語ろうと思えばいくらでも語れますが、結局のところ漫画はおもしろいかおもしろくないかであり、この点でいえば5/27発売の3作品、『エバーグリーン』4巻と『カイダンにっき』1巻、『わくわくろっこモーション』2巻はおもしろいです。
2行で終わると3作品の担当編集に頭部と両腕をのぞく骨という骨をばっきばきにされるのでもう少し。『エバーグリーン』は、原作が竹宮ゆゆこ先生、作画がカスカベアキラ先生のコミック。竹宮先生が書くキャラクターはいつも生々しいです。「書く人間」といったほうが適切かもしれません。
女の子はいつもにこにこしているわけじゃない。当人には真っ当な、端から見れば理解しがたい感情を他人にぶつけたりもする。ぶつけられた男の子はおお~きな器で包み込んだりせず、困惑したり、怒ったり。
ともすれば暗くなりがちな人間。しかし竹宮先生は電撃ブランドの作品として、少年少女が楽しめるエンターテイメント作品に仕上げます。人間と電撃の両立を成すのです。
その原作をコミック作品に仕上げたカスカベ先生。イラストと漫画は求められる能力が違うのですが、カスカベ先生は1枚絵としても漫画としても楽しめるビジュアルワークをこなします。瞬間の人間、物語にある人間。女の子、男の子。すべてを繊細に描きあげるカスカベ先生だからこそ、この原作をおもしろい漫画にできたのです。
4巻だけでも楽しめますが、3巻を読むと4巻がより楽しめますし、2巻を読むと3巻がより理解できますし、1巻を読むと全体が堪能できます。完璧な理論です。エバーグリーン全4巻。
一方の『カイダンにっき』は第1巻。第1巻ということは1冊であり、コミックス1部の出費をするだけで物語に入れます。完璧な理論です。
メインキャッチにある「妖しく美しい伝奇世界」が同作のビジュアル面を端的に表しています。綺麗、可愛い、格好いい。どんな表現をしても当てはまる絵は、まさしく妖しい。
お話は怪奇。読む者の恐怖を煽り悲しいエピソードもあるのですが、どこかで必ず救いは感じられます。方向こそ違えど、みんな前に向かって進んでいるからです。マイナスのベクトルに進んでいても当人にとって前は前。救いがあるので、怖いお話を読むと夜中トイレに行けなくなる紳士淑女のみなさまも安心です。
3冊目、『わくわくろっこモーション』は怖くありません。怖い怖くないは感情なのでもしかしたら「ろっこ」を見て泣き出す人がいるかもですが、僭越ながら人類を代表して僕が断言します。怖くないです。笑います。
いまはなき雑誌『電撃大王GENESIS』で始まった『わくわくろっこモーション』、「いまはなき電撃大王GENESIS」のくだりを見て泣き出す編集者がいるかもですが、まあなくなりまして、いまは『コミック電撃だいおうじ』というギャグ漫画誌で連載されております。つまりギャグ漫画であり、ジャンルを明かしたとたん前段で書いた「笑います」が小学生の感想に化けました。不思議。
エバーグリーン、カイダンにっき、わくわくろっこモーション。3作品に共通していえるのが、読む人の性別を問わないこと。女の子の好きなもの、男の子の好きなものが詰まっています。この調子で語ろうと思えばいくらでも語れますが、結局のところ漫画はおもしろいかおもしろくないかであり、この点でいえば5/27発売の3作品、『エバーグリーン』4巻と『カイダンにっき』1巻、『わくわくろっこモーション』2巻はおもしろいです。
●エバーグリーン(試し読みあり)
●カイダンにっき
●わくわくろっこモーション(試し読みあり)
バケツヘルム千葉
元週刊アスキー編集部所属。現在は電撃萌王編集部所属で広島カープと『龍が如く0』が大好物。
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