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パナソニックは世間を知らないという樋口氏、独自色見せる経営を、初任給も世界最高水準に?

2022年05月16日 09時00分更新

ハードウェアにおけるコア事業と成長事業

残ったハードウェア事業は、プロセスオートメーション、メディアエンターテインメント、アビオニクス、モバイルソリューションズの4つである。

 「ハードウェアは、基本的にはコモディティ化のリスクがある。それを前提に徹底的に議論した結果、アジアの新興国との直接対決や力の勝負をしない分野、参入障壁を築ける分野、日本の企業としてハードウェアを研ぎ澄ませていける分野に絞った。それがこの4つの事業であった」とし、「EBITDAが常に10%以上か、10%を狙うことができる事業である。4つの分野では、徹底的にハードウェアを磨き、オペレーションエクセレントを追求する。これ以外のハードウェアはやらない」と言い切る。

 パナソニック コネクトでは、これを「コア事業」と位置づける。

 コア事業とともに両輪を担うのが、「成長事業」だ。ここでは、Blue Yonder単体での事業成長、Blue Yonderとパナソニックのシナジー創出、現場ソリューションカンパニーの3つに取り組む。成長事業には、経営資源を集中投下し、Blue Yonderの機能を強化、補完するためのM&Aも視野に入れる。

 Blue Yonderでは、中核となるLuminate Platformの進化により、業務特化型、業務横断型のソリューションを強化。約7割という高いリカーリング率を生かし、2024年度には、SaaSの年間経常収益で10億ドル以上を目指す。すでに、パナソニックが持つセンシングテクノロジーとの組み合わせなどによる約60のユースケースを特定しており、2022年度には、このなかから2つのユースケースにフォーカスして、ソリューション化を行うという。また、2023年度以降には、パナソニック全社へのBlue Yonderの本格導入を行う計画であり、「日本では、サプライチェーン分野における標準ソフトウェアの導入はこれからである。パナソニック自身が、Blue Yonderのショーケースとなり、パナソニックが持つ顧客基盤、人材、インフラ、ブランドを総動員して、日本におけるBlue Yonderのビジネスを推進していく」と意気込む。樋口氏自らがBlue Yonderジャパンの代表取締役会長を兼務し、日本市場開拓の陣頭指揮を執る。

大リーグボール養成ギブスを脱ぎ、筋肉質な身体を

 新会社になった様子を、樋口社長兼CEOは、「大リーグボール養成ギプスを脱いだ状態」と比喩する。大リーグボール養成ギプスは、漫画「巨人の星」の主人公である星飛雄馬が、身体を鍛えるために幼少期に装着していたもので、その後、魔球と言われる「大リーグボール」の誕生につながっている。

 5年間に渡る企業改革で、筋肉質な体質になったパナソニック コネクトが、新会社となり、どんな魔球を投げるのか。その進化が楽しみだ。

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