週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

実はそれほど燃費は悪くない?ワットパフォーマンスも検証

既存GPUと一線を画す4Kの強さ。GeForce RTX 4090のゲーム性能を徹底検証!

2022年10月11日 22時10分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集● ジサトラユージ/ASCII

意外にもワットパフォーマンスは優秀?

 これまで筆者のGPUレビューでは、Time Spyデモ実行時のピーク値をサンプルとして消費電力を論じることが多かったが、ゲーム側の処理が違えば消費電力も変わってくるわけで、実際にはゲームや解像度設定によりビデオカードが消費する電力、即ちTBP(Total Board Power)も変わってくる。

 今回、全部のベンチにおいてTBPを計測しつつフレームレートを計測する時間的な余裕は得られなかった。そこで、CapFrameXがフレームレートのデータと同時に記録する「GPU Power」の値を利用する。GPU Powerについてはこちらの記事を参照して頂きたいが、現行GPUはドライバーのAPIを通じてTBPに近い値をGPU Powerとして取得することができる。

 ただし、リアルなTBPよりは10%程度低くなることが経験則で分かっている。TGP 450WのRTX 4090 FEなら、TBPが450WならGPU Powerはだいたい410W程度と予測できる。

 まずは各ベンチマークごとのGPU Powerの違いを見てみよう。各GPUと解像度ごとに2つの数値が記されているが、上がベンチマーク中に観測された最大値、下が平均値となる。

ベンチマーク中のGPU Power:Apex Legends、Rainbow Six Siege(Vulkan)、Overwatch 2

 まずは軽めのFPS系タイトルでの比較だ。Apex LegendsのフルHD設定では、RTX 4090 FEのGPU Powerは最大300W、平均236Wであると読むが、WQHD、4Kと解像度が上がるに従い、最大値が350W、402Wと上がる。つまり、フルHDではフレームレート制限があるため、RTX 4090 FEのパワーを使い切っていないということが読み取れる。

 RTX 3090 FEやRX 6950 XTはどのゲームでも最大値が大きく変わっていない点から、割とフルパワーに近い状況で動いていることがわかる。RX 6950 XTのGPU Powerは325Wあたりに収束しているが、これは同カードのPPTの上限値に一致する値だ。

 そして、RTX 4090 FEがRainbow Six SiegeにおいてWQHDのほうがフルHDよりフレームレートが高い理由も、このGPU Powerからある程度推察できる。つまり処理が軽すぎてGPU Powerが上がりきらない、つまりGPUがオーバースペックすぎることを示している。

 一方、Overwatch 2ではRTX 4090 FEのGPU Powerがそれなりに高く、GPUパワーをそれなりに使えていることが示されている。RTX 4090 FEよりフレームレートの低いRTX 3090 Tiのほうが高いGPU Powerを記録していることから、RTX 3090 Tiのワットパフォーマンスはそれほど高くないことが示唆されている。

ベンチマーク中のGPU Power:Tiny Tina's Wonderlands(DX12)、Forza Horizon 5、Microsoft Flight Simulator

 重量級のTiny Tina's Wonderlandsでは解像度が高くなるほどGPU Powerが高くなるが、GPUのTGP限界近くまで使うにはフルHDやWQHDでは負荷が足りない。一方Forza Horizon 5では、RTX 4090 FEのGPU Powerが既存GPUより低い割にフレームレートは出ているという点に注目したい。

 また、Microsoft Flight Simulatorでは、RTX 4090 FEやRX 6950 XTのGPU PowerがフルHDとWQHDにおいて非常に低い。これはCPUバウンドになってGPUがほぼ寝ていることを示している。Microsoft Flight SimulatorがDLSS Frame Generationに対応するのは非常に合理的なチョイスといえる。

ベンチマーク中のGPU Power:Far Cry 6、Marvel's Spider-Man Remastered、Ghostwire: Tokyo

 続いて、レイトレーシング系のゲームでのGPU Power比較だが、Far Cry 6とMarvel's Spider-Man RemasteredのフルHDおよびWQHDでは、RTX 4090 FEは全然パワーを使っていない。パワーを使っていないのでフレームレートも出ていないと言い換えることができる。Ghostwire: Tokyoもその傾向にあるが、Far Cry 6等よりはGPUパワーを使えていることが分かる。

ベンチマーク中のGPU Power:F1 22、Cyberpunk 2077

 処理の重いF1 22やCyberpunk 2077では4K時の最大消費電力の大きさに注目。どのGPUも限界ギリギリまで使っていると推察できるが、フレームレートでは圧倒的にRTX 4090 FEが上だ。つまり、新GeFoceの消費電力は大きいが、パフォーマンスに見合った消費電力になっているといえる。GPU Powerの値だけ見るとRX 6950 XTは低い(理由は設計によるものと、前述のAPIの制限)が、フレームレートも低いことを考えるとワットパフォーマンスは決して高いとはいえない。

 フレームレートのデータを取得した時のGPU Powerが得られれば、ワットパフォーマンスを求めることもできる。今回はベンチマーク中におけるGPU Powerの平均値と各ベンチマークの平均フレームレートに注目する。1Wあたりにすると数値が小さくなりすぎるので、GPU Power 10Wあたりのフレームレートを算出してみた。

GPU Power 10Wあたりの平均フレームレート:Apex Legends、Rainbow Six Siege (Vulkan)、Overwatch 2

GPU Power 10Wあたりの平均フレームレート:Tiny Tina's Wonderlands(DX12)、Forza Horizon 5、Microsoft Flight Simulator

GPU Power 10Wあたりの平均フレームレート:Far Cry 6、Marvel's Spider-Man Remastered、Ghostwire: Tokyo

GPU Power 10Wあたりの平均フレームレート:F1 22、Cyberpunk 2077

 こうしてみるとTGPの近いRTX 4090 FEとRTX 3090 Tiでは、圧倒的にRTX 4090 FEのワットパフォーマンスが優れている。今回テストに使用したRTX 3090 Tiが水冷仕様のハイエンドファクトリーOCモデルなせいもあるが、RTX 4090をTGP 450W設定で使ったとしても、RTX 3090 Tiよりも効率よく処理することができる事を示している。Microsoft Flight SimulatorのようにRX 6950 XTがRTX 4090 FEを上回る、もしくは並ぶケースも観測されたが、今回の検証ではレアケースといってよい。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

この連載の記事