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第12世代CoreにはDDR4とDDR5どっちがいい? GIGABYTEマザー「Z690 UD」で検証

2021年12月28日 11時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●北村/ASCII

「Rainbow Six Siege」ではDDR5の効果はみられたが……

 では実ゲームの検証に入ろう。まずはVulkan APIで動作する「Rainbow Six Siege」だ。解像度は1920×1080ドット、画質“最高”をベースにレンダースケール100%を追加している。ゲーム内ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測した。

 第12世代CoreではRainbow Six Siege(Vulkan)のフレームレートが伸びない問題については、検証環境をWindows 10から11にすることで劇的に改善している。Windows 10環境だと平均400fps台にとどまっていたが、11では図のように500fpsを軽く超えている。

 肝心のメモリーの差についてだが、平均フレームレートでトップに立ったのはDDR5-5200、続いてDDR4-3200となった。DDR4-3200よりも3600の方が速くなるだろうと思っていたが、今回の検証ではDDR4-3200を下回った。ただこの原因についてまでは特定する時間がなかったのが残念だ。

 グラフからするとDDR4よりDDR5の方が効果があると言えなくもないが、DDR5-5200とDDR4-3200の結果を比べると0.7%しか差はなく、最低フレームレートについてはたった1fpsしか差はない。今回はGPUをRTX 3080にすることで、GPUボトルネックが発生しにくいようにしているが、RTX 3080より下のGPUであれば、もっと性能差が出ない可能性もある。

「Apex Legends」ではほぼ同じ

 「Apex Legends」では画質は最高設定とし、フレームレート144fps制限を解除(+fps_max unlimited)した。射撃訓練場における一定の行動をとった時のフレームレートを「CapFrameX」で計測する。

 こちらもDDR5とDDR4の差は極めて小さい。DDR4-2666以下になることを避けさえすれば、DDR4でも十分なパフォーマンスが期待できるだろう。

「Far Cry 6」でも同傾向

「Far Cry 6」では画質“最高”設定としたが、高解像度テクスチャーやレイトレーシング、FSR等の設定は無効としている。内蔵ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測した。

 平均フレームレートでトップに立ったのはDDR5-5200で、DDR5-4800~DDR4-3200まではほぼ同じ結果が出た。つまりDDR5のOCメモリーを使わないのであれば、DDR4環境と大差ないパフォーマンスに落ち着くというわけだ。

メモリーの差が確認できた「F1 2021」

 Rainbow Six SiegeではDDR5メモリーが良い結果を出していたが、パーセンテージで見ればごくわずかなゲインしか得られていない。ではゲームではDDR5は無意味か……というとそれは違うという例を示したい。

 ここでは「F1 2021」を利用して検証する。画質は“超高”だがレイトレーシングは無効化した。アンチエイリアスはTXAAのみ、解像度の動的変更設定もオフにしている。内ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測するが、測定条件は「モナコ+ウエット」とした。

 メモリー帯域の太い条件ほど平均も最低フレームレートも高くなるという見事な結果が得られた。DDR5-5200とDDR4-3200を比較すると、DDR5-5200が平均フレームレートにして12%高い結果を出しているが、DDR5-4800と比べると1%しか違っていない。つまりこのゲームではDDR4よりDDR5でプレイした方が良いが、無理にDDR5-5200を選ばなくてよいことを示している。

「Media Encoder 2022」ではわずかにDDR5が有利

 クリエイティブ系アプリのパフォーマンスも検証してみよう。まずは「Media Encoder 2022」を使った動画エンコード時間の比較だ。「Premiere Pro 2022」で編集した再生時間約3分の4K動画を、Media Encoder 2022にキュー出しした。コーデックはH.264とH.265であり、ビットレートはVBR 50Mbps、1パスのソフトウェアエンコードとした。

 H.264はGPUパワーが強く影響するため、今回の検証環境ではほとんど差が出ない。一方H.265はCPUパワーも影響するが、ここでDDR5とDDR4の差異が確認できた。とはいえ最も遅かったDDR4-2666とトップのDDR4-4800/5200との差はわずか8秒なので、差は極めて小さい。

「Handbrake」ではH.264でもDDR5が有利

 同じ動画エンコード系として「Handbrake」も使ってみよう。こちらも再生時間約3分の4K動画(60fps)をHandbrakeプリセットの“Super HQ 1080p30 Surround”および“H.265 MKV 1080p30”でMP4やMKV形式に書き出す時間を比較する。

 確か第12世代CoreはHandbrakeで全く性能が出ないことは筆者の第12世代Coreレビュー第2弾で明らかにしているが、Windows 11環境であれば普通にPコアとEコアが全力で回るためパフォーマンスが伸びる。

 今回の結果を見ると、こちらでもメモリー帯域の太い条件になるほどエンコード時間も短くなっている。このテストではGPU性能が影響しないためH.264でもDDR5メモリーの影響が観測できた。とはいえH.264では首位と最下位の差は13秒、H.265だと10秒しか開いていないので、Media Encoder 2022と同様に“DDR5環境では多少早くなる”程度だ。

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