ダイコン+登山時計+ランニングウォッチの「Apple Watch Ultra」は高コスパかも?(太田百合子)
今回のアップルのイベント、「iPhone 14」「iPhone 14 Plus」に関しては、ほぼ事前の噂どおりでしたね。とうとう「mini」がなくなってしまいました。「iPhone 12 mini」のときから販売不振が言われていたので、仕方がないとは思うものの、高性能&コンパクトという選択肢がなくなったのは寂しい限り。一方で大画面がいいけど、そのために高価な最上級モデルを選ぶのはちょっと……と思っていた人にとって、Plusの復活はうれしいサプライズだったのではないでしょうか。
「iPhone 14 Pro」と「iPhone 14 Pro Max」は、やはりこれもほぼ噂通り。フロントカメラ周りのディスプレイの切り欠きがパンチホール型になりました。第一印象では「パンチホールといっても、ちょっとスペースが大きいな」と思ったのですが、驚いたのはそのユニークなギミックです。パンチホールの枠が広がるようなアニメーションとともに、様々な通知がパンチホールと一体になって表示されるしくみとのこと。これなら大きさもそれほど気にならないでしょう。アイデアとUX、さらに「Dynamic Island」という名称にも、「さすがアップル、うまいなー」と感心させられました。
まさかダイブコンピュータ機能がフル搭載「Apple Watch Ultra」
今回、個人的に一番わくわくしたのは、Apple Watchの新たなラインナップとして追加された「Apple Watch Ultra」です。Proモデルが出るらしいという噂は耳にしていたものの、まさかダイブコンピュータ(以下、ダイコン)の機能がフル搭載されているとは思っていなかったからです。
ダイコンは、スキューバダイビング中に水深や潜水時間、水温などの情報をリアルタイムで確認できるウォッチ型のデバイスです。ダイバーウォッチと混同されることも多いですが、身体に負担をかけずに今の水深に止まれる時間や、減圧のために必要な安全停止の時間を計算して教えてくれたり、急浮上を警告してくれる重要な機能を備えています。
安全にスキューバダイビングを楽しむために欠かせないもので、これを持っていないと、ツアーに参加できないこともあるくらいです。
ダイビングのログを付ける際にもこのデータを使用するのですが、「Apple Watch Ultra」では専用アプリと連携して、自動的にデータが記録されるとのこと。Bluetoothでスマホにデータを転送できるダイコンはすでにありますが、Apple Watchならさらにスムーズな連携が期待できそうです。アプリの提供は今秋の後半とのことですが、ダイバーの端くれとしてはぜひ使ってみたい機能です。
「Apple Watch Ultra」はほかにもデュアルバンドGPSなど、ダイバーだけでなく、ハイカーやランナーにも役立つ機能が搭載されています。海に潜って山登りをして、マラソンも走る友人は、ダイコンと登山時計、ランニングウォッチをその都度使い分けているそうです。それらがこの1台でカバーできて、しかもそれぞれの分野のサードパーティーアプリとも連携できると考えれば、12万4800円という価格はむしろお手頃と言えるかもしれません。
ダイコンのメーカーはもちろんですが、スマートウォッチ×スポーツで人気を集めているガーミンやSUUNTOは、これから「Apple Watch Ultra」とどう戦っていくのか。またスマートウォッチでは、同じ日に発売が発表された「Galaxy Watch5」シリーズや、Fitbitを傘下に収めたグーグルの「Google Pixel Watch」のリリースも間近に控えています。ユーザーの手首を巡る攻防は、これからますます熱く、おもしろくなりそうです。
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