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ASRockのIntel Arc A770 Phantom Gaming D 8GB OCで検証

2.5倍以上も性能が向上するって本当!?インテルArc A770新旧ドライバー比較

2023年04月08日 10時30分更新

 続いては「Rainbow Six Siege」だ。このゲームはVulkanとDirectX 11という2種類のAPIを選択できるが、前者に比べて後者はフレームレートが極端に低くなる。この点は筆者が出演する「ジサトラKTU #266」(2022年11月10日放送)でも紹介している。

 というわけで、まずはDirectX 11を選んだ場合の結果から見てみよう。画質は「最高」に設定し、レンダースケール100%を追加。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。

Rainbow Six Siege:DirectX 11、解像度別のフレームレート

 Arc AシリーズでなぜDirectX 11&Rainbow Six Siegeのフレームレートが低いのか謎だったが、今回の結果で単にドライバーの出来に問題があった、ということがハッキリした。PAYDAY 2の伸びもすごかったが、Rainbow Six Siegeは4Kで約2倍、フルHDやWQHDでは2.5倍以上に向上している。

 では、パフォーマンスが大きく改善したv4146ドライバーで、DirectX 11とVulkanに差は出るのだろうか?

Rainbow Six Siege:解像度別のフレームレート。DirectX 11対Vulkanの比較

 こうして比較してみると、まだDirectX 11のフレームレートはVulkanに比べて伸び悩んでいると言える。インテルはArc Aシリーズ設計において旧弊なAPI(特にDirectX 9)はサポートせず、DirectX 12やVulkanのようなモダンなAPIのサポートにリソースを注ぎ込んでいることがこの検証からも明らかになった。ただし、今後もっとDirectX 11のフレームレートが伸びる可能性にも期待したい。

 最後は、DirectX 9ベースの「Counter-Strike: Global Offensive」でしめくくろう。画質は最高設定、ワークショップの「FPS Benchmark」再生中のフレームレートを計測した。

Counter-Strike: Global Offensive:解像度別のフレームレート

 インテルによれば、昨年12月時点でDirectX 9の性能を大幅に向上させる改善が組み込まれた(参照:インテルのブログ「Upward Trajectory: Improvements to DirectX 9 Games on Intel Arc Graphics」)という。しかし、今回の検証では13〜25%程度の向上にとどまった。ベンチマークに利用しているシーンの特性が影響しているのかもしれない。

まとめ:総合すると平均20%強の性能向上、ドライバーの熟成は着実に進んでいる

 簡単ではあるが、以上でArc Aシリーズの新旧ドライバーによる性能比較は終了となる。平均フレームレートの向上率を今回紹介した9本のゲームで平均すると、どの解像度でも20%強になった。最も伸びたゲームは言うまでもなくRainbow Six Siege、ついでPAYDAY 2となり、これらのタイトルが平均を大きく引き上げている。

 また、傾向としては新しいゲームでは数%の向上にとどまり、Arc Aシリーズ登場以前のゲームでは劇的に伸びていた。つまり、インテルはドライバー作成にあたり、とにかく最新ゲーム(モダンなAPIを使ったゲーム)のパフォーマンス確保に注力し、古めのゲームに対する最適化はある程度オミットしていたと考えられる。しかし、登場から半年あまりの期間を経て、DirectX 11やDirectX 9の最適化にもリソースを回せるようになった、ということだ。

 もちろん、Arc Aシリーズの性能はまだ先団を走る競合製品に及ばない部分もある。とはいえ、これがインテルにとって完全新規のプロダクトであることを忘れてはならない。四半世紀ぶりのディスクリートGPUとしては、ソフトもハードも頑張っていると評価したいところだ。ここは1つ、現在のArc Aシリーズを購入し、のちのち「インテルのArcシリーズはワシが育てた」と言ってみてはどうだろうか。

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