今回は、予想通りというか期待外れと言うか、Apple WatchとiPhone、それにおまけ的なAirPods Proの発表だけだったので、イベントの時間配分などの分析などはやめて、素直に感想だけを書こうかとも思った。しかし、職業病と言うべきか、やはり気になってしかたがない。というわけで、今回もそこから始めよう。
Apple Watchの重要度が高まっている!?
今回は、9月のイベントとしてはかなり長い方で、全体で1時間34分59秒もあった。ざっと配分を調べると、イントロ部分などを除いて、最初のApple Watchが37分30秒で全体の39.5%、AirPods Proが7分36秒で約8%、iPhoneが45分44秒で48.2%だった。時間配分では、やはりiPhoneが全体の半分近くを占めているものの、先頭にApple Watchを持ってきて、しかも全体の4割ほどの時間を割いているのは印象的だった。
最初のティム・クックのスピーチでは、「今日はiPhoneとAirPodsとApple Watchについて話します」と言っているので、これとは順番が異なる。発表順とは関係なく重要な順に挙げたのなら、AirPodsが2番めにくるのは変だ。当初はその順番で取り上げる予定だったのではないだろうか。それを変更してまで(かどうか確信はないが)Apple Watchを先頭に持ってきたところに、これからはApple Watchに力を入れていくというアップルの決意が感じられるような気がする。
衛星通信はApple Watch Ultraにこそ
そのApple Watchの中で、SEはともかくとして、Series 8とても、斬新的な進化の結果の製品であり、さほどの目新しさは感じられない。それに比べると、Apple Watch Ultraは、かなり尖った製品と言える。
これまでのアップルのネーミングの慣習からすれば、まずProが来て、次にMax、さらにその次に来るのがUltraというのが普通だろう。それを、ProとMaxをすっ飛ばして、いきなりUltraなのだから、それだけでもかなり力の入った製品であることがわかる。
ただ1つ、気になることがあった。今回のイベントの中に組み込まれたUltraのプロモーションフィルムの中で、登山者が雪原で窮地に陥り、Ultraでベースキャンプと連絡を取っているようなシーンがある。これは現状のApple Watchでは、近くにセルラーネットワークのアンテナがなければできないことだろう。Ultraの活躍の場は、そういうところばかりではないはずだ。現状では技術的に難しいかもしれないが、今回のiPhone 14シリーズの1つのウリとして発表された「衛星経由の緊急SOS」は、Apple Watch Ultraにこそ装備して欲しい機能だ。
衛星経由の緊急SOSは、当初はアメリカとカナダでだけ有効となるようだが、そのうち全世界的にも使えるようになるだろう。筆者の今後の人生で、それが必要となる状況に陥ることはまずないと思われるが、そこまでのヘビーデューティーな機能を詰め込んだウォッチが出たら、欲しくなってしまうかもしれない。
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