第341回
最大30%のパフォーマンス向上!?
「Resizable BAR」の効果をGeForce RTX 30シリーズまとめて検証!人気ゲーム13本でフレームレートを計ってみた
Resizable BARが仇になった「Rainbow Six Siege」
最後に紹介する「Rainbow Six Siege」は、NVIDIAの“Resizable BAR効果有りゲーム”リストにはないゲームだ。この理屈だとResizable BARを有効化しても性能は変わらないと読めるが、今回試しに回してみたら意外な結果が出たので紹介したい。
検証条件はいつもの通り、APIはVulkan、画質は“最高”をベースにレンダースケール100%を追加。ゲーム内ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測した。
まず、Resizable BARを有効にすると、最低fpsの落ち込みが劇的に改善されている点に注目したい。最低fpsが大きく落ち込むのは、しばらく前から筆者を悩ませていた問題で、RyzenのAGESA 1.2.0.0以降のBIOS+RTX 30シリーズの環境でRainbow Six Siege(Vulkan)のベンチマークを起動すると、開始直後の数秒間激しいスタッターが出るのが原因だ。
RTX 30シリーズでもインテル製CPU+チップセットの組み合わせや、CPUがRyzenでもGPUがRadeonならスタッターは発生しない。いわゆる“おま環”(おまえの環境依存)問題を完全に棄却できるほどデータが集まっている訳ではないが、RTX 30シリーズでもResizable BARを有効にするとスタッターは出ず、最低fpsが伸びた。悩みの種の1つが解消されたことは素直に喜びたい。
しかし、新たな悩みの種も誕生した。フルHDやWQHDでは順当な性能(平均fpsはほとんど変化しない)だが、4Kになると平均fpsが全く伸びなくなる。先のBorderlands 3と似たような現象だが、こちらの方は4Kで特異的に発生するパフォーマンスダウンだ。
詳しいメカニズムまでは不明だが、Resizable BARの何かが悪さをしているのは明らかだ。ただ、Rainbow Six Siegeは今シーズンから画質設定周りの挙動がおかしく(具体的には今までの“最高”設定と今シーズンの“最高”設定でconfigファイルの内容が微妙に違う)なっており、このあたりも影響している可能性がある。今後の動向に注目したい。
まとめ:ごく一部でデメリットはあるものの、Resizable BARは
RTX 30シリーズの描画パフォーマンスを劇的に改善する
以上で検証は終了だ。今回はNVIDIAの事前検証で「Resizable BAR効果あり」と判明しているゲームを中心に検証した。
ひとくちに効くといっても、Assassin's Creed Valhallaのように平均fpsが数fps上がる程度のものから、F1 2020やWatch Dogs: Legionのように2ケタ%の伸びを示すものまで様々だった。なかにはBorderlands 3やRainbow Six Siegeのように、特定条件では微妙にデメリットが出るタイトルもある。
ゲームによってはResizable BARを有効化することで上位GPUをも食える性能になる点を考えれれば、筆者の感触としてはもう常時有効で良いのではないかと感じた。特に、RTX 3080や3090など基本スペックの高いGPUほどResizable BARの恩恵は強力になる。
RTX 30シリーズ搭載ビデオカードをお持ちなら、CPUやマザーボードを変えてでもResizable BARを有効にする価値があるといえるだろう。
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