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ニコニコ動画最大級のユーザーイベントMMD杯の歴史を運営メンバーが振り返る【その1】

2011年07月20日 15時30分更新

 7月29日より予選が開始される、ニコニコ動画の人気イベントMMD杯。イベントについてじっくり知っておくために運営メンバーのみなさんと座談会を開催し、大会の歴史について聞いてみました。

 参加してくれた人

かんなさん
第1回~第4回MMD杯スタッフ。
ニコニコ動画ではMMD作品の月刊ランキング動画を制作するなど、MMDの普及に大きく貢献しているひとり。

cortさん
第5回~第7回MMD杯運営スタッフ。
MMDを使ったボーカロイドのPV動画を多く制作するほか、自身の生放送で制作作業風景もしばしば公開している。

澪姉さん
第6回~第7回MMD杯運営スタッフ。
MMD動画以外にも、モデルやアクセサリーのデータ、MMDのチュートリアル動画なども制作、公開している。

ねるどらさん
第5回MMD杯準優勝者。
『MMD Band Edition』コミュニティーを主催するほか、生放送でMMDの操作解説も行なっている。MMD杯運営スタッフじゃないけど座談会やるよと言ったら来た。

KAWARAさん
第5回MMD杯特別賞受賞者。
MMDツールのテスト動画や自らつくったボーカロイド楽曲のPV動画などを公開している。MMD杯運営スタッフじゃないけどなぜか遊びにきた。

ムタ そもそもMMD杯を始めたきっかけは何だったんですか?

かんなさん もともとは私の企画ではなく、ほかの人がネットの掲示板でMMDでもニコニコ動画のイベントをやってみようと言い出したのがきっかけでした。企画段階でいろいろあって頓挫しかかったのですが私が引き継いだんです。

KAWARAさん もともとはどんなイベントになる予定だったんですかね?

かんなさん それはいまやっているMMD杯と同じだと思います。……たぶん。

澪姉さん 第1回は2回以降に比べてレギュレーションがすごい厳しかったと思う。

かんなさん いちばん最初はMMD動画をつくる人向けのイベントだと考えていました。
 たまたま企画した人が“杯”って付けちゃったのね。“祭り”ではなく。なので、どうせなら動画制作者どうしで切磋琢磨できるイベントにしようと思ったわけです。その当時MMDユーザーは100人もいなかったし、正直どうせほかの人は見ないだろうなと思っていましたね。

澪姉さん 過去のデータを見てみると2回と3回でコロッと変わっていて、2回までは動画を見る人とつくる人がほとんど同じ層なのね。

cortさん 投稿者どうしが盛り上がるというコンセプトだったしね。

ムタ 1回目が終わった時点で、2回目もやるっていうのは考えていたんですか?

かんなさん 全然考えてなかったですよ。まあ、第1回だけで終わってもいいやというノリでやっていたので。
 どうして第2回をやろうかと思ったかというと、ちょうど反響もよかったのと、半年後がMMDの公開1周年だったんですよ。今でも続いちゃってますが、偶数回っていうのはMMD作者の樋口さんがMMDを公開した2月にやってるんです。MMDはフリーソフトで、樋口さんは寄付も受け付けてないんです。なので、投稿者みんなで動画で“お支払い“しようとw
 なので、そういった意味でも最初のころは、どちらかというと投稿者向けのイベントとして考えてたんです。

cortさん そんな中で、第2回でゲキド(ゲキド・オブ・ハツネ)が爆伸びして、そこから投稿者以外のユーザーも見るようになった。「なんだこれは!?」みたいな感じでw あの動画がなかったら、今のMMD杯はこれほど盛り上がってなかったかもしれない。

ゲキド・オブ・ハツネ
MMD杯座談会

澪姉さん 背景のゲキド街を配布したのもデカかったね。MMDの初期位置のカーソルの中だけでやっていた話が、いきなり街というスケールになっちゃった。

かんなさん 第1回が終わったあとにMMDのバージョン3が出たのも大きかったと思います。バージョン3でモデルが選べるようになったし、PMDエディターが公開されて自分でつくったモデルを追加できるようになりました。
 制作者もMMDの操作に慣れてきたところで第2回を開催したら、ゲキドとかカオスろいど(「舞闘楽土カオスろいど」OP)みたいな路線の作品も出てきたんですよね。

「舞闘楽土カオスろいど」OP
MMD杯座談会

cortさん  カオスろいどは、いまだにどうやってつくってるかよくわかってないw

澪姉さん わかってるけど絶対やろうと思わないw すっごい細かく動かしてる。
 いまだにわらないのが第3回のミクのアイスショー(Vocaloid On Ice ~ ミクのICE☆SHOW ~)ね。あの影どうやってつくってるんだろ?

