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パナソニックは世間を知らないという樋口氏、独自色見せる経営を、初任給も世界最高水準に?

2022年05月16日 09時00分更新

IT企業を経て出戻った樋口氏、第3段階の大胆な改革へ

 日本マイクロソフトやダイエー、日本ヒューレット・パッカードで社長を務めた樋口社長兼CEOは、2017年4月に、新卒で入社したパナソニックに「出戻る」形で復帰。CNS社の改革に取り組んできた。

 その企業改革は、3階建ての構造で表現。1階がベースとなる風土改革、2階をソリューションシフトによるビジネス改革、3階を選択と集中による事業立地改革と定義。「正しい企業文化の上にしか正しい経営戦略は成り立たない」という樋口社長兼CEOの基本姿勢に則り、まずは、1階となる風土改革から着手してきた。

 「パナソニックが、俊敏で、オープンで、まともな考え方やまともな文化を持つ会社にならなくては、なにも始まらないと考え、まずは、ベースとなる風土改革に取り組んだ。お客様を知らない、世間を知らない、考え方が古い、思考停止になっている、誰がなんの責任を持つかわからない、誰もなにも決めない、スピード感が遅いといった言葉で表現されてきたパナソニックが、まともな会社になることが一番大切であると考えた」と振り返る。

 顧客が多い東京に本社機能を移し、ITを活用したコミュニケーションの活性化、フリーアドレスの導入や服装のカジュアル化などによる壁が作りにくい仕事環境の整備にも取り組んだ。

 さらに、2階となるビジネス改革では、従来の製造業の考え方から脱却。ハードウェアにソリューションを付加する体制へと移行した。「製造業であっても、システムやソリューション、ソフトウェアに主軸を移行できれば、参入障壁を高く築くことができ、差別化もでき、収益性が向上し、収益の持続性も向上する。また、クラウドビジネスは、速いスピードが要求され、先に規模を獲得することが大切でる。これまでのパナソニックのハードウェア経営のフレームワークのスピード感では、ソフトウェアビジネスの経営は難しい。スピード感を持って、必要な投資をタイムリーに行える経営を目指してきた」とする。

 そして、3階となる事業立地では、大胆な選択と集中を行ってきた。

 この5年間で、POS端末やフィーチャーフォン、ドキャメントスキャナー、PBX(電話交換機)、SDカード、光ピックアップ、アグリ事業を終息したほか、セキュリティシステム事業への外部資本の導入、通信衛星サービス事業の売却、岡山工場およびパナソニックモバイルコミュニケーションズ北京工場の閉鎖などに取り組んできた。

 「どこで戦うのか、その立地はいいのか、しっかりと持続可能な収益を得られるのかという点を重視し、対策が難しい事業についてはアクションを起こした。その結果、かなりの縮小になった。日本だけでも約9%の人員削減を行った。こうした一連の構造改革は2022年度中にすべて完了する予定であり、これをベースに、今後の3カ年の中期計画が始まることになる」とする。

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