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USB端子搭載のフェンダー“ストラト”の実力は?ROLLY×週アス Vol.30

2014年10月02日 21時30分更新

文● 藤本健 編集●週アス編集部 撮影●岡田清孝

 先日、プレスリリースを見て、とっても気になったのがフェンダーのUSB対応ギター『DELUXE STRATOCASTER HSS PLUS TOP WITH IOS CONNECTIVITY』です。フェンダーといえばアメリカの有名ギターメーカーで、ストラトキャスターはエレキギターの代表的な存在。これにUSB端子が搭載されていて、PCにも接続できるしiPadやiPhoneとも接続できる、という製品です。

 8年ほど前、独ベリンガー(BEHRINGER)社が『iAXE393 USB-Guitar』という製品を2万円弱で発売していたのを試してみたことがありました。しかし、さすがに安物ギターという感は拭えませんでした。それに対し、今回のUSBギターはフェンダー製で、実売価格も8万円弱とけっこうなお値段。これならば、しっかりした製品に違いないので、輸入元の山野楽器にお願いしてお借りするとともに、ROLLYさんに試してもらうことにしました。

ROLLY×週アス Vol.30

 ROLLYさん、ギターを手にとってすぐに「これはメキシコ製のストラトですね。んんん?? これ、確かにフェンダーのギターではあるけれど、ギターの構造的に見てフェンダーとギブソンを合わせたモノのようになってますよ」との指摘。私もギターのことはあまり詳しくないので、どういうことなのか教えてもらいました。

「このギターは一般的なフェンダーのストラトキャスターの仕様ではあるけれど、若干変わったところがお見受けされますな。まずボディーがギブソンのレスポールみたいになっています。裏側がアルダー材で、表面がメイプル材。おそらく、裏側で低音を強調し、表側のメイプルでは硬い音を出そう、ということなのでしょう。ふつう、フェンダーのストラトは単板構造で、割と硬い木材を使っています。でも、これは表と裏で違う木材を使っています。これはあまりフェンダーにはないし、こういう木目を採用しているのも見たことがないですね。この木目は“タイガーストライプ”と呼ばれ、レスポールで人気のあるものですよ」とROLLYさん。弾く前、音を出す前に、箱から取り出してみただけでいろいろと解説してくれます。

「ネックのほうは、実に一般的な握りやすいU型シェイプですね。こちらは張り合わせたものではなく、1本の木から削り出しているメイプル・ワンピースネック。ビンテージでいえば、1967年~68年ごろにオプションとしてあったものですね。一方、フレットは高めのものが打たれています。ネックの裏面がマット層になっているから手にしっくりきて、表面だけがツルピカテン。ビンテージのギターはフレットも含めてニスが塗ってあった構造で弾きづらかったけど、これは弾きやすい。フレットが高いということは、強く抑えなくても触っただけで音が出るというメリットもあるわけで、現代的な奏法に向いてますよ」と、さらに解説は続きます。「マシンヘッド、いわゆる糸巻のところは、一般的なフェンダーはFと書いてあるFキーですが、これはトルク調整が付いているので、おそらくシャーラーのFenderペグでしょうね」といったところで、いったん解説を止めてもらい、このギターをiPadに接続して弾いてもらうことにしました。

ROLLY×週アス Vol.30
↑USB(ミニB)端子とヘッドホン端子は、ボディー側面にさりげなく配置。通常のギターアンプ用出力もあり。

 そうです。このギターの最大の特徴は、見た目は普通のストラトキャスターのギターなのに、PCやiOS端末に直接接続できるところなのです。ボディーのサイド部分をよく見ると、USB(ミニB)端子と、その隣にステレオミニジャックでのヘッドホン端子が付いています。また、本体の付属品として、PCと接続するためのUSBケーブルとともに、片方がUSB(ミニB)で反対側がLightningというケーブルが入っており、これを使って直接iPadやiPhoneと接続できるようになっています。

 実際にiPadに接続してみると……なんのトラブルもなく簡単に接続でき、ギターからの信号がiPadへと届きます。ただし、iPad自体からは音が出てきません。というのも、オーディオデバイスはLightningで接続すると、入力も出力もセットで外部へ移管されてしまうため、iPadの音はすべてギター側のヘッドホン端子から出てくるからです。ここでは、ギターのヘッドホンジャックとiPhone用スピーカーを接続してみたところ、しっかり音が出てきます。『GarageBand』のアンプシミュレーターをかませて、モニターオンにすればバッチリですね。

ROLLY×週アス Vol.30
↑リアピックアップは、ストラトキャスター標準のシングルコイルではなく、ハンバッカーになっている。

 「ピックアップは、良く表現すればオールジャンルに向いているハンバッカーが搭載されていて、メタルでもジャズでも使えます。ただ、誰でも使いやすいけれど、われわれプロからすると、やや日和った感じにも見えるところ。シングルピックアップだったら、良い音を出すこと自体が非常に難しいけれど、うまくいくとそれでしか実現できない音が出るんですね。もしかしたらこのギター、どこかにスイッチがあって、ハンバッカーとシングルピックアップが切り替えできるのでは……と探しているんですが、そうではないようですね。とはいえ、使いやすいギターであることは間違いないですよ」とROLLYさん。

 そんな話をしながら弾いてくれたのが、以下の2つ。けっこう良い音で録れてますよね。

 さらにROLLYさん、旅行の裏ワザまで披露してくれました。
「USBでのデジタル接続なら、シールドケーブル上でノイズが乗る心配がなく、取り回しもとても簡単でいいですね。実際、これだけクリアな音で録音するのはなかなか難しいことなので、その意味では画期的だと思います。旅行先で手元にiPadやiPhoneしかないときでも、このギターさえあれば、思い切りギタープレイを楽しめるのもいいですね。僕だったら、長めのケーブルを持っていって、ホテルのテレビにつないで音を鳴らしますね。1日中、思う存分、ギターを楽しめるはずですよ」

 記事の感想はROLLYさんのツイッター(@RollyBocchan)まで。週刊アスキー本誌にも掲載しています。

『DELUXE STRATOCASTER HSS PLUS TOP WITH IOS CONNECTIVITY』
●実売価格 7万9300円前後(記事作成時の価格です)
フェンダージャパン

●関連リンク
welcome to ROLLY net .com(ROLLY公式サイト)

藤本健の“DTMステーション”

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