Vocaloid On Ice ~ ミクのICE☆SHOW ~
MMD杯座談会

かんなさん まあ、そんな感じでMMD本体や制作環境が進化していく中でMMD杯の規模も大きくなった印象はあります。ただ、ニコニコ動画全体の環境も随分変わってきてますから、そういった部分も含めてさまざまな要因が絡み合った結果かもしれません。

澪姉さん 動画制作者以外のユーザーの再生数が増えたのもそのころかな。

ムタ ボクが個人的に見はじめたのは第3回からなんですけど、3回目と4回目でかなり印象が違って、4回目ではオリジナルモデルのバリエーションが増えた印象がありますね。Lat式ミクの動画が出だしたのもこのころじゃないですか?

cortさん まさたかPの優勝動画(Chaining Intention【PV】)でも使っていたね。

Chaining Intention【PV】
MMD杯座談会

澪姉さん ボカロ曲のPVが優勝したのはあれが史上初。

ムタ ほかにもテーマ別優勝のせんとさん(卓球)のような、今までなかったタイプのモデルも増えてたんですよ。個人的に印象に残ってるのがビッグヨーデルですね。

卓球
MMD杯座談会
ビッグヨーデル
MMD杯座談会

cortさん あー。あれのせいでエキシビジョンができて、その後も続く流れができちゃったんだよw いまだに自分の動画でヨーデル使ってるし。
 あとモデルといえば敢闘賞のツブラヤPさんのミクトラもすごい衝撃だった。第4回のサブタイトルは“A New Hope”なんだけど、僕の中ではNew HopeはツブラヤPなんだよね。まったく今までになかったベクトルが来たなと。

ミクトラ
MMD杯座談会

ムタ あと針金さんの1万人ライブ(自作モデルで1万人ライブ)も第4回でしたよね。

自作モデルで1万人ライブ
MMD杯座談会

澪姉さん 外部ツールを使ったやつね。やりかたはわかっていても今まで誰もやろうとしなかったことをやっちゃったの。

ねるどらさん 自分は第4回の少し前にMMDを始めていたんですが、第4回を見て、自分もこういう動画をつくってみたいなーと思ったのがきっかけで本格的にやりだしましたね。

澪姉さん みんなが第4回で忙しい中、突然ヌルヌル動くドラムモーションの動画を上げてウワサになってましたよw

test:ネルにドラムをたたかせてみた
MMD杯座談会

かんなさん 実はcortさんには言ってなかったかもしれないけど、第4回はやるつもりなかったのです。ただ、偶数回っていうのはMMDの公開2周年というのがあったし、次はやらないのかって質問が来たりもしていたので、運営をやりたい人がいるのであればという感じで引き継ぎを含めてやったのが第4回。

cortさん で、かんなさんが第4回で運営を退いて、第5回からボクが引き継ぐ形になったんですよ。

かんなさん よく手を挙げたよねw

cortさん このままだと誰もやらないと思ったんですよ。僕も昔から掲示板とか見ていたし、運営への批判っていうのはやっぱりありましたからね。
 ただ、中に入ってみないと、運営の人たちが何をやっていて、何を考えているのかってわからないなって思って。それで入ってみたんです。

かんなさん 確かに運営が表に出てこないから何やってるかわからないって意見は私たちがやってたときからあったけれど、舞台裏を見せてもおもしろくないよねって思ってるので。テーマパークの裏側を見せられてもつまらないでしょ?

cortさん まあでも、中身やシステムを見せるとかとは別の方法ですけれど、僕は運営の中ではわりと表に出てるほうだと思いますよ。
 5回目以降は主催を立てずに会議として運営していて、そのぶん広告塔になる人間が必要だろうなということで、Wikiのページで運営日誌をつけたりしてます。

【長くなったのでその2につづく】

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