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MWC2012:WP8は年内に登場?Windows Phone展示を総括【ななふぉ管理人寄稿】

2012年03月02日 17時00分更新

 今年のMWCで注目すべきWindows Phone関連の話題と言えば、やはり新製品を発表したノキアとZTEの2社だろう。また、会場全体で大きく盛り上がっていたAndroidに比べるとやや寂しい印象はあるものの、それ以外にもいくつかWindows Phone関連の展示はあった。

 MWC全体を通してWindows Phoneはどうだったのか? ここにまとめてご紹介しよう。

■マイクロソフトブースはシンプル?

 1月にラスベガスで開催されたCESでは、多数のWindows Phone端末に触れることができた。これはマイクロソフトブース内に設けられた、メーカー各社の端末展示コーナーが充実していたのが大きな理由のひとつだ。

 しかしMWCにおけるマイクロソフトブースは殺風景と思えるほどシンプル。Windows Phoneとほかのスマートフォンの対決企画“Smoked by Windows Phone”に特化したものになっていた。

 各社のWindows Phone端末を配置したソファーはあったものの、決して目立つ存在ではなかったと言える。

MWC2012:MWCにおけるWindows Phone端末の展示を総括【ななふぉ管理人寄稿】
↑やや拍子抜けのマイクロソフトブース。

 マイクロソフトとは対照的に、ノキアの存在感は非常に大きかったようだ。毎年MWCに来ているという複数の日本人参加者に確認してみたが、ほぼ全員が口を揃えて「ノキアが帰ってきた」と語っていたほどだ。

 ノキアブースのある建物は会場の中心からやや離れているものの、初日から最終日までつねに大盛況だった。ノキアの集客を助けるため、マイクロソフトはあえてブースを控えめにしたのではないか? そんなふうに思わざるを得ないほど、両者は対照的だった。

MWC2012:MWCにおけるWindows Phone端末の展示を総括【ななふぉ管理人寄稿】
↑来場者でごったがえすノキアブース。

 一方、Samsung・HTC・LGというWindows Phoneの古参メーカーがいずれも新製品を発表しなかったという点は残念だ。Samsungはブース内に1機種を展示したものの、HTCとLGにいたってはブース内にWindows Phoneを展示していない。

 逆に、Androidを擁するグーグルのブースは活気に溢れていた。各メーカーのAndroid端末をハイライト的に展示し、関連アプリやサービスも多数紹介。さらには滑り台を設置したり、ピンバッジやドリンク、お菓子を配布するなど、あの手この手で集客を図っていたのが印象的だ。

MWC2012:MWCにおけるWindows Phone端末の展示を総括【ななふぉ管理人寄稿】
↑Androidの熱気が伝わってくるグーグルブース。

 このようにブースの盛り上げという点で、マイクロソフトはもう少し工夫の余地があったのではないかと思う。

 しかし各メーカーのブースを丁寧に見ていくと、Windows Phoneにとって重要な情報も少なくなかった。ここから順番にご紹介しよう。

■ノキアの『Lumia 610/800/900』

MWC2012:MWCにおけるWindows Phone端末の展示を総括【ななふぉ管理人寄稿】
↑ノキアのLumiaシリーズは早くも4台目に突入。

 ノキアのブース紹介記事でも取り上げたが、MWCで発表された新端末が『Lumia 610』だ。

 Lumia 610はローエンドの端末であり、MWCの情報を追いかけるような最先端ユーザーには物足りないかもしれない。実際、この端末のターゲット層は18〜24歳の若者や新興市場、あるいはライトユーザーであるという。

 しかしLumia 610は初の“廉価版”Windows Phone端末という点で、重要なターニングポイントにある製品と言える。これ以降、Windows Phone端末は通常版と廉価版(搭載メモリーが256MBの端末)の2種類が共存していくことになる。

 これまでのWindows Phoneは、Chassisの統一によって各端末の均質化を図ってきた。ここで安易にChassisを多様化させれば、Androidのような端末のフラグメンテーション(分断化)につながる恐れがある。

 そこでマイクロソフトは廉価版端末のローンチにあたって、Marketplaceの仕組みや開発者向けのSDKに変更を加えることにより、エコシステム全体として足並みを揃える計画だ。これについてはLumia 610が登場する第2四半期までに、さまざまな動きがあると思われる。

 ノキアブースにはほかにも『Lumia 800』と『Lumia 900』が展示されており、ひっきりなしに来場者が訪れていた。すでにグローバルに展開しているLumia 800と同じく、Lumia 900もヨーロッパやアジア、ラテンアメリカへの展開が期待される。現時点では、アメリカの隣国カナダへの展開が発表されている。

