OWCがThunderbolt 5対応製品を一挙展示、AIアクセラレーターからRAIDストレージまで「将来への投資」を提案
2026年06月12日 16時00分更新
ストレージ・周辺機器メーカーのOWC(Other World Computing)は、COMPUTEX TAIPEI 2026において、Thunderbolt 5に対応したニューモデル群を展示した。単なるスペックの刷新ではなく、「いま持っているPCやドライブを活かしながら、将来の規格に対応する」という長期的な視点でのモノづくりが、企業理念のひとつとなっている。
ローカルAIの限界を突破するThunderbolt 5 AIアクセラレーター
今回の展示でもっとも注力されていたのが、世界初と謳うThunderbolt 5接続のAIアクセラレーター「OWC Stack AI」だ。Phisonの「aiDAPTIV」技術が採用されており、SSDをAI推論時のKVキャッシュ領域などとして活用し、GPUメモリーやシステムメモリーの容量不足を補う新型デバイスとなる。
今回のブースでは16GBのRAMを搭載した同スペックのノートPC 2台を使ったデモが行なわれていた。Stack AIを接続した場合の最初のトークン生成までの時間(TTFT)は約0.6秒、接続なしの場合は約6.5秒となり、約10倍もの高速化をアピールしていた。さらに26BパラメーターのオープンソースLLMを両環境で実行。16GB RAMのマシン単体では動作しないところを、Stack AIによって完走させるというデモも披露された。
OWCによれば、クラウドAIへの月額費用を大幅に削減できるコスト面のメリットも大きいとのこと。用途によっては月3700ドル超のクラウドコストを同製品1台(参考想定価格1000~1500ドル)で代替できると謳っている。さらに、すべての処理がオンプレミス(ITインフラを自社内に設置して運用する形態)で完結するため、法務、医療、財務データを扱う企業ユーザーへのプライバシー訴求も強いと見込んでいるという。
なお、本製品は2026年第4四半期初頭の登場が予定されている。現時点では詳細な仕様や販売価格は確定しておらず、OWC公式サイトでは最新情報を受け取るための通知登録を受け付けている。COMPUTEXで披露されたデモや来場者の反応を踏まえ、今後どのような製品として市場に投入されるのか注目したい。
Thunderbolt 5とUSB4、2ラインで幅広いユーザーをカバー
ストレージ製品のメインとして展示されたのが、4スロット搭載NVMe M.2 SSDエンクロージャーの2モデルだ。上位モデル「Express 4M2 Ultra」はThunderbolt 5(80Gbps)接続で実測最大6622MB/sを実現。12K RAW動画の編集や8Kマルチカム収録、大規模データセットの処理に十分応えるスペックを持つ。RAID 0/1/4/5/10/JBODに対応し、1台で最大32TB、デイジーチェーンで最大128TBまで拡張できる。
OWCが強調するのは「手持ちのSSDをそのまま使える」ということ。NVMe M.2 2280または2242のSSDを4本装着する設計で、新たなSSDを購入せずに既存資産を活かせる。
ただし、ひとつ注意点がある。RAIDを構成する場合、異なる容量のSSDを混在させると、各ドライブから利用できる容量は最小容量のSSDに合わせられる。たとえば4TBと2TBを2本ずつ組み合わせた場合、各SSDから2TBぶんがRAID構成に使用され、実際の利用可能容量は選択したRAIDレベルによって変わる。
また、Thunderbolt 5の帯域を最大限に活かすには複数本を装着することが前提で、PCIe Gen4またはPCIe Gen5 SSDを1本だけ装着した場合は最大約1600MB/sに留まる。「手持ちのドライブが1本しかない場合は同一モデルで揃えてほしい」とのことだ。
上記製品の廉価版に相当する「Express 4M2」はUSB4(40Gbps)接続で実測最大3200MB/sを実現するエンクロージャー。Thunderboltポートを備えていないPCでも、USB4ポートがあれば最大3200MB/sで利用できる。Thunderbolt 5環境への移行を検討しながらも現時点ではUSB4環境を使用しているユーザーのための選択肢だ。なお、この2製品ではThunderboltモデルを黒、USBモデルをシルバーに色分けし、ユーザーが見分けやすいよう配慮しているとのことだ。
1本のケーブルで周辺機器の接続環境を大幅拡張
「OWC Thunderbolt 5 Dock」はケーブル1本でPCの端子を11ポートに拡張するドッキングステーション。Thunderbolt 5(80Gbps)のポートを3基備え、ディスプレー出力時にはThunderbolt 5のBandwidth Boostにより最大120Gbpsの帯域を活用できる。
対応するWindows PCでは8Kディスプレーを最大3台、60Hzで同時接続できる。Macでは最大2台の6Kディスプレーに対応する。2.5Gbps有線LAN、microSD、SD 4.0(UHS-II)カードスロットも搭載されており、カメラやドローンからの撮影データの取り込みを本製品だけで行なえる。
「OWC Thunderbolt 5 Hub」は1本のケーブル接続で、Thunderbolt 5ポート×3とUSB-Aポート×1に拡張するハブ。Thunderbolt 5/4、USB4、USB-Cに対応し、Thunderbolt 3搭載Macとも互換性を備えている。
今回の「OWC Thunderbolt 5 Dock」と「OWC Thunderbolt 5 Hub」のどちらも、現行PC環境でも最大限のパフォーマンスを享受しつつ、将来Thunderbolt 5対応PCに乗り換えた際もそのまま使い続けられる「Best Today, Best Tomorrow」の設計思想を体現した製品というわけだ。
いますぐ手に入る現行モデルにも注目
「OWC Express 1M2 80G」はUSB4(80Gbps)接続のポータブルNVMe SSDエンクロージャー。実測6000MB/s超の転送速度を実現している。航空機グレードのアルミ筐体がSSDを保護しつつ、独自のフィン形状により、ファンレスによる静音性と高い放熱性を両立している。担当者によれば他社からの類似製品も登場しつつあるとのことだ。
本製品は、SSDを搭載しない0TBのDIY用エンクロージャーと、最大8TBまでの完成品をラインナップしている。完成品も用意されているため、初心者にも導入しやすい。
「OWC StudioStack」はThunderbolt 5対応の「スタッカブル・ハイブリッドストレージ」(積み重ね可能なストレージ)。NVMe SSDを最大8TB、HDDを最大24TB搭載し、合計最大32TBのストレージユニットとして構成可能だ。Mac Studio、Mac miniを想定したフォームファクターとして設計されており、NVMe SSDではMac Studioの内蔵SSDに匹敵する、シーケンシャルリード、ライトで最大6302MB/sを実現する。
OWCのビジョンは「買い替え」ではなく「積み上げ」という発想
OWCの今回の展示を通じて一貫していたのは、「買い替え」ではなく「積み上げ」という発想だ。
手持ちのPCやSSDを現行環境で活用しながら、将来Thunderbolt 5対応PCへ移行した際には、より高い性能を引き出せる設計は、Mac、Windowsを問わず、コストを抑えて環境をアップグレードしたいユーザーにとって魅力的だ。
AIの波が押し寄せるなか、ローカル環境での処理能力とストレージ性能をどう確保するかという問いに答えたラインナップと言えるだろう。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

















