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iGPUとdGPUが同時に使える機能など、インテル Arcの魅力が分かるイベントレポ

2023年08月30日 10時00分更新

文● ジサトラハッチ 編集●ASCII

インテル Arcの魅力が分かるイベントが秋葉原にて開催された!

 2023年8月26日、ドスパラ秋葉原店の店頭にてインテル Arc グラフィックス(以降、インテル Arc)搭載ビデオカードのイベントが実施された。イベントでは、ASRockの原口有司氏、インテルの太田仁彦氏がインテル Arc グラフィックスの機能についての解説と、デモを行なった。

イベントはドスパラ秋葉原店の店頭にて行われた。12時と15時の2回実施されたが、筆者がうかがった1回目は、話が始まると突然の雨に降られて軒下に逃れるように密集したため、人の頭越しの写真が多くなっている点はご了承頂きたい

ASRock 原口有司氏

インテル 太田仁彦氏

 インテルは、ドライバーのアップデートを頻繁に行ない、GPUのパフォーマンスを計測するツール「PresentMon」のβ版を公開するなどしている。インテルの全体戦略は、ハイエンドなCPU、CPUの拡張命令セット、GPU、そして人口知能の役割を担うNPU(Neural network Processing Unit)になっている。

 今後はクライアント製品の至るところで、AIの命令セットが入ってくると、太田氏は語った。

ドライバーでいうと、インテル Arcは、すでに30回以上アップデートを実施している。出荷当時は、既に発売されているゲームの検証は終えていて、XeSSなどの優良な機能が使えるようになっているタイトルが57個以上あった。しかし、今では70タイトル以上がXeSSに対応している

特にDirectX 11対応のゲームは、およそ19%ほど速くなり、20%ほどスムーズになっている。1フレームごとに映像を生成するのにかかるLatencyの時間やバラつきが減ってきているという

ドライバーのアップデートにより、各ゲームのパフォーマンスも大幅に向上しているという

ゲームのフレームレート計測が可能な「PresentMon」β版をデモ

 次に太田氏が紹介したのは、「PresentMon」だ。「PresentMon」は、ハードウェアのテレメトリー情報を取得し、そこから得られるセミリアルタイム情報をゲームプレイ中に表示する機能を有する。

 要するにゲームのフレームレートを計測するのに使われる「Fraps」や「CapframeX」などのインテル純正ツールという訳だ。

「PresentMon」はβ版が公開されている

ユーザーはどういった項目を表示するかなど、細かく設定できる

 イベントでは実際にASRockのインテル Arc A770搭載ビデオカードを搭載したPCにて、「PresentMon」βを実行したデモが行われた。

インテル Arc A770搭載ビデオカードを備えたPCでデモを実施

ASRockは先日ビデオメモリーが8GBから16GBに向上したインテル Arc A770搭載ビデオカード「Intel Arc A770 Phantom Gaming 16GB OC」を発売している(ドスパラ価格 5万4800円)

現在はβ版が提供されている「PresentMon」。ゲームのフレームレートやGPUの周波数、Core Voltage(コア電圧)などが確認できる

AV1エンコードのデモも実施

 次に太田氏は、インターネットのデータトラフィックの80%は動画に取られている。今や誰もがYouTubeを見る時代だとコメント。そこで、インテルも含め、AmazonやNVIDIA、Microsoft、Googleなどが参画した業界団体のAOMediaが、HEVC/H.265に対抗する動画コーデックとして「AV1」を2018年にリリースしている。

 インテル Arcは、そのAV1用のハードウェア・アクセラレーションによるエンコードを備えている。AV1は従来のMPEG-2比で約4倍、未だに主流のH.264/AVC比で約2倍の高圧縮コーデック。H.264の半分のデータ容量、ビットレートで同様の画質を実現できる。

 イベントでは、太田氏が業界でベンチマークで使われるような動画3つと、アニメの評価に使われる動画を4つ目として加え、1分15秒のビデオクリップを用意。それを、「DaVinci Resolve」でH.264、AV1にそれぞれ変換した時間をデモ。

当日のデモでは50秒と少し時間がかかったが、AV1に対応したインテル Arcを使えば、実際の再生時間よりも早くAV1にエンコードできるという

動画エンコード時間とファイルサイズなどの比較。画質の評価指標であるSSIMも、AV1はほぼH.264と変わらない

 ASRockの原口氏は、AV1エンコードがあまり普及しなかったのは、初期費用が高かったからだと指摘。競合の製品の場合は、最新世代のやや高価なビデオカードが必要だったが、ASRockのインテル Arcを採用したビデオカードであれば、2万円強のA380でも対応しているので、安価なコストで導入できるとしている。

 今までは何でもできるビデオカードというと、10万、20万が当たり前。昨今のPCゲームのAAAタイトルは、8GBのビデオメモリーでは足らない、といったこともある。しかし、インテル Arcは、ゲームもやりたいが、どちかと言えば写真や動画を録って、そのエンコードをメインに考えている、といった人向けだとアピールした。

iGPUとdGPUで作業を分担できる「Intel Deep Link」

 次に紹介されたのは、「Intel Deep Link」という技術。「Intel Deep Link」とは、PC内にインテル製のiGPUとdGPUがどちらも存在した時にしかできないことを機能化した技術の総称。インテルは、CPU内蔵のインテグレートGPU(iGPU)と、ディスクリートGPU(dGPU)の両方を開発しているため、この技術を実現している。

「Intel Deep Link」機能の一覧

 「Intel Deep Link」には、電力をシェアしたり、動画のエンコーディングのタスクを2つに分けたり、AI処理を2つ走らせたり、といろいろあるが、イベントでデモされたのは、「Stream Assist」といった機能。「Stream Assist」では、ゲームをプレイしながら配信をする場合、ゲームプレイはインテル Arcで処理し、配信のエンコーディングをiGPUで行なって、ウェブにアップできるようにする。

「Stream Assist」のワークロード

実際に当日は『ストリートファイター6』を動作させながら、Twitchへの配信をiGPUで実施しるデモを行なった

 秋葉原に集まったコアなユーザーは、CoreプロセッサーのFシリーズのように、iGPUがないモデルではなく、利用しないまでもKシリーズなどを使っていると回答。太田氏は、そうした人は多くいるので、ぜひ「Intel Deep Link」を活用して欲しいとアピールした。

 また、原口氏はユーザーに一番使われているGPUは何ですか?と聞くと、競合メーカーの名を口にするが、実はインテル HD グラフィックスが一番使われている。後はインテル Arcさえ買えば、「Intel Deep Link」も利用できる。そんな世界中の人が使っているCPU内蔵グラフィックスを、半導体の工場も持っているインテルが今後力を入れると言っているので、信じて付いていきましょう!と熱く語った。

画像生成AIのデモも実演

 最後にインテルがMediumにて公開した、OpenVINOツールキットを利用し、Stable DiffusionをインテルのCPUやGPUでも利用できるようにしたデモを実演。

CPUでは76秒ほどかかった画像生成が、19秒ほどで行なえたとしている

 太田氏は、インテルは競合のTencorコアと同じようなXMXコアをインテル Arcに入れている。こうしたハードウェアを活用できる前述したソフトウェアが用意できているので、生成AI含めいろんな機能を楽しんで欲しいと語った。

 イベントの最後は、じゃんけん大会が行われ大いに盛り上がっていた。

賞品はASRockの「Intel Arc A380 Challenger ITX 6GB OC」だった

じゃんけん大会の時には雨も止み、徐々に増えた人で大いに盛り上がった

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