週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

「ロボ軒め酒場」にいってきました!ビールもカクテルもロボメイド

大衆酒場に酒注ぎロボット!Aiで接客もバッチリやん

2020年01月29日 17時00分更新

文● ナベコ 編集●ASCII

ロボットがお酒を注いでくれる!

 ごきげんよう、今日ものんべろべろりん、アスキーナベコです。人生の大事なことは居酒屋さんで教わりました。

 居酒屋など飲食業は現在“人手不足”が大きな課題です。おいしい食事やお酒があっても働く人がいないことには店舗は成り立たちません。

 そんな人手不足の解決策の一手として、ロボットを活用した「ロボット酒場」なる実証実験がスタートしました。

一軒め酒場、ロボット導入しました!

 居酒屋チェーンを展開する養老乃瀧と、ロボティクスサービスを提供するQBIT Roboticsは共同で「ゼロ軒めロボ酒場」の実証実験を1月23日から「一軒め酒場 池袋南口店」にて始動。

養老乃瀧が運営する「一軒め酒場」の池袋南口店で実施。一軒め酒場というとお通しがなくお手頃価格のメニューが特徴。「神田旨カツ」が名物です。

 QBIT Roboticsは飲食店向けのロボットサービスを提供しており、カフェ店舗などですでに取り入れられた例もあります。今回のような居酒屋ロボットとして店舗に実装されたのは初めて。

「一軒め酒場」も通常通り営業しています。店舗の一部がロボットブースとなっているイメージ。

 ロボットがいる居酒屋さんってどんな感じでしょうか? さっそく行ってきました!

アームをウィンウィン動かしてお酒を作ってくれる

 「ゼロ軒めロボ酒場」(一軒め酒場)に入るとすぐ、多関節なアームが特徴的なロボットがいるではないですか! パイプのような軸を中心に回転して動くタイプの据え置き型ロボット。ペッパーのようにヒューマン型ではありません。

なんだか「Dr.スランプ アラレちゃん」に出てきそうだなと思いました。

 タブレットのディスプレーに映される表情がかわいい。テレビちゃんみたい。

 このQBITのロボ、お酒を自動で作ってくれるんです。

 メニューは全6種。「ロボ生ビール」「スコッチハイロボール」「ロボレモンサワー」「白加賀でつくったロボ梅酒ソーダ」「ロボと泪とカシスとソーダ」「桃色ロボ想い」。いずれも500円。なお、一軒め酒場の通常メニューと異なります。 

2月6日追記:現在スタート当初より値下げして300円で販売しています。

ロボットだけど、ネーミングが昭和とか平成。飲んでー、飲まれてー

 お酒を購入してみました。最初にレジに行って店員さんに注文。QRコードが印刷されたレシートを発行してもらいます。QRをロボットブースにある読み取り部分にかざすとお酒作りがスタートします。

 まずはビール。ロボットは「おいしいお酒を作りますね」といったフレーズを発しながら(女性の声で、かわいい)アームを伸ばして器用にコップを取り、サーバーに移してビールを注いでくれました。

アームでコップを取ります。

ビールサーバーにのせればワンプッシュ。

うんせ。

「はいどうぞ」

 ビールの場合、サーバー自体がワンプッシュで自動で注げるものだから、比較的に簡単に見えました。

きれいに注がれたビール!

 ハイボールやカクテルは動作が多く、ロボットの腕の見せ所です。

まずは氷。

 ハイボール。最初に氷を入れ、それからリカー類のサーバーにコップを移し、ウイスキーを注入。最後に炭酸。通常のドリンク作りの手順で進めてくれるわけです。

ウイスキーを注ぐ。サーバーは、一般的な業務用のものをベースに、ロボットに合わせて3Dプリンターで補強しているそう。

炭酸。ふつうのお酒作りの手順。

 お酒を入れすぎないか、などは心配無用でした。どのサーバーも一回に出てくる量が定まっているそうで、同じ分量、クオリティで作り続けられるとか。

 すごいのは、マドラーでのステア。ハイボールは仕上げにマドラーでかき混ぜてくれました。

「あれマドラーはどこだっけ? あ、ここにありました」

クルッとマドラーをまわしてステア。お上手!

