よみがえる恐竜・大百科
超ビジュアルCG版
著 スティーブ・ブルサット
ソフトバンククリエイティブ
2940円
図解入門
よくわかる 最新 発電・送電の基本と仕組み
著 木舟辰平
秀和システム
1680円
巨匠に学ぶ構図の基本
編 視覚デザイン研究所
視覚デザイン研究所
1995円
ライターたるもの偏った資料でモノを書くわけにはいかない。だがいまさら学校教科書のような味気ない本を読む気にもなれぬと思っていたら、中立性とおもしろさを両立させた本があった。
『よみがえる恐竜・大百科 超ビジュアルCG版』はそのひとつで、恐竜映画の記事を書く際、大いに役立った。なにしろ恐竜学は日進月歩で、数年前の図鑑でさえすぐ陳腐化する世界。博物館で売られる人形なんかは特にひどくて、いまだにティラノサウルスが尻尾を引きずるゴジラふうの造形だったりする。昭和からモデルチェンジしていないのかキミは。
この図鑑では尻尾を浮かせた前傾姿勢はもちろん、鮮やかなたてがみまでも描かれる。映画『ジュラシック・パーク』(’93年)が古びて見えるこれら最新の造形は精細なCG画像で描かれ、必要十分な解説文により最新の知見が得られる。好奇心旺盛な幼児への贈り物にも、これ以上の恐竜図鑑はないだろう。
終末SF並みの悲観論ばかりが幅を利かせる原発事故後の一般向け“電気本”の中で、一番信頼できそうなのが『よくわかる最新発電・送電の基本と仕組み』。原発や新エネ、電力会社や料金の仕組みなど、技術面のみならず政策面からの視点も交えて解説。見開きの半分は図表を配して読みやすさも抜群。特筆すべきは、感情的になりがちな原発の章でさえ、まるで冷静さを失わぬ筆致。そのフェアな精神と文章は、あたかも本格ミステリーのように論理的で好感度大。
『巨匠に学ぶ構図の基本』は、名画と、ちょいとその構図に手を加えた2枚を並べ、効果の違いを実感させてくれるおもしろ本。例えばゴッホの『ひまわり』から緑の葉を消すと、なんと世紀の凡作に。動画よりはるかにシビアな絵画の構図を学び、その用法がわかってくると自動的に映画鑑賞眼も上がるし、今や手放せぬ一冊だ。もっとも最近は、美術館デートで知ったかぶるためだけに使っている気もするが。
前田有一
亀有出身の映画批評家。100パーセント消費者側に立った“批評エンタテイメント”をテレビ等で展開中。
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2,940円
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※本記事は週刊アスキー4月3-10日号(3月19日発売)の記事を転載したものです。
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