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“big.LITTLE”デザインを採用したAlder Lake-Sの実力は?

CINEBENCH最強の座を奪還!Core i9-12900K、Core i7-12700K、Core i5-12600K速報レビュー

2021年11月04日 22時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集● ジサトラユージ/ASCII

新旧合計10CPUでテストする

 そろそろ検証に入るとしよう。今回準備したCore i9-12900K、Core i7-12700K、Core i5-12600Kの3モデルの性能を確認するために、比較対象として第11世代Coreの同格モデル3種類、そして第4世代Ryzenから4モデルを準備し、合計10CPUで横並び比較する。

 前述の通り、第12世代Coreのパワーリミットは各々インテルの推奨値(PL1=PL2)に設定しているが、第11世代Coreや第4世代Ryzenについてはマザーボードのデフォルト設定をそのまま使用している。また、Core i9-11900KのABT、RyzenのPBO2はすべて使っていない。メモリークロックは第12世代Coreが自動認識(DDR5-4800動作)、それ以外は各CPUの定格値に合わせてある。

 CPUとマザーボード&メモリー以外の要素は極力同じものになるように努めた。OSはWindows 11パッチの提供時期を鑑みてWindows 10での検証としたが、Windows 11と10でどの程度違うかは後日の課題としたい。

【検証環境:新インテル】
CPU インテル「Core i9-12900K」
(16コア/24スレッド、最大5.2GHz)、
インテル「Core i7-12700K」
(12コア/20スレッド、最大5GHz)、
インテル「Core i5-12600K」
(10コア/16スレッド、最大4.9GHz)
CPUクーラー ASUS「ROG RYUJIN II 360」
(簡易水冷、360mmラジエーター)
マザーボード ASUS「ROG MAXIMUS Z690 HERO」(Intel Z690、BIOS 0237)
メモリー Kingston「FURY Beast DDR5 KF552C40BBK2-32」(DDR5-5200、16GB×2)
ビデオカード NVIDIA「GeForce RTX 3080 Founders Edition」
ストレージ Corsair「CSSD-F1000GBMP600」(NVMe M.2 SSD、1TB、システム用)
Silicon Power「SP002TBP34A80M28」(NVMe M.2 SSD、2TB、ゲーム用)
電源ユニット Super Flower「SF-1000F14HT」
(80PLUS TITANIUM、1000W)
OS Microsoft「Windows 10 Pro 64bit版」
(May 2021 Update)
【検証環境:旧インテル】
CPU インテル「Core i9-11900K」
(8コア/16スレッド、最大5.3GHz)、
インテル「Core i7-11700K」
(8コア/16スレッド、最大5GHz)、
インテル「Core i5-11600K」
(6コア/12スレッド、最大4.9GHz)
CPUクーラー ASUS「ROG RYUJIN II 360」
(簡易水冷、360mmラジエーター)
マザーボード ASRock「Z590 PG Velocita」
(Intel Z590、BIOS 1.80)
メモリー G.Skill「Trident Z RGB F4-3200C16D-32GTZRX」
(DDR4-3200、16GB×2)
ビデオカード NVIDIA「GeForce RTX 3080 Founders Edition」
ストレージ Corsair「CSSD-F1000GBMP600」
(NVMe M.2 SSD、1TB、システム用)、
Silicon Power「SP002TBP34A80M28」
(NVMe M.2 SSD、2TB、ゲーム用)
電源ユニット Super Flower「SF-1000F14HT」
(80PLUS TITANIUM、1000W)
OS Microsoft「Windows 10 Pro 64bit版」
(May 2021 Update)
【検証環境:AMD】
CPU AMD「Ryzen 9 5950X」
(16コア/32スレッド、最大4.9GHz)、
AMD「Ryzen 9 5900X」
(12コア/24スレッド、最大4.8GHz)、
AMD「Ryzen 7 5800X」
(8コア/16スレッド、最大4.7GHz)、
AMD「Ryzen 5 5600X」
(6コア/12スレッド、最大4.6GHz)
CPUクーラー ASUS「ROG RYUJIN II 360」
(簡易水冷、360mmラジエーター)
マザーボード GIGABYTE「X570 AORUS MASTER」
(AMD X570、BIOS F35e)
メモリー G.Skill「Trident Z RGB F4-3200C16D-32GTZRX」
(DDR4-3200、16GB×2)
ビデオカード NVIDIA「GeForce RTX 3080 Founders Edition」
ストレージ Corsair「CSSD-F1000GBMP600」
(NVMe M.2 SSD、1TB、システム用)、
Silicon Power「SP002TBP34A80M28」
(NVMe M.2 SSD、2TB、ゲーム用)
電源ユニット Super Flower「SF-1000F14HT」
(80PLUS TITANIUM、1000W)
OS Microsoft「Windows 10 Pro 64bit版」
(May 2021 Update)

