週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

人気ゲームタイトルのプレイ+録画/配信、動画編集/エンコード、RAW現像まで!

第12世代Coreはゲーム最強!? 12900K/12700K/12600Kのゲーミング&クリエイティブ性能を徹底検証

2021年11月26日 11時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集● ジサトラユージ/ASCII

Game Kingの座も奪還か!?
第12世代Coreの性能を徹底的に検証する

 2種類の性質の異なるコアを混ぜるハイブリッドデザインを、メインストリームCPUとして世界で初めて採用したAlder Lake-Sこと第12世代インテルCoreプロセッサー(以下、第12世代Core)。本稿はアーキテクチャーの概要解説やCINEBENCH R23を中心とした性能検証を行った速報記事の続報にあたる。

 今回は前回触れられなかったクリエイティブ系アプリやゲームでの性能評価を試みる。前世代まではどちらもコアの処理性能や物理コア数で勝る第4世代Ryzenがインテル製CPUに対して優位を保ってきたジャンルだが、果たして第12世代Coreではどうなるのか? 様々なベンチマークを通じて検証してみた。

今回の検証はES(エンジニアリングサンプル)版ではなく製品版と同じものを貸し出すなど、インテルの並々ならぬ気合いが感じられた。写真は編集部が入手した検証用のCore i9-12900K

従来検証キットはマザーボードを含めインテルが手配していたが、巷で問題となっている物流の問題(あるいはコスト)からか、CPUクーラーを含めた検証キットはマザーボードメーカーから直接提供された。今回はいち早く手配して頂いたASUS製のキットを使用している。写真はキットの「ROG MAXIMUS Z690 HERO」

コア間レイテンシーは意外に大きい

 本題の検証に入る前に、CPUのコア間レイテンシーは第12世代Coreでどのような状態なのか確認しておきたい。第4世代Ryzenの時は「Sandra」の出力を細々とExcelで整えていたが、今回は「MicroBenchX」を使用して計測した。

 第4世代RyzenはCCX(ダイ)をまたぐ時にレイテンシーがかなり遅くなることが確認できているが、第12世代CoreのPコアとEコアのレイテンシーはどうだろうか?

MicroBenchXで計測したCore i9-12900Kのコア間レイテンシー(単位はナノ秒。以下同様)。左側と最上部の黒背景に白文字の数字はCPUの論理コアを示し、0-15がPコア、16-23がEコアとなる。数値が低いセルは緑、高いほど赤に近いカラーで表示している。右下の部分(Eコア-Eコア間)のブロックに大きな数字が並んでいる点に注目

同じくCore i7-12700Kのコア間レイテンシー。0-15がPコア、16-19がEコアとなる。Core i9-12900Kよりも右下の領域が狭いのは、Eコアが4基構成になっているためだ

こちらはCore i5-12600Kのコア間レイテンシー。0-11がPコアで、12-15がEコアとなる

 まず表の見方だが、縦軸も横軸もコア番号であり、そこから他のコアにアクセスした時のレイテンシーがナノ秒単位で記録されている。Core i9-12900Kの場合、コア0〜コア23となり、同じコア番号同士は計測できないので「X」が入っている。Xの隣のマスで非常に数値が低い場合があるが、これはある物理コアと、ハイパースレッディング(以下、HT)で増えたそのコアの分身(論理コア)とのレイテンシーなので非常に小さくなる。

 結果を概観してみると、Pコア-Pコア間は30ナノ秒前後の値が多く、時々40ナノ秒を超えるところもある(当然だがこの値は毎回変動する)。そしてEコア-Eコア間は50ナノ秒前後の非常に大きなレイテンシーとなるが、Core i9-12900Kの場合、コア16〜19同士やコア20〜23同士のレイテンシーは大きいのに、コア16〜19とコア20〜23それぞれの間は40ナノ秒強で収まっている。

 第12世代CoreではEコアは4基で1つのクラスターを構成しており、このクラスター内のレイテンシーが大きく、クラスターをまたぐと逆に小さくなる。つまり、Core i9-12900KのEコア間レイテンシーに差があるのはこのためだ。Eコアのクラスターが1つしかないCore i5-12600KやCore i7-12700Kのヒートマップと比較すると構造の違いがよくわかる。

 今回テストしたCPU全部に対するコア間レイテンシーも計測したが、全部貼ると冗長になるので、代表的なものだけお見せしよう。

Core i9-11900Kのコア間レイテンシー

Ryzen 9 5950Xのコア間レイテンシー

Ryzen 7 5800Xのコア間レイテンシー

 Ryzenはチップレットが1基か2基かで結果の傾向が大きく変わるので2例を提示している。基本的に第4世代Ryzenのコア間レイテンシーは第11/第12世代Core(Pコア)のコア間レイテンシーよりも小さいが、Ryzen 9 5950XのようにCCXをまたぐアクセスになると今度は圧倒的に大きくなる。コア間レイテンシーが性能に直結するわけではないが、CPUの特徴の1つとして知っておくとよいかもしれない。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

この連載の記事