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iPadで数百万円分のギターアンプを手に入れよう!ROLLY×週アス Vol.20

2013年10月10日 20時00分更新

文● 藤本健 編集●週アス編集部 撮影●岡田清孝

 LINE 6製品を組み合わせてiPadでギタープレイを楽しんでみる企画。シリーズ最後となる第3回は、無料配布されているLINE 6のアプリ『Mobile POD』を紹介していきたいと思います。

ROLLY×週アス Vol.20

 Mobile PODの詳細を見ていく前に、ギターの音作りについてご存じない方も多いと思うので、基本的なことを紹介しておきましょう。エレキギターのサウンドというのは、みなさんもよく知っていると思います。「シャキーン」といったクリーンなサウンドから、「キュイーン」といったソロ演奏のサウンド、また「ガッガッガッガッ」といった激しく歪(ひず)んだサウンドなど、ひと言でエレキギターといってもいろいろな音がありますよね。なぜ、このようにいろいろな音があるのか……。そこには大きく3つの要素があるのです。

 ひとつは、シリーズ1回目で紹介したLINE 6のギター『Variax』のところでも紹介したとおり、ギターそのものの持つサウンド。どこのメーカーの何年製のどんなモデルなのかによって(テレキャスターなのか、ストラトキャスターなのか、レスポールなのか……といったもので)音の味はいろいろと変わってきますよね。それをモデリングという技術で、いろいろと変えられるのがVariaxだったわけです。

 しかし、実際の出音としてもっと大きな影響があるのがギターアンプとエフェクター(エフェクト)です。アンプというと、オーディオのアンプを想像する方も少なくないでしょう。確かに大きな音を出すという意味では共通しているのですが、ギターアンプは、オーディオアンプとはまったく別のものなのです。単にギターを接続するというだけでなく、ここで音作りをするものだからです。通常のオーディオアンプは、できるだけ入ってきた信号を忠実に、そのままに音量を大きくして鳴らすことが使命であるのに対し、ギターアンプは、入ってきたギターの音をいろいろと変えて音作りをするのが使命です。

 一番わかりやすいのは、音を歪ませるということ。エレキギター自体は、アコースティックギターと大きく変わらないクリーンなサウンドを出しているのですが、これをギターアンプに入れて、思い切り歪ませると激しいギターサウンドが作り出せるのです。この歪ませるというのは、オーディオアンプでは絶対にやってはいけない事柄だけど、これをすることで独特なサウンドが作り出せるわけですね。各パラメータをいじることで、歪みのないクリーントーン、少し歪ませたクランチサウンド、さらに思い切りドライブのかかったディストーションサウンド……と作り出せるのです。

「DRIVEというパラメータなどを使って、歪ませる度合いを調整できるのですが、どのメーカーのどのアンプなのかによっても音はまったく変わってきますよ。Marshallのアンプなのか、Fenderのアンプなのか、VOXのアンプなのか……というように、メーカーによって音の傾向が大きく違うし、モデルによっても全然違う音になりますね」とROLLYさん。まさにそのとおりで、どのアンプを選ぶかという時点でサウンドが大きく変わってくるため、アンプ選び自体がギタリストにとっても演奏における大きな要素となるわけです。「メーカーによって、またモデルによってギターアンプの値段もピンキリです。高いものだと何十万円もするわけですが、いろいろなアンプをそろえるというのがギタリストにとっての夢。私が高校生のときにこのMobile PODなんていうものがあったら、狂喜したでしょうね」とROLLYさんが言うとおり、このMobile PODというのは、ギタリストにとって恐ろしいほどの武器でもあるのです。

Mobile POD
ROLLY×週アス Vol.20

 では、そのMobile PODについて見ていきましょう。これは、さまざまなメーカーのさまざまなアンプをシミュレーションするアプリです。たとえば、Marshallの『JCM800』、Fenderの『'65 Deluxe Reverb』、VOXの『AC30』、Rolandの『JC-120』……と著名なギターアンプが片っ端から入っています。しかも、アンプ部の選択、キャビネット(スピーカー部分)の選択と自由にできてしまいます。

