イタリアのIK Multimedia社が発売し、いろいろなところで話題になっている『iRing』という製品をご存じでしょうか? いや、“iRig”ではなく“iRing”。「史上初のiOS対応モーションコントロールデバイス」と謳われているものです。テレビなどでも取り上げられ、DTMや音楽の世界とはまったく関係ないところでも話題になっている製品なのですが、今回は、そのiRingについて取り上げてみたいと思います。
IK Multimedia『iRing』
ご存じの方も多いと思いますが、IK MultimediaはPC用のソフトサンプラーである『SampleTank』やギターアンプシミュレーターの『AmpliTube』、そしてiPad/iPhone用のギター接続オーディオインターフェースの『iRig』、そしてキーボードの『iRig Keys』などを発売するDTM系のメーカーです。そのIK Multimediaが先日発売したiRingは、指に挟んで使う、ちっぽけなプラスチック製のデバイス。2個セットで、実売価格は3780円前後です。
でも、これ単体では音も出ないし、別にギター用のピックというわけでもありません。ミニチュアのテーブルのようにも見えますが、片側には三角の三ツ目、反対側には信号機のような直列の三ツ目が並んでおり、なんとも奇妙な製品なのです。今回使ったのはグレーのボディーに黒い三ツ目が並んだものですが、別に黒い部分に特殊な素材が使われているというわけでもなさそうです。では、なぜこんなものが注目を集めているのでしょうか?
その理由は、これを使うことでiPadやiPhoneに触れずに操作ができるから。iRingは、手の動きを感知してiPadやiPhoneが動いてくれるという不思議なデバイスなのです。
ただのプラスチックで電波などが出ているわけでもないのにどうして? と思ってしまいますが、iPadやiPhoneのカメラがiRingの三ツ目を捉え、その距離や見え方などからiRingの位置や動きを捉えているという仕組みです。また、三角パターンの三ツ目と直列パターンの三ツ目の違いも見分けており、それぞれをカメラで捉えたうえで、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の位置を検知してくれます。そう、ディスプレーに触れるのと同じような平面上の位置だけではなく、高さも含めた3次元上の位置まで把握してくれ、パラメーターとしてアプリを操作できるのが大きな特徴となっています。
さらには位置を取得するだけでなく、手をひっくり返すとか、画面に向かってパンチをするようなしぐさをするなど、手の動きを感知してくれるのも面白いところです。モーションコントロールデバイスなんていう言葉は聞いたこともない、という人もいると思いますが、ちょっと魔法のような気もしますね。
ただ、操作ができるといっても、iOSの操作すべてができるというわけではなく、iRingに対応したアプリを起動すると、そのアプリの操作ができるというものなんですね。IK Multimediaでは、このiRingの発売と同時に『iRing FX/Controller』、『iRing Music Maker』、『GrooveMaker 2 FREE』といったアプリを出しており、これらはiRingで操作可能です。iRing FX/Controllerはエフェクト、iRing Music MakerとGrooveMaker 2 FREEはそれぞれタイプの異なるグルーヴ作成ソフトです。
『iRing FX/Controller』
『iRing Music Maker』
『GrooveMaker 2 FREE』
今回、ROLLYさんといっしょにiRingを使ってみようということで、エフェクトアプリであるiRing FX/Controllerを試そうとしたのですが、いきなり難問にぶち当たりました。「これじゃあ、どうにも操作できないよ」とROLLYさん。そう、ギターは当然両手を使って演奏するため、いくらモーションコントローラとはいえ、弾きながらの操作ができないんですよね。
そこで試してみたのがマイク入力です。ちょうど、前回の記事で使ったLightning接続のコンデンサーマイク『Blue Spark Digital USB/Lightning Connector Microphone』があったので、これに向かって歌ってもらいながら、両手でiRingを操作してもらうことにしたのです。
iRing FX/Controller自体は無料でダウンロード可能なのですが、それだとほとんど使えるエフェクトがないため、800円の内部課金を支払ってディレイやフランジャー、コンプレッサ、リバーブなど10種類のエフェクトを有効にしてみました。この状態で、ROLLYさんには両手にそれぞれiRingを装着してもらい、右手でフィルター操作、左手でディレイ操作をしながら歌ってもらいました。その結果がコレ。
ん~、まだどうやって使うと効果的なのかがよく見えなかった……というのが正直なところではあります。ROLLYさんも使い方が掴めず、試行錯誤を繰り返していました。ですが、可能性は相当ありそうですよ。
記事の感想はROLLYさんのツイッター(@RollyBocchan)まで。週刊アスキー本誌にも掲載中です。
『iRing』
●実売価格 3780円前後(記事作成時の価格です)
●IK Multimedia
●関連リンク
welcome to ROLLY net .com(ROLLY公式サイト)
藤本健の“DTMステーション”
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