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第12世代CoreにはDDR4とDDR5どっちがいい? GIGABYTEマザー「Z690 UD」で検証

2021年12月28日 11時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●北村/ASCII

 Alder Lake-Sこと第12世代Coreプロセッサー(以下、第12世代Core)導入の最大の障壁になっているのはDDR5メモリーの存在だ。第12世代CoreはDDR4およびDDR5メモリーをサポートするが、両対応のマザーや変換アダプターの類は存在しない。

 その理由としてはDDR5では1モジュールで2チャンネルアクセス可能になったことや、2chあるメモリーのうちの片方のチャンネルだけをリフレッシュできるようにするなど、DDR4を単純に速くしただけの規格ではないからだ。

 そしてDDR5メモリーは現時点においても供給量がかなり少ない。メモリーモジュールメーカーによれば、DDR5チップ自体は潤沢にあるが、DDR5モジュールに必要なPMIC(Power Management IC)の供給が圧倒的に不足しているから、とのことだ。

 DDR5メモリーが入手難な状況は徐々に改善しつつあるが、自分の求めるDDR5メモリーを手にするまで第12世代Core自作を待つか、それとも入手しやすいDDR4メモリーでサクッと組んでしまうか非常に悩ましい。

 そこで今回は第12世代Coreのパフォーマンス検証第3弾(第1弾:https://ascii.jp/elem/000/004/074/4074046/、第2弾:https://ascii.jp/elem/000/004/075/4075880/)として、DDR5とDDR4で性能にどの程度の差がでるかを検証する。インテルいわく、第12世代Coreの性能をフルに引き出すにはDDR5の方がベストというが、DDR4でも十分速いという。その“差”が小さければDDR5版に比べ割安なDDR4版マザーで組んだ方がいい。DDR5はモノが出回るようになってから考えても遅くはない……かもしれない。

 ただ一般的にDDR5マザーは回路や搭載デバイスが豪華なものが多く、反対にDDR4マザーはコストを意識したものが多い。こういった検証ではマザーのグレードの差が性能に影響するのか分離しにくいので困りものだが、GIGABYTEが今回の検証に最適な製品を出している。「Z690 UD」「Z690 UD DDR4」の2枚は、対応メモリーが違うだけで、スペックは同一である。これを使わない手はない。

第12世代Core向けのZ690マザーは高いが、GIGABYTE「Z690 UD」は実売3万円前後と手が出しやすい一枚。メモリースロットの色で「Z690 UD」と「Z690 UD DDR4」は判別できる

Z690 UDの設計をほぼそのままに対応メモリーだけをDDR4に置換したGIGABYTE「Z690 UD DDR4」。こちらはDDR5版より3000円ほど安い、実売2万7000円前後となる

DDR4マザーを加えて検証

 今回の検証は以下の通りだ。マザーは前述のZ690 UDとZ690 UD DDR4で、その他のパーツも極力GIGABYTEで固めた。DDR4メモリーは8GB×2構成なのに対し、DDR5メモリーは16GB×2構成になったのは調達の都合から来るものだが、DDR4環境のメモリー容量を16GB×2にしてもベンチの結果は誤差程度にしか変化しないことを確認している。

DDR5メモリーもGIGABYTE製のDDR5-5200対応メモリー「GP-ARS32G52D5」を準備した。NanoCarbonなるコーティングを施した銅+アルミ合金のヒートシンクを備える。“光らない”メモリーであるが非常にカッコ良い

 そして今回の検証環境だが、Windows 11環境に統一した。さらにWindows 11で推奨されるセキュリティー設定である仮想化ベースのセキュリティー、即ちVBSを有効化している。さらにCPUのPower Limit系のパラメーターはマザーボードのデフォルト、即ちPL2=MTPではなくPL2=∞設定としている。

 メモリークロックに関しても記しておこう。11月に第12世代Coreをレビューした時はどのメーカーのマザーも高クロックメモリーの対応に難ありの状況だったが、発売より1ヶ月あまり経過した現在では、DDR5のOCメモリーも問題なく(限界はあるが)動くようになった。そこで今回はDDR5環境ではDDR5-5200と4800の2パターンを、DDR4環境ではDDR4-3600/3200/2666の3パターンで検証することにした。

テスト環境
CPU Intel「Core i9-12900K」
(16コア24スレッド、最大5.2GHz)
CPUクーラー GIGABYTE「AORUS LIQUID COOLER 360」
(簡易水冷、360mmラジエーター)
マザーボード GIGABYTE「Z690 UD」(Intel Z690、BIOS F6a)
GIGABYTE「Z690 UD DDR4」(Intel Z690、BIOS F5)
メモリー GIGABYTE「GP-ARS32G52D5」(DDR5-5200、16GB×2)
G.Skill「GP-AR36C18S8K2HU416RD」(DDR4-3600、8GB×2)
ビデオカード GIGABYTE「AORUS GeForce RTX 3080 XTREME 10G」
(GeForce RTX 3080)
システムストレージ GIGABYTE「GP-AG41TB」(NVMe M.2 SSD、1TB)
データストレージ Silicon Power「SP002TBP34A80M28」(NVMe M.2 SSD、2TB)
電源ユニット Super Flower「SF-1000F14HT」(80PLUS TITANIUM、1000W)
OS Microsoft「Windows 11 Pro」

今回の検証環境はWindows 11で統一し、どの環境でもSecure Bootを効かせ、OS上で仮想化ベースのセキュリティーも有効にしている。写真はmsinfo32.exeで仮想化ベースのセキュリティーが有効であることを確認したところ

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