第407回
ASRockのIntel Arc A770 Phantom Gaming D 8GB OCで検証
2.5倍以上も性能が向上するって本当!?インテルArc A770新旧ドライバー比較
性能が向上する解像度はゲームによりけり
では、実際のゲームを使用した検証に入ろう。今回の検証はGPUに負荷をかけるべく画質は最高設定を目指すが、レイトレーシング系はArc A770にはやや荷が重いのでオフにした。解像度はフルHD(1920×1080ドット)、WQHD(2560×1440ドット)、4K(3840×2160ドット)の3通り。どのゲームにおいても「FrameView」を使用し、下位1パーセンタイル以下のフレームレートの平均値(1% Low)と平均フレームレートを計測した。
まずは「Overwatch 2」では、画質は「エピック」、FSR 1はオフ、フレームレート上限は最大、レンダースケールは100%固定に設定。マップ「Eichenwalde」でのbotマッチを再生した際のフレームレートを計測した。
今回のグラフでは新旧ドライバーで比較するために、最低・平均フレームレートを解像度別で対にしてグラフ化している。例えば、フルHDではv3490ドライバーが最低65.62fps/平均118.71fpsだが、v4146ドライバーでは最低64.18fps/平均122.68fpsとなる。
今回の計測では、フルHD~WQHDでは最低フレームレートはほぼ変化なし〜誤差レベルで微減だったが、平均フレームレートではv3490ドライバーに対しv4146ドライバーは3〜8%伸びている。しかし、4Kでは最低も平均フレームレートも大きく向上。特に平均フレームレートは40%も伸びている点は特筆すべきだろう。ドライバーの熟成が進んだことでフレームレートが向上した、と判断することができる。
人気タイトル「Hogwarts Legacy」でも検証してみよう。画質は「最高」、アンチエイリアスは「TAA高」とした。ホグワーツ城南の端の入り口から場内へ至る一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。
解像度が高くなるほど新旧ドライバーの差は縮まっていくが、いずれもフレームレートが伸びており、ゲームに対するドライバーの最適化が進んでいると判断できる。特にフルHDでは平均フレームレートにして9%も向上している。とはいえ、最低フレームレートが30fpsを切っているのでカクつきの不安は残る。実際にプレイするなら、画質を中〜やや高設定くらいに抑えるべきだろう。
最近リリースされた「RETURNAL」も試してみたい。画質は「最高」、レイトレーシングはオフだがスクリーンスペースリフレクションはオン。ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。
このゲームでも新ドライバーでフレームレートが向上しているが、フルHDとWQHDの伸び幅は3%程度。唯一、4Kでは10%伸びているが、元の平均フレームレートが30fps台と低いため、あまり意味をなさない。とはいえ、新ドライバーで伸びているという点は評価したいところ。
続いては「Call of Duty: Modern Warfare II」。画質は「極限」、アンチエイリアスは「ウルトラ品質」に設定した。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測している。
こちらはv4146ドライバーでフレームレートが落ちるケースとなる。フルHDでは平均フレームレートがかろうじて(誤差程度で)向上しているが、最低フレームレートに関してはどの解像度でも落ちている。ドライバーの更新で何かマイナスになるチューニングがされてしまった可能性はあるが、将来的には改善することを期待したい。
以上のようにv3490ドライバーとv4146ドライバーを同じ条件で比較すると、概ね最新のv4146ドライバーのほうが優秀であることがわかった。例外的に微減したゲームもあるが、全体として性能向上が期待できると言える。
しかし、ここで紹介したゲームは、2022年秋以降に配信されたゲームである。GPUメーカーが最新かつ注目度の高いゲームに対し、最適化されたドライバーを提供することは“業界の慣例”なので、性能が伸びて当然と言えなくもない。意地の悪い言い方になってしまったが、インテルはGPUメーカーとして“やるべきこと”はやっているのだ。
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