記憶を定着させるためのポイントは2つ
Q.単語はどうやって覚えるのが効率的なのでしょうか? 記憶力が悪くて、覚えてもすぐ忘れてしまいます。
A.「自分は記憶力が悪いから……」という声をよく聞きます。ですが、新しく覚えた情報を忘れるスピードは、実は誰でもそう変わらないと言われています。
下記のグラフは「忘却曲線」と呼ばれ、人間の中期・長期記憶の一般的な忘却スピードを表したものです。
新たに暗記した情報は、覚えた直後にもっとも急速に忘却が起こり、徐々にそのスピードはゆるやかになるものの、24時間後には7割忘れてしまいます。
ただし、適切な方法を使えば、この忘却スピードをゆるやかにし、記憶を定着させることが可能です。ポイントは2つ。
1.適切な間隔で復習をはさむ
記憶の研究者である東京大学の池谷裕二教授の著書「受験脳の作り方 脳科学で考える効率的学習法」では、下記のようなタイミングでの復習がオススメされています。
- 学習した翌日に、1回目
- その1週間後に、2回目
- 2回目の復習から2週間後に、3回目
- 3回目の復習から1ヵ月後に、4回目
こうすることで、覚えた内容を忘れてしまうスピードが遅くなっていきます。
2.テストをする
この本の中で池谷教授はまた、「脳は出力依存型」であるということを強調しています。つまり、記憶は思い出して使おうとするとき(出力するとき)に定着していく、ということです。もちろん、まずは入力しなければ記憶には残りませんから、単語を見たり発音することによって、まずいったんは覚えようとしてください。
そして1.のタイミングで復習をする際には、ただ単に単語を眺めるのではなく、テストをして記憶を引き出そうとするのが効果的です。単語帳を使うなら、赤シートを使うなどして日本語訳を隠した状態で、英語を発音しながら意味を思い出せるかチェックするようにしてみてください。
記憶力が悪い、と思っている人も、単に記憶の方法が非効率なものになっているだけかもしれません。ぜひ試してみてください。
答えてくれたトレーナー:星野 香奈
高校、大学で留学を経験後、大学院では言語学を専攻した。英語のほか、スペイン語も話すトリリンガル。バンコクでの日本語教師の経験を経て、国内翻訳会社に勤務した。現在StudyHacker ENGLISH COMPANYでパーソナルトレーナーを務める。
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