先日、ROLLYさんとどんなネタを展開しようかとミーティングを行なった結果、アイディアとして浮かんだのが「VariaxをMobile PODで鳴らすLINE 6特集」。わかる人にはわかるけど、わからない人にはまったく意味不明な内容だと思いますが、実際に音を聴いてみれば、誰にでもわかる面白い企画です。これから3回に渡って、記事にしていきたいと思います。
その第1回目のテーマとなるのが、ROLLYさん自前のギターであるLINE 6の『Variax』。一目見て「あれ? 何か変?」と思った方は大正解。そう、このギターにはピックアップが付いていません。しかも、裏側には電池ボックスがあり、ここに電池が入っていないと動ないという、かなり変わったギターなのです。
しかも、スイッチを切り替えることで、まったく違うギターサウンドが飛び出してくるのです。たとえば、1960年製のフェンダーのテレキャスター、1959年製のストラトキャスター、1959年製のギブソンのレスポール、1966年製のリッケンバッカー……と数々の銘機と呼ばれる音が飛び出してきます。じつは、LINE 6の現行モデルは『James Tyler Variax』という名称に変わり、見た目も変わるとともにより高性能になっているのですが、ROLLYさんのVariaxでも十分な性能を持っています。
↑ROLLYさんは1世代前のVariaxを使用。現行モデルも、用意されているギターバリエーションなどはほぼ同様。
「たとえば、ストラトキャスターの1959年モデルを選択すると、まったくストラトを弾いているのと同じ感覚で使うことができるんですよ。ハーフトーンもできちゃうしね」とROLLYさん。「以前、このギターをテレビで弾いたことがあるんだけど、音だけ聴いたら、まったくストラトそのものでしたね」というほどの再現性を持っているのです。
ここで試しに、その1959年ストラトを選択したうえで、iPad上のアンプシミュレーターアプリ『Mobile POD』でマーシャルのアンプを設定。これでちょっとフレーズを弾いてもらったところ、確かにストラトのサウンドが響いてくれます。
ROLLY×週アス『Variax』セッション音源1
※リニアPCMレコーダーで録音したところ、ギターを弾く生音が少し入ってしまっております。その点、ご了承ください。
「じゃあ、次はテレキャスターも使ってみようか」と言って、ROLLYさん、スイッチを切り替えます。「やっぱりテレキャスといえば、フェンダーのアンプだね。フェンダーのツインリバーブを選んで、音を出してみましょうか」と弾いてみると、先ほどのストラトとはまったく異なるサウンドになりますね。
ROLLY×週アス『Variax』セッション音源2
このようにVariaxはスイッチを切り替えただけで、さまざまなギターサウンドが再現されるのですが、いわゆるシンセサイザーなどではないんですよね。仕組みを簡単に紹介すると、ここにはマグネティック・ピックアップは搭載されていないものの、“ピエズピックアップ”というものがあり、ギターを弾いた音をこのピックアップで拾ったうえで、搭載されているA/Dコンバータでいったんデジタル化します。その音をVariaxに搭載されているDSPが処理することによって、さまざまなサウンドへと変換しているわけで、ROLLYさんをして、本物と違いがわからないと言わせてしまうほどのサウンドにしているんですよね。このVariaxは全部で28モデルのギターをシミュレーションすることができるのですが、これはいわゆるエレキギターばかりではないのも面白いところ。そう、アコースティックギターのサウンドまで出すことができるのです。
「今度はアンプシミュレーターを切って、1959年製のマーチンD-28を弾いてみましょうか」と言ってROLLYさんが弾くと、確かにこれはアコギそのものですね。さらに別のアコギである1967年製のマーチンO-16や1966年製のGuild F212など、いろいろと音色の違うギターサウンドが飛び出して、驚かされます。
ROLLY×週アス『Variax』セッション音源3
「このVariaxにはいろいろなギターモデルが入っていますが、じつはギターだけじゃないんですよ」とROLLYさん。バンジョーやドブロといった音が出てくるほか、インドの弦楽器、シタールなんかも再現できてしまいます。「シタールはいわゆるギターサウンドとはちょっと違い、ビビッたような音になるんだけど、それっぽく弾くと、雰囲気を味わえるでしょ」とインド風メロディーで弾いてもらったところ、これがエレキギターから出ているとはまったく思えないサウンドでした。
ROLLY×週アス『Variax』セッション音源4
いずれのサウンドも、DSPで処理してリアルタイムにモデリングを行なっているもの。なんとなく電子音的なものになるのでは……と思う人もいると思いますが、ROLLYさんの弾いた音を聴けば、本物のギターと区別がつかないほどのものであることがわかると思います。また、リアルタイムでモデリングを行なっているわけですが、音に遅れもないので、弾いていてもわからないとのことでした。
このように、魔法のギターVariaxのサウンドを試してみましたが、次回はその音をどのようにiPadへと送っているのかについて、見てみることにしましょう。
記事の感想はROLLYさんのツイッター(@RollyBocchan)まで。週刊アスキー本誌にも掲載中です。次回もどうぞお楽しみに。
『Variax』
●実売価格 13万5000円前後〜(現行モデル)
●Line 6(関連サイト)
●関連リンク
welcome to ROLLY net .com(ROLLY公式サイト)
藤本健の“DTMステーション”
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります