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浜辺から海抜3000m超までApple Pay対応の注目のモバイル決済「Square」でできること

2015年08月13日 17時00分更新

 みなさん、こんにちは。いまは週刊アスキーの吉田でございます。さて、8月10日に週アスカフェトーク第2弾として、ブルーボトルコーヒー青山カフェにて「Squareが解き明かすモバイル決済の最新事情」と題したセミナーを開催しましたよ。

Square

 今回は、米国ではApple Pay対応リーダーを発表するなど何かと話題のSquareの掛谷氏を招いて、モバイル決済の現状について話を聞きました。

Square
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 まずは、掛谷氏のお勧めコーヒーとして「ニューオリンズアイスコーヒー」が紹介されました。このコーヒーは、12時間水出ししたアイスコーヒー。ローストされたチコリーとオーガニックの砂糖、そしてミルクが加えられており、すっきりした甘みが特徴です。ワタクシは、普段コーヒーはブラックでしか飲まないのですが、このほのかな甘みがかなりいい感じでした。

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「ニューオリンズアイスコーヒー」は、ブレンドコーヒーを12時間水出して、ローストチコリー、オーガニックの砂糖やミルクを加えた、すっきりした甘みのアイスコーヒーです。価格は税込み500円(写真はイメージです)。

 さて、Squareの創設者はTwitterの共同創設者の一人であるジャック・ドーシー氏で、ブルーボトルコーヒーのCEOであるジェームス・フリーマン氏とも近い関係にあります。実際にブルーボトルコーヒーのレジの決済システムにはSquareが使われています。Squareは、とにかくコーヒーを飲みならがアイデアを出すという雰囲気が社内に醸成されているそうで、実際にコーヒースタンドがある支社も多いとか。ワタクシがSquareの日本法人にお邪魔した際にも、カフェスペースが設けられているのを発見しました。日本支社では、スタッフが持ち寄ったコーヒー豆をミルで挽いて打ち合わせや休憩の際に飲んでいるそうです。また、最近では掛谷氏が行き着けのコーヒーショップでうまい水出しアイスコーヒーの作り方を教えてもらい、社内で実践しているとのこと。

 モバイル決済の世界ではメジャーな存在であるSquareは、イヤホンジャックに差し込む磁気ストライプ型のクレジットカードのカードリーダーを無料配布しているため、クレジットカードの収入業者というイメージが強いかもしれません。実際は、それのバックエンドを支える先進的なレジシステムがメインといえるでしょう。

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 レジ端末はiPadなどのタブレット端末を利用可能です。iPhoneやiPad専用と勘違いされがちですが、Android 4.0以上を搭載したスマホやタブレットにも対応しています。クレジットカード決済には、Wi-Fi回線もしくはモバイル回線が使えます。

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 実際の運用では、レジシステムにあらかじめ登録された商品をタップするだけで会計が可能です。商品名をタップして会計するのは一般的なPOSレジと同じですが、Squareのように商品の写真を見ながら作業できるレジは少ないでしょう。ブルーボトルコーヒー青山カフェでは、注文カウンターに2台、入り口近くでコーヒー豆を販売している場所に1台の合計3台のiPadレジが設置されています。通常のレジとはことなり、かなりコンパクトなので一瞬レジだとはわからないかもしれません。

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 会計時は、現金もしくはクレジットカードでの決済が可能です。対応しているクレジットカードは、VISA、MasterCard、 American Expressの3種類。例えば、ここでクレジットカードで1万円分を支払うと、店舗側には最短で翌営業日に登録した銀行口座へ3.25%の手数料を引いた9675円が振り込まれるという仕組みです。振込手数料などはかかりません。

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 カード決済の場合は、iPad上にそのままサインを書くことで支払い承認できる仕組みです。

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 Squareは、導入コストやランニングコストが無料のうえ、売上金額が最短で翌日に口座に入金されるという使い勝手のよさが特徴です。クレジットカードでの売上は締め日から半月後の入金という場合が多いので、資金の回転が早い個人経営の飲食店では敬遠されがちです。