「CINEBENCH番長」の復活

 では定番の「CINEBENCH R23」のスコアー比べから始めよう。テストはデフォルトの10分のウォームアップの後にスコアー計測に入るモードで計測した。

「CINEBENCH R23」のスコアー

 第10/第11世代CoreではRyzenに負けていたインテル製CPUだが、ついにRyzen 9 5950Xをスコアーでブチ抜くCPUが出現した。MTPを241W(Core i9-12900Kの場合)まで盛ったとはいえ、マルチスレッドテストでもRyzen 9 5950X(16コア/32スレッド)を「論理コア数の少ない」Core i9-12900K(16コア/24スレッド)が抜くどころか、シングルスレッドでも大差をつけている。

 同様にCore i7-12700KはRyzen 9 5900Xを、Core i5-12600KはRyzen 7 5800Xを上回っている。第11世代Coreは第4世代Ryzenにマルチスレッドでは負けモード、シングルスレッドでは僅差で上回る程度だったが、第12世代のCore i9-12900Kではどちらも第4世代Ryzenを大きく引き離して勝利している。第9世代くらいまで堅守してきた「CINEBENCH番長」の座はRyzenから奪還したといってよいだろう。

盛ったぶんだけ当然増えた消費電力

 次に気になるのは消費電力だ。第12世代CoreではMTP(PL2)を常時維持できるようにするという指針があるため、MTPが241WのCore i9-12900Kの消費電力は相当なものになると予想される。

 今回もラトックシステム製ワットチェッカー「RS-WFWATTCH1」を用い、アイドル時(システム起動10分後の安定値)と「OCCT Pro v9.1.4」の“OCCT”テスト(エクストリーム&一定モード)を10分回した時の安定値をそれぞれ測定した。

システム全体の消費電力

 ほぼ予想通り、パワーリミットを大幅に盛った結果として消費電力はさらに増加。Ryzen 9 5950Xもメインストリーム向けCPUとしては高いほうだが、Core i9-12900Kはそれを約27%上回る。

 となると、多数のマザーボードメーカーが採用している「デフォルトでパワーリミット無制限」設定の場合にどのぐらいまで伸びるか心配になるところだが、今回の検証環境ではCore i9-12900Kでも300Wを超えておらず、パワーリミット無制限でもインテル推奨値でも300W前後で頭打ちになることが確認できた(このあたりは別稿でまとめたい)。

 第12世代Coreはプロセスルールを微細化した結果生まれた電力的余裕を、すべてCPUが消費できるパワーに回すという実にマッシブなCPUであると言えるだろう。これまではクロックや電力を盛っても勝てなかったが、第12世代Coreなら盛れば勝てるようになったのだ……。

Pコア数が効く「Blender」

 CINEBENCH R23だけで安堵するのはよろしくない。そこで次は3DCGソフト「Blender」の公式ベンチである「Blender Open Data」を使って、6種類のシーンをレンダリングする時間を計測してみよう。起動時に指定するBlenderのバージョンは2.93.1を指定している。

「Blender Open Data」によるレンダリング時間

 第11世代Coreではコア数の等しいRyzenとせいぜい同等程度の結果しか出せていなかったインテル製CPUだが、第12世代Coreになると処理時間が大きく短縮。しかし、CINEBENCH R23のようにCore i9-12900KがRyzen 9 5950Xを倒すまでには至らない。Core i9-12900KはRyzen 9 5900Xよりやや上、Core i7-12700KはRyzen 9 5900Xのやや下、そしてCore i5-12600KはRyzen 7 5800Xのやや上程度の性能を示している。

 この差を生んでいるのはCINEBENCH R23とBlenderの計算負荷の違いだが、Blenderの場合、Pコアに相当するコアが多くないと計算時間が短縮できないようだ。PコアとEコアの演算性能に大きく違いがあるため、CINEBENCH R23ではEコアでもある程度処理を回せるが、Blenderでは圧倒的にPコアが重要ということだろう。

「V-Ray Benchmark」でもRyzenと激戦

 さらに「V-Ray Benchmark」でもチェックしてみよう。このベンチマークは3種類の処理を選択できるが、うち2種はGPUの処理性能に強く依存するため、CPUだけで処理する「V-Ray」のスコアーだけをチェックする。

「V-Ray Benchmark」の結果

 単位は「vsamples」だが、こちらはスコアーと考えてよい。このベンチマークでも最高はRyzen 9 5950X、2番手にCore i9-12900K、次いでRyzen 9 5900X、Core i7-12700Kと激戦の様相を呈している。

 Blenderもそうだったが、第11世代の最上位であるCore i9-11900KをCore i5-12600Kが上回っている点にも注目したい。ただし、DDR4メモリーと第12世代Coreを組み合わせた場合でも同様の傾向になるとは言いがたい。DDR4環境での差については後日検証することにしたい。

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