 できあがったお酒は所定の取り出し口に置かれます。ロボットメイドのお酒、人がつくるのと同じ手順で作られているから、違和感なくおいしいです!

ハイボールは強炭酸がウリ。氷はゴロゴロしたものではなく、細かいタイプでした。飲みやすいように蓋が用意されていました。  

 なお、お酒作りにかかる時間は、ビールは40秒ほど、カクテルは100秒ほどです。人が作るのとそこまで変わりませんね。

 驚いたことに、ロボットはサーバーやマドラーの位置などをセンサーで見ているわけではないとのこと。プログラムにそれぞれの位置を組み込んでおり、寸分の狂いもない動作を再現することでお酒を作る仕組み。あたかもマドラーを見えているようにつかんだことに感心しましたが、マドラー置き場にも仕掛けがあって、使用した後に必ず同じ位置に戻るようになっているそう。

マドラーづかいが素晴らしい!

どうぞと提供してくれて、アタマいい~!

お客さんの表情を認識
AIで“接客”を学習している

 ロボットの魅力はお酒を作ってくれるだけではありません。注文が入っていない時でも「いらっしゃいませ、飲みすぎないように楽しんでいってくださいね」「ロボットの私がつくるドリンクを飲んでいきませんか?」など声をかけてくれて、アームを動かしてパフォーマンスをするなど、“接客”もしてくれます。通りがかるだけで楽しい。

声をかけてくれたり“接客”してくれます。

 ロボットの上部に設置されているカメラで、近くに立ち寄ったお客さんの顔を認識。性別、年齢、表情などを識別して、そのお客さんに適切な話しかけをAI(人工知能)で学習するそう。

天井に設置された4台のカメラで、お客さんの様子を認識。個人の特定はしていないそう。

 細かく言うと、接客中や接客後のお客さんのリアクションを識別して、「笑顔」や「売上」を指標に成果としているそうな。つまりは、ロボットが発したとあるフレーズに対して笑っている人が多かったり、その時の売り上げが伸びると、そのフレーズの優先順位を高める。そんなことをやっているそうです。

ロボットがどう認識しているか、ブースにあるモニターで確認ができます。近未来っぽい。

 QBITのロボットが居酒屋で導入されるのは初めてですが、ロボットのモーションとしてはお酒作りでも難がなく、ドリンクレシピに関しても現状よりさらに増えても対応可能だそう。アルコールを提供するにあたって年齢確認が必要であるのが、カフェロボットとは異なる点。そのため、レジにて店員さんからQRを購入するというステップを加えています。また、ブースには“囲い”を実装したのも居酒屋さんならではの安全面での配慮。

養老乃瀧 取締役 土屋幸生氏

QBIT Robotics代表取締役&CEO中野浩也氏

 ゼロ軒目ロボ酒場は3月19日まで実施予定。ちなみに、ロボット酒場で購入したドリンクは持ち帰りも可能ですし、一軒め酒場で飲食時に注文することも、どちらでも大丈夫。近い将来、ロボットがいる居酒屋が当たり前になるかもしれません。実際にロボットがお酒を注いでくれると……楽しかったです! お酒もおいしかったですし、興味がある方は池袋に行って体験してみてはどうでしょうか。

「ゼロ軒めロボ酒場(養老乃瀧 池袋南口店)」
住所:東京都豊島区西池袋1-10-15F 1階
営業時間:8時~24時
※養老乃瀧の通常メニューのドリンクと価格が異なります。

■関連サイト

ナベコ

酒好きライター、編集者。カンパイからすべてが始まるはず。「TVチャンピオン極~KIWAMI~ せんべろ女王決定戦」に出演するなど酒活動しつつ食トレンドを追っています。♪アスキーグルメでおいしい情報配信中♪

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事