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 手数料は売り上げの3.25%と、既存業者と比べると利率は低いとのこと。これまで個人経営の飲食店や個人タクシーでクレジットカードを取り扱おうとすると、収入業者側がリスクを考慮して手数料を高く設定したり、カードリーダーを買い取りにするなどの対策が取られることもあるなど、入金タイミングの問題とともに大手以外での導入の障壁になっていました。

 また、昔ながらの古いレジは、店舗の営業時間が終了した際にレジを締める作業が必要で、ここで初めて各商品別の売上高などが明らかになります。最近のPOSレジでは総売上や商品別売上の途中経過などは出せますが、レジ担当者でないと操作が難しい、データを視覚的に見られないという欠点があります。Squareでは、いまどの商品を売れているか、どの時間に売上が上がっているかをグラフなどで視覚的に把握できます。掛谷氏によると、「営業時間別の売上を見て店舗の営業時間を変更する、人気不人気商品が時間別、曜日別ですぐにわかるのでメニューを入れ替えるといった判断材料になる」とのこと。

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 現金やクレジットカードだけでなく、請求書(インボイス)による店頭以外での集金にも対応しています。日本では、売り掛け販売は珍しくないのでこれは重要な機能ですね。

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 そのほかの特徴として、ギフトカード機能があります。これは米国で提供されているサービスですが、日本では清澄白河と青山のブルーボトルコーヒー2店舗で先行導入されています。具体的には、発行店舗のみで利用できるプリペイドカードを簡単に発行できます。

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 Squareの導入事例としては、個人タクシーや個人経営の飲食店のほか、海抜3000mの場所にある穂高岳山荘や屋久島の安房川の屋久島ガイドクラブなどで使われているとのこと。掛谷氏によると、「穂高岳などの高い山に登る際は、できる限り装備を減らす必要があり、大金を持っていくわけにはいかない。とはいえ、山の天候は変わりやすく予想に反して山荘で足止めを食らい、想定外の出費となることもある。Squareの導入によってカード1枚で済むというのはかなりのメリット」だそうです。また、「高い山にある山荘にはヘリコプターで物資を送る必要があるが、Squareを導入することで麓でも商品の売れ行きがリアルタイムで把握でき、効率的に物資を輸送できる」のこと。

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 6月のAppleのWWDC(Worldwide Developer's Conference)では、SquareリーダーのApple Pay対応が発表されましたが、掛谷氏はこのリーダーについても詳しく紹介してくれました。Apple Pay対応のSquareのカードリーダーは、iPadなどとはBluetoothもしくはUSB-Lightningケーブルで接続するそうです。本体は、従来のカードリーダーと同様にバッテリーで駆動し、本体に備わるマイクロUSBポート経由で充電が可能です。

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 現在日本などで利用されているSquareのカードリーダーはクレジットカードの磁気ストライプを読み込むタイプですが、Apple Pay対応リーダーには正面にカードの挿入口が設けられており、Apple PayだけでなくカードのICチップを読み込んで決済することも可能だそうです。米国のブルーボトルコーヒーの2店舗で実証実験がスタートしています。もちろん、iPhoneとペアリングしたApple Watchでも決済できます。

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 Apple Pay対応のSquareリーダーについては動画が公開されています。動画の中でも出てきますが、店舗ではもちろん、屋外の露店でもSquareさえあれば即時決済が可能です。

 iPhoneやiPadなどはすでに持っているものを使えるので、ハードウェアを含めて導入コストがゼロをいう場合もあります。また、たとえハードウェアが壊れても最悪の場合は同じ製品を量販店で購入すればいいので、業務が滞る可能性は少ないでしょう。日本では、まだまだ現金決済が主流ですが、Squareのような手軽かつ店舗側の負担が少ないモバイル決済システムが個人商店レベルにまで普及すれば、都市部でも地方でもクレジットカード一枚で生活できる日が来ますね。

■関連サイト
Blue Bottle Coffee
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