■ZTEの『Orbit』と『Tania』

MWC2012:MWCにおけるWindows Phone端末の展示を総括【ななふぉ管理人寄稿】
↑ZTEの新しいWindows Phone『Orbit』。

 MWCでWindows Phoneの新製品を発表したもうひとつのメーカーがZTE。

 『Orbit』はLumia 610と同じ第3世代に属するWindows Phone端末だ。

 ZTEのWindows Phoneと言えば、すでに発表済みの『Tania』がある。しかしOrbitはTaniaと異なり、『Windows Phone 7 Tango II』という未発表のOSを搭載する。さらにOrbitのスペックシートには、Windows Phoneユーザーの度肝を抜く文言が多数並んでいる。

MWC2012:MWCにおけるWindows Phone端末の展示を総括【ななふぉ管理人寄稿】
↑Windows Phoneクラスタで物議を醸しているOrbitのスペックシート。

 Bluetooth 3.0やWiFi Direct、NFC、FOTAは、いずれもWindows Phone 7.5では未対応の機能で、一部はWindows Phone 8での対応が期待されていたものだ。しかしブース担当者の説明によれば、Tangoに続くアップデート“Tango II”でNFCやWiFi Directがサポートされるという。なお、FOTAとはNFCによる端末間のファイル交換を意味しているとのこと。

 これが本当なら、Windows Phone 8(コードネーム:Apollo)を待つことなく、NFCなどの最新機能を搭載したWindows Phoneが登場することになりそうだ。

■Samsungの『Omnia W』

MWC2012:MWCにおけるWindows Phone端末の展示を総括【ななふぉ管理人寄稿】
↑Samsungのグローバル向けWindows Phone端末『Omnia W』。

 Galaxyシリーズのタブレットやスマートフォンの展示が中心のSamsungブースだが、Windows Phone端末『Omnia W』も展示されていた。

 Omnia Wは、第1世代端末『Omnia 7』の後継モデルで、米国ではAT&TからFocus Flashという名前で発売されている。それに対してOmnia Wはグローバル向けの端末だ。

 Samsungがアメリカで販売しているもうひとつのハイエンドモデル『Focus S』にはグローバルモデルがなく、MWCではそのヨーロッパ向けバージョンが期待されていた。また、ノキアやHTCに続いてLTE対応のWindows Phone端末を開発中との噂もあった。

 これについてSamsungブースのWindows Phone担当者に尋ねたところ、社内ではさまざまな開発が同時並行で進んでいるものの、まだ発表できる段階にはないという回答だった。しかし、少なくともWindows Phone 8世代(担当者は“8.0”世代と強調)に向けて端末開発を進めており、年内に発売する計画とのことだった。

 Windows Phone 8の発売時期については諸説あるものの、どうやら年内の可能性も十分にあると考えてよさそうだ。

■富士通の『IS12T』

MWC2012:MWCにおけるWindows Phone端末の展示を総括【ななふぉ管理人寄稿】
↑『IS12T』がヨーロッパに上陸!

 最後は日本でもおなじみの富士通のWindows Phone端末、『IS12T』だ。

 CESのブースに比べて台数は減ったものの、シトラス・マゼンタ・ブラックの3色が展示されていた。

 IS12Tは日本国内のみの発売だったこともあり、世界的な知名度は低かった。しかしCESの展示で海外メディアを通してその存在が広まり、海外のWindows Phone関連記事においても「32GBのストレージを持つWindows Phone」や「13.2MPのカメラを搭載したWindows Phone」、あるいは「唯一の防水Windows Phone」などのキャッチコピーで言及される機会が増えたという印象。今回はモバイル業界の関係者が集まるMWCに展示されたことで、さらに認知度が高まったと期待できそうだ。

 富士通はすでにAndroidやWindows Phone端末を含めたスマートデバイスで、ヨーロッパ市場への進出を表明している。しかし現在のIS12TはGSMに対応しているものの、3G通信はCDMAのみ。W-CDMAが主流のヨーロッパとは相性が悪そうだ。この点をブース担当者に指摘したところ、通信技術に関するノウハウの蓄積は十分にあり、キャリアからの要求があればすぐにでも対応できるとのことだ。

 ノキアCEOのステファン・エロップ氏はキーノートにおいて、黒やグレーの端末が多いヨーロッパにおいて、カラフルなLumiaが店頭で映えるという点を力説していた。その意味では、IS12Tにも十分に競争力があると言える。ぜひヨーロッパの携帯ショップに並ぶIS12Tを見てみたいところだ。

■まとめ

 このように、海外ではWindows Phoneにも新しい展開が目白押しとなっている。この勢いで、ぜひ日本国内での展開にも期待したい。

 さらにMWC開催中の2月29日には、マイクロソフトがWindows 8の最初の一般向けプレビュー版を公開し、話題となっている。同じMetroのユーザー体験を楽しめるプラットフォームとして、今後はWindows 8とWindows Phoneの連携にも注目していきたい。

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