スペインのバルセロナで開催中のMWC。イベント初日となる2月27日の朝にはノキアがプレスカンファレンスを開催し、Windows Phoneを含む複数の新製品を発表した。
↑プレスカンファレンスに登場したCEOのステファン・エロップ氏。 |
MWC会場には巨大なノキアブースが設置され、新製品を含む多くの端末が展示されていた。
初日からブースは来場者で賑わっており、1月のCESに続いてMWCにおいてもノキアという存在の大きさを改めて印象付けたと言える。
それではさっそく注目の新端末をご紹介しよう。
Nokia Lumia 610
『Lumia 610』は、ノキアのまったく新しいWindows Phone端末だ。次のOSアップデート『Tango』世代の端末として、初めて公式に発表された端末でもある。
Lumia 610の位置づけは、600番台のモデルナンバーが示すとおりローエンド。従来のWindows Phone端末の約半分となる256MBのメモリーと、クアルコムのMSM7227Aを搭載しているのが特徴だ。
ほかのLumiaシリーズと比べてスペック的に見劣りする点をブース担当者に指摘したところ、Windows Phoneの快適な操作性を損なわないよう細心の注意を払って開発を進めているとのこと。
展示機のOSは開発中と見られるビルド番号のTangoだったが、しばらく触ってみても違和感を覚えることなく操作できた。ただしアプリによっては挙動に差が出る可能性もあるとのこと。
Windows Phoneとしては破格の189ユーロ(円換算=2万円程度)という価格設定で、2012年第2四半期に発売予定。カラーはシアン、マゼンタ、ブラック、ホワイトの4色となっており、Windows Phone端末として最多のバリエーション数となる予定だ。
↑縁取りが特徴的な、丸みを帯びたシルエット。ホワイトはつやあり。 |
↑背面のカメラ付近。シアンもつやあり。 |
↑ハードウェアキーはLumia 710と違い、静電容量式。ブラックはつや消し。 |
↑右側面に音量調節・電源・シャッターボタンが集中している。マゼンタはつや消し。 |
Nokia Lumia 900
『Lumia 900』は、1月のCESで発表済みのハイエンドWindows Phone端末だ。CESの時点では米AT&T専用端末となっており、ほかのキャリアや地域への展開は未定だったものの、MWCにおいてヨーロッパやアジアを含むグローバル向けモデルとして改めて発表された。
AT&T版との違いとして、これまでシアンとブラックの2色だった端末カラーにホワイトが追加された。AT&Tのロゴはなくなり、“NOKIA”ロゴが中央に表示されるようになった。一方、スペック上の違いとしてLTEには非対応となっている。
ブースの担当者によるとOSは『Windows Phone 7.5』とのことだが、随時最新のアップデートを適用していくという。Tangoをプリインストールした状態で出荷される可能性もあると言える。
価格は480ユーロで、2012年第2四半期に発売予定。
↑プロトタイプのため“proto.nokia.com”の表記が小さく入っているが、製品版では“NOKIA”ロゴのみになる。 |
↑つやつやしたホワイトが特徴的。Lumia 800との見分け方は、LEDフラッシュの位置。 |
↑Lumia 800と異なりMicroUSBポートはむき出しのため、コネクターを脱着しやすい。 |
↑音量ボタン、電源ボタン、シャッターボタンは右側面に集中している。 |
Nokia Lumia 800
『Lumia 800』はすでに発表済みのWindows Phone端末だ。しかし今回、新たに端末カラーとしてホワイトが追加された。シアン・マゼンタ・ブラックに続いて4色目となり、IS12Tを抜いて最多のカラーバリエーションを持つWindows Phoneとなる。
なお世界的には、ルミアという音の響きから“光”や“明かり”を連想する人が多いという。しかしフィンランド語でLumiaは“雪”を意味することから、ホワイトはLumiaに最もふさわしいカラーとも言える。
そこで、なぜホワイトがシアンやマゼンタから遅れて発売されるのかブース担当者に尋ねたところ、製造の困難さが理由のひとつとのことだった。
↑黒と白のコントラストが映える、Lumia 800のホワイトモデル。 |
↑ホワイトはほかのカラーよりも量産に高度な技術を要するという。 |
