週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

GeForce RTX 30シリーズの大本命がいよいよ降臨

GeForce RTX 3070 FEレビュー!Ampere世代最強の電力性能比とRTX 2080 Ti超えを確認

2020年10月27日 22時00分更新

ワットパフォーマンスをゲーム別に考える

 単純なゲームパフォーマンスにおいては、RTX 3070 FEはRTX 2080 Ti FEより微妙に遅い時もあれば、やや上回る時もあることがわかった。さらに、消費電力ではCUDAコアを大幅に盛ったにもかかわらず、RTX 2080 Ti FEを下回るなど、Ampereアーキテクチャーの優位性も感じられた。

 そこで、今回はゲームごとのワットパフォーマンスについて、もう少し検証を重ねてみたい。NVIDIAが開発したビデオカードの消費電力だけを純粋に計測するデバイス「PCAT(Power Capture Analysis Tool)」と、NVIDIAが公開するパフォーマンス計測ツール「FrameView」を組み合わせてテストする。PCATやFrameViewの詳細に関しては既報の「ビデオカードの消費電力を正確に計測するNVIDIAの純正キット「PCAT」と「FrameView」を解説」をご覧いただきたい。

 まず「Apex Legends」、「MONSTER HUNTER WORLD: ICEBORNE」、「Control」のベンチマーク実施時と同じ環境&同じ動きをして、FrameViewでフレームレートを測定。FrameViewはPCATと合わせると同時にTotal Board Power(以降、TBP)とTBP 1Wあたりのフレームレートを算出してくれるので、これを利用する。ワットパフォーマンスなので数値が高いほど“効率が良い”ことになる。

PCAT+FrameViewでゲームベンチマーク中のTBP 1Wあたりのフレームレート(解像度はすべてフルHD)。なお、「Control」はDXRを使うため、GTX 1070 FEのデータは計測から除外している

 ワットパフォーマンスで首位に立ったのは意外にもRTX 3070 FEだった。RTX 3080 FEは圧倒的なフレームレートを叩き出すが、GPUのスペックを盛りに盛っているためTBPの増加も避けられない。加えて、Apex Legendsでは300fpsで頭打ちになるため、ワットパフォーマンスでは特に不利になりやすいのだろう。こうして比較するとRTX 3080 FEの燃費はあまり良くないことがわかる。もちろん、RTX 3080はワットパフォーマンスよりも性能を重視したGPUなので、セグメントにおける役割は十分に果たしている。とはいえ、ワットパフォーマンスで言えば、RTX 3070に分があるという話だ。

 Pascal世代のGeForceはワットパフォーマンスの高さで人気を博したが、今こうして1Wあたりのフレームレートを比較すると、RTX 3070 FEには遠く及ばない。Turing世代のxx70番台近辺のGPUでもワットパフォーマンスは改善しているが、RTX 3070ではそこからさらに大きく向上していると言うべきだろう。

 ここでRTX 3070 FEとRTX 3080 FEのTBPの違いについても確認しておこう。下記のグラフは「Control」(フルHD、DXR有効)をプレイ状態で放置した時のTBPをPCATで測定したものだ。測定時間は900秒である。

RTX 3070 FEとRTX 3080 FEのTBPの推移

上のTBPグラフから、RTX 3070 FEのデータだけを抜き出し、さらにそれを電力のソースごとにブレークダウンしたもの

同じくRTX 3080 FEのデータだけを抜き出し、さらにそれを電力のソースごとにブレークダウンしたもの

 TBPはRTX 3080 FEで平均313Wなのに対し、RTX 3070 FEは平均207Wとなった。RTX 3080 FEは消費電力も大きいが、電力変動の振れ幅も大きく、逆にRTX 3070 FEは振れ幅が極めて小さい。RTX 3070 FEが8ピン補助電源ケーブルから引き出す電流は平均12A程度で、瞬間的に13A近くになることもあるようだ。

まとめ:今RTX 2080 Tiを使っているユーザーは泣いていい
ワットパフォーマンスは世代最強だがVRAM搭載量に不安が残る

 もう少しRTX 3070 FEの検証を続けたかったが、このあたりで一端〆にしておきたい。今回はテストの方法も検証するゲームもかなり絞らざるを得なかったが、RTX 2080 Tiよりも速いというNVIDIAの主張は一応正しいことが確認できた。ゲームによっては微妙に下回ることがあっても、フレームレートの差はごくわずかで、フルHD~WQHD領域ならほぼRTX 2080 Tiと同じ感覚で使っていける。

 しかも、RTX 3080やRTX 3090で見られた凄まじい消費電力は鳴りを潜め、むしろAmpere3兄弟中最高のワットパフォーマンスまで記録している。そして、そのワットパフォーマンスは従来のxx70番台と比べてもかなり優秀だ。国内販売価格のボリュームゾーンは8万円台後半という筆者がつかんだウワサが正しければ、これから出るであろう大作ゲーム(「Cyberpunk 2077」など)を高画質設定で遊びたい人にとっては良い選択肢になるだろう。

 しかしその一方で、VRAMが8GBと少ないのが気になる。RTX 2080 Tiでは4K&高画質でもVRAM警告を見ることなしに画質を盛れたが、8GBだとゲームによってはWQHDでも警告が出る(出たところで問題ない場合も多いが……)。おそらくこのすぐ後にAMDが詳細を明らかにする(であろう)「Radeon RX 6000シリーズ」のVRAMは12~16GBとウワサされており、これが正しいならVRAMの余裕という面でRTX 3070はやや厳しい立ち位置になる可能性もある。今後のメインストリーム~準ハイエンド帯のGPU性能戦争の行く末に目が離せない。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事