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「英語のライザップ」人気の秘密は第二言語習得(SLA)学習メソッド

3カ月でTOEIC800点超え続出!究極の英語ジムENGLISH COMPANY

 パーソナルトレーナーによる週2回の集中トレーニングと自宅でのトレーニングで、たった3カ月でTOEICのスコアが800点や900点になるという「英語のパーソナルジム」がある。現在、東京・四ツ谷、恵比寿、有楽町と京都・四条烏丸の4カ所にスタジオを持つ「STUDY HACKER ENGLISH COMPANY」(以下、ENGLISH COMPANY)だ。

 パーソナルトレーナー制度、3カ月限定のトレーニング期間、そして1カ月以内なら無条件で返金するというシステムから「英語版ライザップ」と称する声もある。実際その効果もすさまじく、オープンから10カ月ほどしか経っていないが、続々と短期間で英語を身に付けた人たちを生み出しているという。

 ENGLISH COMPANYを運営する教育系スタートアップ企業、恵学社の岡健作代表取締役に話を聞いた。

恵学社の岡健作代表取締役

勉強は辛い! 
でも「第二言語習得研究」のメソッドなら必ず身に付く

 「Study Hacker ENGLISH COMPANY」は「HACKER」と名が付くだけあり、こちらの英語ジムに通えば、ラクしてうまく英語をモノにできるのでは、という甘いイメージを持ってしまうが……「いえいえ、やっぱり勉強は辛いですよ!」と諭すように語るのは、恵学社の岡代表。

 「中学生も高校生も大人もみんな一緒で、勉強は辛いからできるならやりたくない。でも、やらなければならないときに、効果的な方法で勉強すれば短期間で結果を出すことができる。ラクするために……ではなく、英語学習はHackでもしないことには身につけにくいという意味でのHack」だという。

 初っ端から淡い期待を打ち砕かれたが、メソッドに沿って勉強をすれば、短期間で確実に英語力が身に付くというのは魅力的だ。

予備校事業「烏丸学び舎」(京都) 恵学社が抱える生徒数は、予備校の初年度は規模も小さくたった5人だったのが、今や予備校では東京と京都を合わせて300人を超えているという。

 同社の英語ジムで取り入れているHackの手法が「第二言語習得研究」という学術的な基礎研究に基づいた独自のトレーニングメソッド。第二言語習得(SLA:second language acquisition)は「人が母語(第一言語)を習得した後、あらためて学習し使用することができるようになった母語以外の言語(第二言語)を習得するのは、どういうメカニズムによるのか」ということを科学的に明らかにするための研究だ。

 SLAのメソッドを取り入れたきっかけは、恵学社を設立する前の岡代表が、偶然に再会した以前の教え子が大学院でSLAの研究をしていたことにさかのぼる。

 ここで岡代表の経歴を紹介すると、大学時代には英文科で100人規模の英語サークルの代表をやりながら、4年間みっちりとアルバイトの形で塾講師を続け、卒業後は一度メーカー勤務を経て、再び塾業界に戻ったというもの。

 SLAを知ったのは、大手塾の正社員として室長などの地位に立っていた頃で、これを教育現場に取り入れれば、今までのやり方がひっくり返るくらいにおもしろいことになると閃いたという。

 「以前勤務していた塾では、頭にハチマキを巻いて努力や根性で成績を上げるやり方を教えていたが、ハチマキを巻くだけでいいわけではない。もちろん、ハチマキを巻いた後にいくつかのプロセスを経て成績が上がる効果もあるが、努力や精神論にフォーカスが当たりすぎていると感じた。SLAの話を聞いて思ったのは、今後発展していくITテクノロジーと教育工学をきちんと融合させれば、『学び』の手法をずっと高度なものにできるのではないかということだった」(岡代表)

 2010年に恵学社を設立した当時、SLAの研究は現場での学習法に反映されておらず、理論を元に教材を作るといっても手探りでのスタートとなった。だが、SLAを研究する大学教授の協力を得つつ実践を始めていった。

STUDY HACKER

 岡代表は、まずは2010年に大学受験向け予備校事業「烏丸学び舎」を開始。次の一手として、勉強法のハッキングメディアとなる「STUDY HACKER」を2014年から運営開始した。現在Facebookで5万6000以上の「いいね!」を集める同サイトは、ENGLISH COMPANYの集客の柱となっている。そして、2015年6月にジム第1号となる四谷スタジオがオープンした。

 本当はすぐにでも社会人向け展開をやりたかったということだが、場所や人材などを準備には時間がかかったという。満を持して始めたのがこのジムだ。

 「会社としてはまず、一番インパクトのある部分から変えたかったので、大学受験のための予備校を最初にオープンした。精神論を押し出しているフィールドに合理的なメソッドをボンと持ってきたらどうなるかを見てみたかった」と岡代表。実際に予備校でSLAのメソッドを使ってみたところ、英語科目では3カ月で偏差値が15も跳ね上がる生徒がいた。

 「私たち自身が、第二言語習得研究はすごい!と実感した。点数を取りやすいちょっとした工夫とか、そういうレベルではない違いがあった。みんなバンバンと成績がアップして、英語の偏差値が100を越える生徒が出たり、英語の偏差値だけが40と低かった生徒が京都大学に合格したりと、驚くことが起こった」

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