第190回
GeForce TITANXとGTX980Ti、GTX980を圧倒する驚異のワットパフォーマンス
Pascalスゴすぎ!VRゲーミング世代の“新たな王”「GeForce GTX 1080」をベンチマーク
GTX1080の見どころは大きく6つ!
さてここからはGTX1080のポイントとなる要素のうち、アーキテクチャーやハードウェア的な要素の強いものに絞り込んで解説していく。ウンチクはいいから早く性能が知りたい!という方は5ページ目からどうぞ。
【特徴1】SP数はやや増&動作クロックは激増
まず注目したいのはSP(CUDAコア)数はGTX980より多いが、GTX980TiやTITAN Xよりは少ない2560基に設定されている反面、コアクロックはブースト時1733MHzと従来に比べて非常に高く設定されている点だ。16nm FinFETを採用し、設計レベルの最適化を推し進めたことで、TITAN Xより少ないSP数でもTITAN Xを超える性能を出せる、というわけだ。
ちなみにPascalの内部構成をざっくりと観察すると、128基のSPが集まって「SM(Steaming Multiprocessor)」となり、SMが5基集まって「GPC(Graphics Processing Cluster)」を構成、GTX1080では4GPC構成なので128SP×5×4=2560SPとなる。第2世代Maxwellでは128SPで「SMM(Steaming Multiprocessor Maxwell)」、SMM4基でGPCとなっているので“単にGPCの並列度を増しただけか?”と思う人もいるかもしれない。しかし、GTX1080のSMに付随する「PolyMorph Engine 4.0」は、新機能“Simultaneous Multi-Projection”を備え、最新ディスプレー環境(当然VRも含まれる)に適応できるようになっているのだ。なお、Simultaneous Multi-Projectionは今回検証する一般的なPCゲーミングにおいてはほぼ関係のない機能であるため、次回解説する。
【特徴2】GDDR5Xとメモリー圧縮の改善で帯域はおよそ1.7倍に
そろそろ5Kゲーミング環境も見えてきそうな状況下ではGDDR5ではメモリー帯域が不足する。これを解決する“銀の弾丸”は間違いなくHBM2メモリーであるはずだが、残念ながらGTX1080では採用が見送られた。HBM2のコストの問題や弾数の確保といった事情もあるのだろう。だが前掲の図にある通り、GTX1080のメモリーコントローラーはGTX980の2倍となる8基構成だが、バス幅は256bitに据え置きだ。
そこでNVIDIAは帯域確保のために2つの手段を講じた。ひとつめはMicron製のGDDR5Xメモリーの採用である。これによりメモリーのデータレートは従来の7GHz(実クロックは1750MHz)相当から10GHz(同じく1250MHz)にジャンプアップ。しかし、10GHzという動作環境では回路設計も細心の注意が求められる。10GHz動作時のノイズ対策などには相当苦労したことだろう。
だがこれだけではメモリー帯域を稼ぎきれないため、メモリーの圧縮機能も合わせて強化することで、実質帯域を稼ぐ設計となった。メモリー圧縮自体は第2世代Maxwellで初搭載されたものだが、Pascalでは色圧縮機能をさらに強化することで、メモリー帯域をさらに効率よく使えるようになったのだ。
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