VAIO Zの技術を惜しみなく即投入
2021年版のVAIO SX12/SX14で目指したのは、モビリティーと信頼性、快適性の追求だ。VAIO Zでも、本体の軽さとバッテリーのもちのよさ、性能での妥協はしないという3つのいいとこ取りを目指したが、VAIO SX12/SX14もその精神を継承したモデルなのである。
まずは、軽量かつ堅牢性の確保から。VAIO Zでは、UDカーボンの立体成型技術を確立させ、フルカーボンボディを実現したが、VAIO SX12/SX14ではこれまでも天板に使われてきた平板のUDカーボンに立体成型を取り入れることで、樹脂部材を減らすことで堅牢性を高めながらも軽量ボディを実現させている。
オーナメントの形状も従来の平面からボディの曲線ともマッチする丸みを帯びたデザインに変更し、カーボンの反りを抑えつつ、全体の強度を高めている。パームレスト部分には高輝度アルミニウムを使用することで発色をよくしている。VAIO独自の品質試験に加えて、アメリカ国防総省制定MIL規格(MIL-STD-810H)にも準拠しており、落下試験においてはMIL規格(MIL-STD-810H Logistic Transit Drop Test)を上回る127cmをクリアしている。
さらに内部構造においても、液晶バネルの軽量化やフレームの薄肉化、CPU周りの電磁波を遮断するシールド缶の肉抜き、キーボード板金・フレームの肉抜きなど、1gでも軽くする努力をしている。
ただ、スペックを見てもお分かりのとおり、サイズは微妙に変わっているものの、本体の総重量は従来モデルと変わっていない。軽量化を目指しているにも関わらず、重量が変わらないとはどういうことなのかとツッコミたい読者がいるかもしれない。ここは性能アップに伴って、内部の重量が約50gアップしたためである。
重量を増やさざるを得なかったのは、VAIO Zと同様の冷却性能にしたため。CPUに最新の第11世代インテルCoreプロセッサー(Uシリーズ)を搭載し、PCIe 4.0対応のNVMe SSDも採用するなど、かなり高性能なものにしたことによって発熱が高いシステムになるため、必要な対応だった。
さらに、バッテリー駆動時間もより長くするために、容量を見直している。これによりバッテリー駆動時間は、フルHD解像度で公称約30時間と従来の約22.7時間から大幅に伸ばしている。
つまり、従来の構造をそのまま踏襲していたら、50gアップしていたところを、筐体の軽量化によって相殺したのだ。本体の軽さと堅牢性、高性能を維持、バッテリー駆動時間も確保するというモビリティへの追求のために、VAIO Zの技術をかなり活かして設計されているのである。
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