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価値観が揺らぎ、世界が大きく動くときだから響く、井深大氏のことば

2022年08月30日 09時45分更新

音と坊やに由来する4文字のアルファベット

東京通信工業は、1958年に、社名をソニーに変更した。

 ソニーブランドを使い始めてから、まだ3年しか経過していないタイミングであり、当時は「SONYの東通工」とも言われ、東京通信工業の名前の方が浸透していた。また、カタカナや略称を社名にする企業も少ない時代であった。当然のことながら、「そんなわけのわからない社名に変えるのはなにごとだ」とメインバンクは反対し、社員からも反対の声があがった。

 だが、もうひとりの創業者である盛田氏は、「我々が世界に伸びるための社名変更」として、これらの反対を押し切った。井深氏も「それでいい、それでいこう」と、社名変更を推進していた一人だ。社内には、ソニー電子工業などへの社名変更を提案する動きもあったが、盛田氏はソニー株式会社の名称にこだわった。それは、ソニーが、電子や通信などに限定せず、これからも世の中にない、まったく新しいものを出す会社であることを示すものでもあった。

 SONYには、SOUNDやSONICの語源となったラテン語の「SONUS(ソヌス)」と、小さい、坊やという意味がある「SONNY」をベースとし、発音しやすく、世界共通で使える四文字でまとめた。自分たちの会社は非常に小さいが、はつらつとした若者の集まりであることにも通じるとして、掛け合わせて作った言葉だ。

 井深氏が書いた設立趣意書の「自由闊達」の流れを汲み、小さくても、はつらつとしたやんちゃ坊主を語源し、「電機」など特定の事業の意味を含まず、創業者の名前にも縁はない。当時のソニーの姿を示すには最適な社名であったともいえる。

 社名にこめられたその精神が継続しているからこそ、いまもソニーは成長を遂げている。

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