最も劇的な効果がみられたのは
「Lightroom Classic」
「Lightroom Classic」は前掲のUL Procyonでも使われていたアプリだが、筆者がいつも使っているやり方でも検証してみよう。調整済みのDNG画像(61メガピクセル)100枚を最高画質のJPEGに書き出す時間を計測する。書き出しのウインドウでシャープネス処理(スクリーン用、適用量標準)を追加している。
DDR5-4800が約3分で処理を終えるところを、DDR4-3200は5分40秒もかかって処理している。DDR5-4800と5200の間には差はほとんどないが、DDR4環境の場合、メモリークロックが高いほど短時間で処理が終わっているため、メモリーバス幅がある程度影響していることは間違いがない。Lightroom Classicを多用する人であれば、まよわず第12世代Core+DDR5メモリーでPCを組むべきだろう。
第12世代Coreの欠点のひとつはDDR4で消える?
最後に第12世代Coreのネックの1つである消費電力について検証しておこう。ラトックシステム「RS-WFWATTCH01」を用い、システム全体の消費電力を計測した。アイドル時とはシステム起動10分後、OCCT時とは「OCCT Pro」のCPUテスト(エクストリーム&負荷一定)を10分実施時、それぞれ安定値を読み取った。
まずDDR4環境では、メモリークロックをDDR4-3200から3600に引き上げても、消費電力はさほど増えない。だがDDR4-3600を基準にDDR5の結果を見ると、DDR5-4800で約40W、DDR5-5200で約50Wも消費電力が増えている。第12世代Coreは消費電力が大きいという一種の悪評は、DDR5によるものだったのだ。
DDR5環境でなぜ消費電力が上がるかだが、CPUコア本体(IA Cores Power)がコア以外の部分(Rest-of-Chip Power)よりも顕著に上がる。メモリーバス幅が広くなったことで、よりCPUコアが頑張るようになり、結果的に消費電力が増えるということではないだろうか。
Lightroom Classicユーザーなら文句なくDDR5へ
ゲーマーは消費電力が抑えられる
今回GIGABYTE製「Z690 UD」および「Z690 UD DDR4」を使ってDDR4とDDR5の性能差を比較してみたが、両者の違いを明確に感じられるケースはあったものの、多くの場合においてDDR4でも十分速いという結果になった。DDR4と第12世代Coreの組み合わせは導入コストも劇的に減らせるだけでなく、全コアフルロード時の消費電力も抑えることができる。良いことずくめだ。
しかしLightroom Classicに関しては話は逆だ。DDR5環境にすることで処理時間の短縮が期待できる。特に現像時にシャープネスを付与して書き出すような場合においては、2倍近い処理速度の向上が期待できる。ゲームでもF1 2021のように10%以上フレームレートが伸びた例はあるが、基本的には数%上昇、ヘタをすると数fpsしか伸びないこともあるのでゲーマーにとってはDDR4でも良いのではないだろうか。
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