ROLLY×週アス Vol.20
ROLLY×週アス Vol.20

 さらに、アンプのシミュレーションだけでなく、エフェクターも自由に使えてしまうというのがMobile PODのすごいところ。前述したとおり、ギターの音作りの要素の3つ目としてエフェクターというものがあります。これは、アンプだけでは出せない効果であるディレイ、コーラス、リバーブ、フランジャー、ワウ……といった音を変換するための装置で、購入すればひとつにつき1万円程度はするというもの。そのエフェクターも数多くのものが入っており、最大で同時に8つまで使うことができるのです。

ROLLY×週アス Vol.20

 というわけで、ROLLYさんにMobilePODで選んだアンプを使い、Variaxのギターを弾いてもらいました。「プリセットだけで膨大にありますね……。ちょっと多すぎて、どれを選べばいいのか……」と迷いながらも楽しそうなROLLYさん。

ROLLY×週アス Vol.20

「これ、どんな音でも出るし、アンプのパラメータを触れば、ホンモノ同様の動きをするから、このアプリひとつあれば1日中遊べてしまいますね!」と弾きながら、ひとりで音作りを始めてしまいました……。ROLLYさんの弾いている音を聴くと、アンプによって、けっこういろいろと音色が変わっているのがよくわかりますよね。

 

ROLLY×週アス『MobilePOD』セッション音源1

 

 

ROLLY×週アス『MobilePOD』セッション音源2

 

 

ROLLY×週アス『MobilePOD』セッション音源3

 ちなみに、この収録をしている際、「プリセットの一覧を見ると、GuitaristとかBand、Songというのがありますね。これを使って選べばわかりやすいのでは?」とROLLYさんが探してくれたのですが、どうもうまくいかなかったのです。その理由があとからわかりました。それは「そのとき、iPadがネット接続していなかったから」。あとでネット接続してみたところ、世界中のユーザーが作った音色がネットを通じて公開されており、そこから自由に選んで使うことができたんですね。このデータ自体はパラメータを記録しただけの極めて小さいファイルなので、一瞬でダウンロードして適用することができます。見てみると、本当に膨大なデータがあるので見てるだけでも楽しいですよ。この音色を選べばすぐに設定が読み込まれ、さまざまなギター音を楽しむことができるのです。

ROLLY×週アス Vol.20
ROLLY×週アス Vol.20

 ちなみに、MobilePOD自体は無料アプリですが、ギターと接続して使うためには、前回紹介した『SONIC PORT』や『Mobile In』というLINE 6のオーディオインターフェイスが必要となります。それらをつながないと、画面操作ができるだけのデモモードになってしまいます。また、SONIC PORTなどをつないでも、その先にギターをつながないことにはもちろん使うことができないのです……。

ROLLY×週アス Vol.20

 でも、ROLLYさんからは「このアプリ、デモモードがメチャメチャおもしろいですよ。だってギター接続しなくても、いろいろな種類のギターリフが入っていて、これを選ぶだけで設定したギターアンプの音を鳴らすことができますからね。しかも、このリフがすごく上手な演奏。これならギターがまったく弾けない人でもギターアンプがどんなものなのか、よくわかります。これで音作りを覚えてしまうことだって可能ですから!」とのアドバイス。なるほど。なかなか楽しいので、ぜひ試してみてください。

ROLLY×週アス Vol.20

 記事の感想はROLLYさんのツイッター(@RollyBocchan)まで。週刊アスキー本誌にも掲載中です。次回もどうぞお楽しみに。

『Mobile POD』
●Appストア価格 無料(記事作成時の価格です)
Line 6(関連サイト)

Mobile POD - Line 6

●関連リンク
welcome to ROLLY net .com(ROLLY公式サイト)

藤本健の“DTMステーション”
 

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