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Windows上でエージェント型AIを動かす最適なプラットフォームになりえるNVIDIA「RTX Spark」

NVIDIAのWindows向けCPU「RTX Spark」は、プログラム開発やホワイトカラーの生産性を画期的に高めるPCを生み出す可能性を持っている

2026年06月26日 08時00分更新

NVIDIAがWindows向けCPU「NVIDIA RTX Spark」を発表
このCPUを搭載したPCでは何が実現されるのか?

 NVIDIAは6月1日に台湾・台北市で開催したGTC Taipeiの基調講演において、同社のWindows向けSoCとなる「NVIDIA RTX Spark」(以下、RTX Spark)を発表した(「AIモデル100GB超を同時処理可能! 話題沸騰中のスーパーチップNVIDIA RTX Sparkはなにがスゴイのか?」)。

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COMUPTEXに合わせて開催されたGTC Taipeiで「NVIDIA RTX Spark」を発表したジェンスン・ファン氏(基調講演の動画より)

 RTX Sparkは、NVIDIAがDGX Sparkの名称でAI開発者向けに提供してきたミニPCに採用されているSoC「NVIDIA GB10 Superchip」(以下、GB10)のWindows版という位置づけになる。

 NVIDIAはこのRTX Sparkを、Windowsでエージェント型AIを実行するのに最適なプラットフォームとしており、Microsoftと協業してそうした機能をWindowsに実装していく見通しだ。

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Microsoftも自社サイト上でRTX Sparkによって、Windows PCがどんな新しい要素を得るかを詳しく紹介している

昨年登場の「DGX Spark」用と同じハードウェアだが
Windowsで動作するためのドライバーなどが追加されている

 NVIDIAが発表したRTX Sparkは、NVIDIAが昨秋頃から販売しているAI開発者向けのミニPCとなる「DGX Spark」などに採用されているGB10と物理的には同じチップで、Windowsを実行するためのソフトウェア(ファームウェアやグラフィックスドライバー)などをセットにした製品となる。

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GTC Taipeiのデモブースより(写真はすべて中山 智氏および編集部撮影)

 DGX SparkなどのGB10を搭載したミニPCはAI開発者向けであるため、AI開発の環境で一般的に利用されているLinuxが採用されている。具体的には、Linuxディストリビューションの1つであるUbuntuをベースにしたDGX OSで、その上にNVIDIAのAI開発キット(CUDAやNVIDIA AI Enterprise)などを初期導入したものになる。

 それに対してRTX SparkではOSがWindowsになっており、ファームウェアやグラフィックスドライバーでWindowsに対応したソフトウェアが必要になる。それらがNVIDIAやMicrosoftから供給されることで、OEMメーカーはRTX SparkとWindowsを自社の顧客に提供することが可能になる。

 今回、ASUS、Dell Technologies、HP、Lenovo、Microsoft、MSIといったOEMメーカーがNVIDIAブースなどで対応したPCを展示しており、この秋と予想されているリリース時には多くのOEMメーカーが参入して製品をリリースすることになる見通しだ。

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RTX Spark版Surface Laptopが今年後半に登場予定

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360度ヒンジのタイプのマシンも。各社からさまざまな形状の搭載マシンが公開された

x86版WindowsではなくArm版Windowsで動作するRTX Spark
互換性問題はほぼ解決済み

 RTX Sparkは、現在のWindows PCで一般的に利用されているx86版のWindowsではなく、ここ8年で徐々に普及してきたArm版Windowsが採用されている。

 ここでいうx86やArmというのは、CPUが命令を実行するときに話す言葉(命令セットアーキテクチャ、ISAと呼ばれる)の種類だ。ソフトウェアはCPUに何か処理をして欲しいときに「命令」を発行する。その命令は、x86ならx86の言葉になっており、ArmならArmの言葉になっている。

 英語の命令をそのままでは中国語が母国語の人が理解できないのと同じように、x86の命令をArm CPUに与えてもArm CPUは実行することができない。このため、Arm CPUでWindowsを実行するにはArmの命令を発効できるArm版Windowsが必要になる。

 2018年より前は、過去にあった一部の例外を除き、WindowsではAMDやIntelなどが提供しているx86 CPUにのみ対応したx86版Windowsが標準的な存在だった。しかし、2018年にクアルコムがArm版CPUを採用したSnapdragonをWindows向けに投入すると、Arm版Windowsの提供を開始した。

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このデモでは通常のArm版WindowsとRTX Spark向けに最適化されたPremiereでの速度が比較されている

 Arm版Windowsには、従来のx86版Windowsと互換性を確保するために、Arm命令をx86命令に翻訳する「バイナリトランスレーター」と呼ばれる翻訳機の機能が標準で搭載されている。Arm版のソフトウェアが存在しない場合には、x86版のソフトウェアをArm版Windowsで動かす機能が搭載されており、完璧ではないがこれでソフトウェアの互換性の問題をある程度回避できるようにしていた。

 それでも当初は動作しないソフトウェアが多く、そうした課題がクアルコムのWindows市場への浸透を妨げてしまい、当初は採用例が1、2機種しかないという状態からのスタートになり、当初はなかなか増えないのが現実だった。しかし、この8年の間に、クアルコムとMicrosoftが地道な努力を続けた結果、互換性問題は徐々に解決に向かっている。

 グローバルではMicrosoft 365やAdobe Creative Cloud、TeamsやZoomなどのPCでは必須の大物アプリの対応は済み、日本ローカルの日本語変換ソフト「ATOK」などの対応も進んでいるほか、課題だったAAAタイトルのゲームも90%が対応するなど、互換性問題は全体的に解消に進んでいる。

 その意味で、NVIDIAがArm版CPUを搭載したRTX Sparkをひっさげて、Windows 11市場に参入するにはベストなタイミングだったと言ってよい。だからこそ、クアルコムが参入した時のように、当初採用例はほとんどなかったというような状況ではなく、最初から大手OEMメーカーのほとんどが採用予定を表明するという状態からスタートを切れたのだ。

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