレーキスイッチ 2個 各2000円
17.ドア開閉スイッチ 2個 各5000円
18.車掌弁 3000円
【客室部品】
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19.グリーン車 1人掛け座席 (席番・フック付き、カーテン付き) 40kg 3個 各2万円
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20.グリーン車 2人掛け座席 (席番・フック、カーテン付き) 70kg 3個 各3万円
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21.普通車座席 2人掛け座席(席番・フック、カーテン付き) 50kg 4個 各2万5000円
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22.非常警報スイッチ 2000円
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23.非常灯入れ(JNRロゴ入 懐中電灯付き) 3000円
24.JNRロゴ入り寒暖計(温度計) 5000円
25.1号車号車札、くずもの入れ名称札、便所札、座席種別札+ホルダー 4枚セット 2000円
【外装関係】
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26.上部ヘッドライト 2個 各1万5000円
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27.特急エンブレム (貫通扉型) 5kg 2個 各5万円
28.タイホーン(空気笛) 2個 各1万円
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29.愛称名表示器(ヘッドマーク) 手回し式 13kg 2個 20万円
30.前照灯 2個 各5000円
31.尾灯 (カバー付き) 2個 各3000円
32.部位銘板(エンド表記) 1エンド、2エンド セット 3個 各3000円
33.銘板 “小倉工場 平成元年改造” 5000円
34.銘板 “九州旅客鉄道株式会社” 5000円
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35.銘板 “日本車輌 昭和48年” 5000円
36 銘板 “東急車輌 昭和47年”(クモハ485-3) 5000円
37.検査表 台枠付き “21-10 鹿総車” 2個 各5000円
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38.車番“クロハ481-203”、“クロハ481-201” 各5万円
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39.行き先表示器(方向幕付き) + 指令器付き 7万円
40.行き先表示器(方向幕付き) 5万円
■関連サイト
ニコニコ超会議
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