第378回
3DMarkではRadeon RX 6400&GeForce GTX 1650超え
Arc A380搭載グラボを徹底検証!インテルのエントリーゲーマー向けdGPUの現状性能は?
XMXはゲームでもクリエイティブでも活用できる
新アプリ「Arc Control」はAV1に対応
ゲーマー的に最も重要なユニットはXMXだろう。NVIDIAのTensorコアを利用した、DLSS(Deep Learning Super Sampling)と同様に、XMXを利用することでゲームのアップスケーリング処理ができるからだ。この機能は「XeSS」(Xe Super Sampling)と呼ばれている。
ただし、DLSSと同様、ゲーム側の対応が必要になるため、XeSSの普及はまだ先になりそうだ。「Topaz Gigapixel AI」などのクリエイティブ系アプリでも、XMXを利用して処理を高速化できるとインテルは謳っているが、まだアプリ側でのXMX対応はアナウンスされていない。
既存のRadeonやGeForceにはないArc A380特有の機能としては、AV1のハードウェアエンコーダーが挙げられる。AV1は既存のコーデックよりも高い圧縮率(低ビットレートでも画質がより高くなる)がウリの次世代コーデックだが、エンコード時の計算量が非常に高い。この処理をハードウェアで高速に実行できるGPUは9月中旬時点でArc Aシリーズだけだ。
Arc AシリーズのAV1ハードウェアエンコーダーは「QSV」(Quick Sync Video)を経由して実行する形になっている。「HandBrake」の対応を謳っているが、原稿執筆時点での最新ビルドにおいてAV1のハードウェアエンコードは確認できなかった。ただし、「AviUtl」+「QSVEnc」では動作が確認できたので、機能的に「そこにある」ことは確かだが、まだ広く使える機能であるとは言いがたい。
Arc A380の設定は、解像度などのシステム面は従来と同じ「インテル・グラフィックス・コマンド・センター」が担当する。GPUの負荷や温度などのステータス確認、ゲーム画面の録画、ストリーミング機能については別アプリの「Arc Control」で行える。なお、Arc Controlは「Alt」+「i」キーで瞬時に呼び出せる点はすこぶる便利なのだが、ウインドウっぽくみえる領域以外の部分をクリックするとArc Controlが画面から消える(つまり、ウィジェットのような挙動)とか、細かいところで不具合が観測されるなど、ユーザビリティーはいまひとつだ。
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