Nokia 808 PureView
『Nokia 808』は、41メガピクセルのセンサーを搭載した圧倒的なカメラ性能が特徴のSymbian端末だ。
Nokia 808のカメラが備える“PureView”モードでは、数ピクセルを1ピクセルに圧縮することにより、41メガピクセルの画像から5メガピクセルの画像を生成する。これにより高画質な写真を、FacebookなどのSNSで共有するのに最適なサイズで得られるという。
この41メガピクセルのセンサーを格納するため、端末背部はカメラ部分が大きく突出したデザインとなっている。
価格は450ユーロで、5月に発売予定。なおPureView技術のWindows Phoneへの展開は未定だが、将来的にはあり得るとのこと。
↑Nokia 808。正面から見ると標準的なSymbian Belle端末だ。 |
↑カメラ部分のアップ。41MPというセンサーが圧倒的。 |
↑端末を横から見ると、カメラ部分だけが盛り上がっていることがわかる。 |
↑“フルレゾリューション”モードでは、38メガピクセルで撮影することも可能。ファイルサイズは10MBを超えるとか。 |
Nokia Asha 202/203/302
Nokiaのフィーチャーフォンである『Asha』シリーズにも新しいモデルが発表された。
『Asha 202』は左右に2つのSIMスロットを搭載。『Asha 203』はひとつだが、いずれもSIMカードの設定を記憶する機能があり、容易に複数のSIMを入れ替えることができる。価格は60ユーロ。
QWERTYキーボード付きの『Asha 302』は、S40シリーズとして初めてMicrosoft Exchangeに対応。5色のカラーバリエーションがある。価格は95ユーロとなっている。
↑Asha 203。SIMスロットは簡単に手で開けることが可能。 |
↑Asha 302はQWERTYキーボード付き。ただし、タッチパネルではない。 |
ノキアブースの様子
↑Lumia 900などが注目を集めていたノキアブース。 |
MWCのノキアブースには上記の端末がすべて展示されており、実際に操作できるようになっている。特にLumia 900はCESでガラスケースに入っていて触れなかったこともあり、大いに注目を集めていた。
ほかにもノキアブースには周辺機器や独自のアプリが展示されていたので、簡単に紹介しておこう。
Windows Phone向けアプリとして新しく発表されたのが、『Nokia Transport』と『Nokia Reading』だ。
Nokia Transportは電車やバスに対応した乗り換え案内アプリとなっており、世界の多くの国や地域に対応する。
Nokia Readingは電子ブックとオーディオブックのアプリとなっており、ヨーロッパを中心に展開予定だ。ほかにも『Nokiaドライブ』や『Nokiaミュージック』のコーナーがあった。いずれも日本への対応は未定とのこと。
周辺機器としては、CESで発表されたスピーカーやヘッドフォンに加え、スティック型のバッテリー『DC-16』が登場。USB接続により、スマートフォンを充電することが可能。4色のカラーバリエーションがある。
アプリ開発者向けとしては、Windows Phone MarketplaceやQtの展示があり、イベントとしては“Nokia Developer Day”が開催された。Windows PhoneとQtの開発環境は明確に区別されており、それらを連携する仕組みは発表されなかった。しかしドキュメントやトレーニングなど、相互にスキルを移行するための試みは多数用意していくとのことだった。
↑乗り換えに便利なNokia Transportアプリ。日本には未対応だが、海外旅行で使えそうだ。 |
↑Nokiaの独自音楽サービス『Nokia Music』。Windows Phone標準のZuneよりも対応地域が広いのが特徴。 |
↑スマートフォンを充電できるスティック型のバッテリー。容量は2200mAh。 |
↑世界中のSymbian端末向けに、Qtによるアプリ開発もまだまだ健在だ。 |
バルセロナで開催されるモバイルの祭典Mobile World Congressを最速レポ
週アスPLUS:MWC 2012 最強まとめ
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります